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running2022.07.15

ナイキ ズーム フライ 5(第5世代)は、サステナブルな課題にも、機能性にも妥協しないテンポアップシューズ

■ついにナイキ ズーム フライ 5登場!今回も話題独占間違いなし!

2017年のあの伝説のイベント「Breaking2」(マラソン2時間切り)にはじまったこのズームフライシリーズは、この第5世代でさらなる大きな進化を遂げました。

ということで、今回は、発売したばかりの「ナイキ ズーム フライ 5」をご紹介しようと思います。

とにかく、昨今の気候変動に対する待ったなしの「サステナブルなテーマ」と、このシューズのテンポアップ、「速く走るシューズ」としてのパフォーマンスを見事に両立させたものに仕上がっています。それも妥協なくです。

ミッドソール素材にリサイクルマテリアルを使うなど、パフォーマンスを犠牲にすることなく、むしろ4世代よりも一段階ギアがあがった、市民ランナーの我々にはオールウエルカムなレースデイシューズに仕上がっていると言えるでしょう。


■機能性は正直別次元に突入!ついにZoom Xフォームが使用される!

今回のナイキ ズーム フライ 5の最も大きなトピックスは、ナイキが誇るスーパーシューズ、厚底レーシングシューズの代名詞そのものである、あの「ズーム ヴェイパーフライ 4%」から使用されている素材、あのZoom Xフォームをミッドソールに使用しているということです。

Zoom Xフォームはその混合率によっても、その性能は変わるので全く同じではありませんが、現状、最も反発弾性の強く軽量な素材、これが今回、ナイキ ズーム フライ 5に搭載されたわけです。

SR02というソフトなクッションでZoom Xフォームを包み込む形ではありますが、ソールはほぼスーパーシューズ、ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2のそれになったわけですから、そりゃ、反発弾性が別次元なのはイメージできるのはないでしょうか。

シューズを裏返して、真ん中ぐらいにスウッシュがあってクリアな窓になっていますが、その奥に見える素材がZoom Xフォームです。まずは是非このクッション感を体験してもらいたいですね。


■Zoom Xフォームはリサイクル素材、THE SCRAP

そんなパフォーマンスの高さはもちろんのこと、それでいてふんだんにリサイクル素材を使用したモデルになっています。シュータンやヒールカップにあるスウッシュが円状になったナイキのリサイクルマークがついたフットウェアは、リサイクル素材を重量の20%以上使用している証ですからね。

まずは、ナント、ナイキ ズーム フライ 5の最大のトピックスである、そのZoom Xフォームもリサイクルしたものを使っていることをあげておきたいですね。これは、THE SCRAP(スクラップ)と呼ばれていて、他のモデルの残りの素材をリサイクルして使用したものなんです。

そして、ライトウエイトなクッション素材SR02が、リサイクルZoom Xフォームを包み込むようにソール全体を覆っていて、反発弾性の強い素材の耐久性を補完するように使用されています。

その耐久性に対する課題を重量的にはZoom Xフォームで引き算、耐久面では足し算をしてこのシューズの役割としての機能性を工夫しています。


■アッパーは、ヴェイパーフライ+ペガサス?

今回、通気性と撥水性を重視したような軽量アッパー、そしてそのシルエット、素材感も、これは、まるでヴェイパーフライです。

ライトウエイトな雰囲気満点のルックスのアッパーは、第3世代、第4世代の2層構造であったアッパーからワンピースの軽量アッパーになり、そして、前足部がやや緩やかな印象。足回りが気になる方は、シュータンが独立したオーソドックスなスタイルなので、ブーティー構造(履き口のタンが広がらない)だった前モデル第4世代より、足入れは快適だと思います。

それでいて踵部、ヒールカップはしっかりとしたサポートを提供するスタイルになりました。締めるとところはしっかり締めますね、ヒール部はまるでペガサスのようにしっかりしていることも特徴です。

ここでも超軽量アッパーによる引き算、ヒール部から甲まわりのあたりのしっかり感で足し算、ナイキ ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2とナイキ エア ズーム ペガサス 39をいいとこどりしたような、そんなアッパーに仕上がっています。


■接地安定感が前モデルよりパワーアップ

早速、実走したその感触は、やはり、Zoom Xフォームのバウンドがまず印象に残りますね。それは、ただ柔らかいのではなくて、それでいて硬くないこの素材感、まさに反発して足を押し返すような感覚は前回のフルリアクトソールとは全く違う体験ができるシューズですね。

でも、予想より、もっと印象の全体を支配しているのが、接地安定感

フルレングスのカーボンプレートの存在を忘れちゃいけませんね。ここは推進力と安定感の要になっていると言っていいでしょう。それと前足部外側に設定されたサイドウォールも効果的です。

それらが一緒に、よりうまくセンターから足抜けするようなスタビリーパーツになっていますね、実走時に感じる着地の安定感はこのエリアの影響が大きいでしょう。

さらにそれを助けているのが、間違いなく、ソール前足部のプラットフォーム。今回、大幅に広がって、単純に前モデルよりソール接地面積が大きくなり、接地安定感が高まりましたね。また、ヒール部のソールは、ペガサス同様のシェイプデザインに変更されて、これも安定感に寄与しているでしょう。


■軽さだけがあなたの速さを決めるわけではない

結局、これらアッパー、ミッドソール、そしてアウトソールの軽量化と接地安定感のための引き算、足し算の合計は、わたしのサイズ25.0cm 257gという重量になっており、これは多くを物語っています。

前作「ナイキ ズーム フライ 4」は241gでした。フルサポートモデルであるデイリートレーナーモデル「ナイキ エア ズーム ペガサス 38」で249g。それでも、前回モデルまではあくまでズームフライの方が軽かったのですが、今回はそれが逆転、最新モデルのペガサス39はナント230gですから、ナント、フルサポートモデルの方がズームフライより軽くなってしまいました。

これは何故か?

ズバリ、これは、もはや、軽さだけがすべての走る速さを決めるわけではない、ということなんですよ、目的を達成するには省くより、残すべきものがあるという発想、それがむしろ厚底レーシングの発想なんですよね。

これらのシューズは、軽量を目指しますが、ミニマルな存在が最終形ではない。そして、その速いも、そのランナーのスピードの最速をサポートするために存在するわけではない、それらも大きなポイントです。


■ズバリ、あなたのロンガーディスタンスでのペースキープをポップにモチベート

スーパーシューズにはない安定感もあるが、反発弾性と安定感のバランス感が良く、逆に、ロンガーディスタンスをサポートしてくれるペガサス39のようなデイリートレーナーモデルより、安定感も担保しながら、ポップなバウンドを生み出すシューズです。

つまり、レースに出場される多くのランナーが期待しているロンガーディスタンスでの速いペースをキープするお手伝い、これこそがズームフライシリーズの必要とされている役割、ポジショニングです。

フルマラソンなどロンガーディスタンスの完走ならペガサスに任せればいいし、そのランナーの最速ならどうぞスーパーシューズも体験してほしい、そういうことなんですよね。

カーボンファイバープレートとインナー素材のZOOM Xフォームのコンビネーションは、そしてSR02ミッドソールと、考えに考え抜いた仕様で、それらはワザワザ内包して、多少重量を増すに値する、それぞれのランナーのそこそこのペースをポップにモチベーションしてくれる、そんなシューズになっているわけです。


■どんなランナーに合っているか、ではなく、あなたの合う場面で履けばいい

ただの完走請負シューズではなくて、短い距離ならイージーなペースだけど、でも、ちょっと長く続けるのは難しい、それがロンガーディスタンスに必要なサポートです。つまり、その1歩1歩のクオリティーを高めて、楽にしてくれて、その総和であるディスタンス全体のタイムアップが結果ある、それが速く走れる原理です。

サブ4用と言われる所以はそこにあるわけですが、それだけではありませんね。サブ4に限らず、フルマラソンで、スーパーシューズやペガサスと天秤にかけて選んでもいいし、もっともっと10K、ハーフなどでも同じような原理で速く走れるランナーがいることでしょう。

また、スーパーシューズがレースデイシューズのランナーなら、テンポアップワークアウト用にも当然フィットします。アウトソールの耐摩耗ラバーはミニマルな配置ではなく必要なところにしっかりある、耐久性のある仕様。トレーニングでもガンガン使えますね。わたしもワークアウト全般をこのシューズで代用、マラソンペースより少し速いペースまでで使用することが多いですよ。

つまり、どんなランナーに合っているか、ではなく、あなたの合う場面で履けばいい、そんなシューズだと思ってください。

今回は、素材の安定感と素材のバウンド感のブレンドがワクワクする感じに変わりましたから、これは長らくズームフライシリーズを愛用していたランナーにとっても購入意欲をそそられるいいシューズになっていますし、はじめてズームフライを購入しようと思っている方にも、もちろんオススメのモデル、それが第5世代のズームフライだと言っていいいですね。
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 

・富士登山競走5合目の部 準優勝  (2005)

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