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running2019.06.28

ナイキ「エア ズーム ペガサス36」をレビュー~ペガサス36は買いか?検証

■ナイキ エア ズーム ペガサス 36は買いか?

こんにちは。シューズアドバイザー藤原です。

ナイキの定番トレーニングシューズ(デイリートレーナー)ズームペガサスがマイナーチェンジして36代目になりました。
さあ、35代目が特価で安いから、こっちにしようかな、それとも発売されたばかりの36にしようかな、と考えている、そんなランナーのあなたに贈る、ナイキ エア ズーム ペガサス 36は買いか?それを今回は検証しようと思います。

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【シューズアドバイザー藤原​プロフィール]
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)

日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持

・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 
・富士登山競走5合目の部 準優勝  (2005)


このソールユニットは機能美の賜物
さて、大抵どのモデルでも、一年に一回の周期でモデルチェンジをしています。ただアッパーもソールユニットも“フルモデルチェンジ”をするのはほとんどのケースで2年一回。残念ながらモデルチェンジすらなく消えていく品番がある中、なんとナイキ エア ズーム ペガサスは36回もモデルチェンジをし続けていきている超ロングセラーモデルといいうことになります。36回続くモデルは、ナイキはもちろんですが、実は他のブランドでもこんな長い品番は見当たりません。つまり、長きに渡って愛用され続けているモデル、それが「ペガサスシリーズ」なわけです。

36代目は、マイナーチェンジでしたので、ソールユニット(ミッドソール+アウトソール)はそのまま継続、主にアッパー(シューズ上部)が変更されました。これは、マイナーチェンジの周期だったということもありますが、35代目のミッドソールはかなり革新的なものだった証と言ってもいいと思います。次回の37代目はそれを超えることが求められるでしょうが、それはとても至難の業だと言えます。
「フルレングスズームエアー」が前回から採用され、ソール全体へのクッション感が高まったし、ミッドソール踵部の流線形に張り出した独創的なデザインの「エアロソール」は、まさに、その機能性だけでなくて、デザインが融合している、機能美そのものですからね。

ですから今回のモデルは、35代目の完成度を引き継ぐ、ナイキ最高のソールユニットを持ったモデルとして“再リリース“されたと言った方がいいぐらいかもしれませんね。

大きな変更点が少なくとも、これぞシンプルイズベスト
ただ変わったはずのアッパーも、ペガサス35と36の2足並べてみてもなお、同じシューズにしかこれが見えません(笑)。同じようなルックス感ですが、更なる軽量化とフィット感の向上を求めて、仕様が若干変更されています。

「エンジニアードメッシュのアッパー」の前足部からアーチにかけて、無数のブレサブルホールが追加され通気性が向上、またシュータン(ベロ)がレーシングシューズのようなそれに変更、軽量化がつながっています。また「ダイナミックフライワイヤー」はシューレースと連動して甲まわりのフィット感を高めていますが、今回それがかなり露出したデザインになっています。見た目の違いはほとんどそこでしょうね。
ナイキ エア ズーム ペガサス 36は、ソール全体の構造としても、坂道型、10mmドロップのソールとオーソドックスな作りは変わりません。70年代にランニングが広く一般ランナーに受け入れられ、開発に至った、まさに「トラディショナルトレーニングシューズスタイル」を貫いています。

それでいて、ペガサスは、36代続くプロセスの中で、“機能の進化とその選択“は行われてきています。それは、クラッシックなカタチになることではなく、機能性はアップデイトされながらも、オーソドックスな部分がベースになっているスタンダード化へのプロセスでもあったことでしょう。

まさに必要な機能性はすべてそこにあって、かつそこにムダがない、物足りなさがあるかと言えばそういうことではない。まさにシンプルイズベストの骨頂が、ペガサスというモデルのその神髄です。

2019年到来マックスクッション時代
恐らく2019年は、「マックスクッション」スタイルの時代になるでしょう。各メーカーがこぞってリリースしてくる予定です。マックスクッションシューズとは、傾斜を緩やかにした「レスドロップソール」で、結果「全体的に厚いミッドソール」を持ったシューズを言います。ホカオネオネがその代表格ですね。
しかし、アシックスも、ニューバランスも、その他のブランドまでが、今までなかったラインナップとして発売予定、もしくは発売しています。クッションがあることが、見た目にも分かりやすいこともあって、今年のトレンド化することは間違いありません。

この潮流でもトラディショナルスタイルは、今後マイノリティーになるかと言えばそうでもなくて、わたしはむしろ必要不可欠な存在になると思っています。ランニング動作をフォローし、体のバランスを崩す合理性として、別にこれが否定されているわけではないからです。

ランニング時に地面に着地して、そして蹴り出すまでに、とにかくシューズの前足部、蹴り出しまでいかにスムーズに移動できるか、これはイコール、ランニング時の体の移動時間に関わってきますから、それがシューズのメインの役割と言えます。

着地だけに注目すれば、たくさんクッションがある方がいいと思いますが、そこから蹴り出しまで、個人差もありますが、約0.2~0.3秒。マックスクッションにしても、クッションがあるだけでなくて、一番のポイントは移動がスムーズに行くことです。厚いクッションが目につきますが、「レスドロップスタイル」であることを忘れてはいけません。

それを考える合わせると、ランニング時の移動をスムーズにするバリエーションとして、マックスクッションとそしてトラディショナルトレーナーのそれぞれの存在は、共存しあい、反目しあうものではないわけです。強制誘導のドロップシューズとソールに傾斜がないため、ランナーが自然に傾きをするような、誘導に気づきを与えるレスドロップは、揺らし方のバリエーションに他なりません。

エクサイズとしてのランニングを考えたときに、トラディショナルなデイリートレーナーとマックスクッションはセットで履くことが、もっとも効果的だと言った方がいいでしょう。



NEWスタンダードはコレ
ですから、トラディショナルトレーナーとして、ペガサスがランナーに求められているのは、革新的でオーソドックスなスタンスです。これだけのロングセラーモデルが求められているポイントは、変わらない良さは残しつつ、進化し続けるという、ある種逆行したことを同時進行で実現し続けているすごさ。ペガサスは、デイリートレーナーのニュースタンダードだと言っていいでしょう。

ただペガサス35で、「わたしには薄すぎた」というような声をまわりで散見しました。実際のスタックハイトは、デイリートレーナーとして、十分な厚みがあるのですが、これは、エアロソール部分の後足部が、かなり反りあがっていて、少し後ろにも揺れるような構造になっていることが理由ではないかと思っています。

簡単にいうと、ペガサスは、「10mmドロップの坂道ソール」とレスドロップシューズがもっている「舟底のようなロッキング機能」を少し併せ持ったようなソールなのです。シューズ踵より中足部寄りの部分の方が厚くなっているという言い方をしてもいいかもしれません。

これも移動をスムーズにする工夫ですが、足裏全体で着くようなイメージで着地すると、このシューズの良さ、前足部のズームエアーの柔らかさが心地良くやってきます。強いヒールストライクをしているランナーは、まさに後ろに反り返った部分で着地することになり、踵の薄さを感じるかもしれません。

結局重心移動が長ければ、もっと言えば足の裏に体重を乗せている時間が長ければ、長いほどエネルギーロス(疲れる)わけですから、強いヒールストライクは、マイナスですので、足裏全体で着くようなイメージで着地して、ペガサスのソールの反りに寄り沿ってみるのがオススメです。

シンプルイズベストのペガサス36を手に入れろ
結論!!マックスクッションを手に入れたランナーも、是非トラディショナルなデイリートレーナーとして、ナイキ エア ズーム ペガサス 36を揃えることをオススメします。

そして、

「いままで履いたことがない人」
「ペガサス35代目の代替」
「これから走りはじめる方」


にもピッタリです。

結局、ランニングはエクササイズですから、シューズが導いてくれた体の使い方を少しずつインプットしていく、それはランナーのひとつの上達要素です。“前に進む”、“タイムがでる“、”楽だな“、の要素は自然にやってくるわけではなく、やはり能動的なインプット、アウトプットは不可欠です。

同じようなタイプのシューズ、ブランドを履き続けるのではなく、変化を買って、体の使い方のバリエーションを増やすことはとても有益なこと。

履いたことがない方は、是非ペガサス36を買って、揺らし方のバリエーションのひとつを手に入れましょう。同じ10mmドロップでもブランドがそれぞれ揺らし方に工夫がありますからね。

価格的にも12,960円(税込)と定価でもリーズナブルです。多くの方にとって一番使用頻度があるシューズだけにとても重要なポイントです。35代目は価格的には魅力ですが、新しい36代目はトレイルバーション、「ペガサストレイル」もラインナップされました。35代目がまだまだ履けるランナーは、そちらも魅力的ですね。

価格、機能性、デザインのバランスを考えたら、一度は履く価値がある、それがペガサスです。そして36代も続いているその意味を、あなたも体で知ることになると思います。

あのエリュード・キプチョゲ選手が通常トレーニングでの大半で履くのは、ヴィパーフライではなくて、ペガサスです。世界記録保持者も認めた、シンプルイズベスト、それが「ナイキ エア ズーム ペガサス 36」です。



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