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running2022.09.21

“いつも、その先に向かっていく”ミズノが取り組むサステナビリティのモノ作り。機能性と環境負荷低減を両立させたランニングシューズ「ウエーブネオコレクション」を発表。

誰もが、いつまでも、快適にスポーツを楽しめる地球環境を守るため、ミズノは環境保全活動を推進している。2050年にミズノグループの企業活動において温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現を目指しており、モノ作りにおいても環境負荷の低減を図っている。その中で機能性と環境負荷低減を実現させたランニングシューズ「ウエーブネオコレクション」を9月に発表した。

今回は、ミズノ株式会社の織田啓輔さん(コーポレートコミュニケーション室)にミズノが取り組んでいる環境課題への取り組みや商品開発について語ってもらいました。


――最初に、織田さんの現在の担当業務を教えてください。

私は広報部門で勤務しており、主にはサステナビリティ関係を担当しております。その他には決算など企業全体の広報なども担当しています。


――ミズノが環境問題に取り組み始めたのはいつ頃からでしょうか?

実はミズノは1990年代から環境問題に対して取り組みを始めていました。90年代の前半にフロンガスなどの温室効果ガスにより南極上空にオゾンホールができて、「このままでは地球温暖化が進む」というようなことが話題となっていた時代でした。その頃から全社的な環境保全活動は開始されていました。

活動はずっと地道に続いていましたが、昨年2021年5月に環境保全を含めたサステナビリティ活動をさらに加速させることと、「2050年 カーボンニュートラル実現」を目指すことを社長が宣言致しました。


――「2050年 カーボンニュートラルの実現」に向けてミズノの取り組みについてお聞かせください。

ミズノは世界中の人々が安心して生活し、生き生きとスポーツができる環境を守りたいと考えています。まずは自社が排出するCO₂(Scope1:自社の直接排出,Scope2:自社の間接排出)の削減に努めています。2030年に、CO₂排出量を2018年比で30%削減を目指しています。具体的にはオフィス照明のLED化、社用車のエコ化、などを推進しています。再生可能エネルギーの利用も検討しています。しかしこれらはミズノのCO₂排出量の3%程度にしかすぎず、それ以上に重要なのはScope3(他社の間接排出)と言われる部分で残りの97%を占めています。

https://corp.mizuno.com/jp/sustainability/sustainability-report/environment/energy


そのScope3の中でも大きな割合を占めるのが、スポーツ用品の原材料を調達し、製造し、世界各地の市場に輸送し、お客様にご購入いただき、使用され、廃棄される、という商品のライフサイクルに係るCO₂排出量です。このScope3について、2018年比で2030年には製品あたりで50%のCO₂削減を目指しています。


――これまでどのような取り組みをされてきましたか?

例えば環境負荷を低減するため、製品のパッケージのエコ化に取り組んでいます。ミズノの主力事業の一つであるシューズの箱について、2021年11月からグローバル全体で100%リサイクル紙を採用したものに切り替えています。(一部対象外あり)


――アパレルに関する取り組みはいかがでしょうか?

アパレルでもパッケージのエコ化を進めています。一部の国内生産のスポーツアパレルのパッケージに廃棄プラスティックやペットボトルキャップを再生した素材を使用しています。

――製品そのものの環境負荷低減についてはいかがでしょうか?

環境負荷がより大きい、製品そのものについても取り組みを進めています。スポーツ用品の場合、走る、跳ぶ、歩くなどの動きを支える機能が十分にないといけません。パフォーマンスブランドとして商品の機能を維持しながら、環境負荷を低減するのは容易ではありませんが、今回我々はこの課題を解決したシューズを開発致しました。


――そのシューズの特長、狙い、魅力をお聞かせください。

今回、ご紹介するランニングシューズは「ウエーブネオコレクション」と言い、「ウエーブネオウインド」、「ウエーブネオウルトラ」という2つのモデルです。アッパーやソールの素材にリサイクルポリエステルや植物由来の素材を使うことで材料の重量比で50%以上、環境配慮材料を使っています。またアッパーの製造工程では無水染色とし、通常染色時に使用される水を使用せず、水資源の保全につながっています。ミズノのランニングシューズ史上最も環境負荷を低減したシューズとなります。

さらに、製品の原材料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るまでの商品ライフサイクルにおいて排出されるCO₂相当量を、米国に植林活動を実施することでオフセット致しました。ミズノ史上初めてカーボンオフセットを実現した商品となります。環境にやさしいシューズは様々なブランドから発表されていますが、フルマラソンにも使用可能な機能性を備えた上で、環境負荷をここまで抑えたシューズは自信を持っておすすめできます。


――今回のシューズは、どのような方をメインターゲットとされていますか?

「ウエーブネオウインド」は環境問題に関心が高く、ランニング時に推進力を感じる走り心地を求めるランニング初心者からフルマラソンを走られる上級者までをターゲットとしています。

「ウエーブネオウルトラ」も環境問題に関心が高く、ランニング時に柔らかさを感じる走り心地を好むランニング初心者から中級者をターゲットにしています。ソールの厚みが39㎜あり、ふわふわとした走り心地が特長です。

ランナーの方々を含めスポーツ愛好者の皆さんにとって新鮮な空気、きれいな水というものは欠かせないものだと思います。また気候変動によって気温が高すぎると屋外でスポーツをすることが難しくなります。我々の取り組みの一つ一つは小さなものかもしれませんが少しでも環境負荷低減につながり、いつまでも、誰もがスポーツを楽しめる地球環境の維持に貢献できればと考えています。

「ウエーブネオコレクション」のように機能性と環境負荷低減の両立実現など、困難に挑戦することで新たな発想や技術が生み出され、社会課題解決のためのイノベーションにつながるのではないかと考えています。ミズノはブランドスローガンとして“REACH BEYOND”を掲げています。”いつも、その先に向かっていく”ことを意味しています。環境負荷低減についてもそうした挑戦を続けていきたいと思います。


――アルペングループも「スポーツが溢れる未来」に向けて、「アパレル、シューズ、バッグ商品の30%以上を環境に配慮した商品に切替」など2027年までの新サスティナビリティ目標を設定していますが、両社が絡み合うことで期待することや相乗効果などをお聞かせください。

環境に配慮した商品をより多く生み出し、ユーザーの皆さんに様々な選択肢をご提示することが求められていると思います。先ほど申し上げましたように、スポーツ用品として機能性・耐久性が求められることから、環境に配慮したスポーツ用品を生み出すことはなかなか簡単ではありませんが、両社が協力して、アイデアを生み出し、環境配慮型製品を世に広め、ユーザーの皆さんへのコミュニケ―ションを行うことで、環境負荷が低い、持続可能な社会に一歩でも近づいていけるのではないかと考えています。


――ミズノならではの強みや特徴などはありますか?

ミズノは経営理念として“より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する”を掲げています。創業117年になりますが、長く社員に浸透したこの理念により、「まず社会に貢献しよう!」という意識を高く持っている社員が多いのではないかと思います。

またミズノはシューズ、アパレル、ゴルフクラブや野球の用具など様々なカテゴリーの商品展開をしています。例えば用具開発の知見をシューズ開発に応用したり、アパレルの繊維の知見をシューズに応用したり、そうした相乗効果を生み出せるところも強みだと思います。現在、本社の隣にイノベーションセンターを建設中です。(今秋完成予定)さらなるイノベーションの加速が期待できます。


――最後になりますが、織田さんの今後の展望や抱負をお聞かせください。

私の主な役割はサステナビリティの広報担当ですので、ミズノの取り組みを世に発信していくことはもちろんですが、さらに広く、フェアプレーの精神やチームとしての協働など、「スポーツが持つ価値」、「スポーツの力」を通じて社会課題を解決することができることをお伝えしていければと思っています。

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