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running2023.12.26

自分の頑張りを応援してくれる、ネオレーシングフラット〜ADIZERO TAKUMI SEN 10/アディゼロ タクミ セン 10登場!〜

■ADIZERO TAKUMI SEN 10/アディゼロ タクミ セン 10登場

アディダスが誇る従来の薄底にはない機能性を備えた、まさに”ネオ”レーシングフラットの代表格、ADIZERO TAKUMI SEN 10:以下タクミ セン 10)がアップデートされ、記念すべき10代目が登場。

その10代目は、まさに一言で言って推進力を高めたランナー自身の頑張りを応援してくれるモデルです。

可能性と希望に満ちた大胆なスカーレットレッドカラーのADIZERO EKIDEN コレクションは意外にもアディダス初の試み。まさに正月恒例の駅伝をテーマに、駅伝シーズンに向けてパッケージされた限定コレクション(アディゼロ エキデン コレクション)。

ここではタクミ セン 10にフォーカスして、前作TAKUMI SEN 9(タクミ セン 9:以下タクミ セン 9)と何が変わったのか、どんなシューズなのか、どんなランナーにフィットするのか、解説していきましょう!


■まさにショートディスタンスレース用モデル、タクミ セン 10

速く走るためのロジックがフルスペックで搭載された各ブランドのスーパーシューズでは、ワールドアスレチックス(WA)のシューズルール限界の厚み40mmの中にクッションを詰め込むのが王道。復元力の高い素材は厚みがあってこそ、ランナーがそれを潰してまたそれが戻る力で、彼ら自身の努力感を減らすというロジックです。その方が反発弾性の恩恵を得られる可能性が高いわけですね。

そんな中、このタクミ センのモデルは、それとは一線を画すスタイル、やや低めのスタックハイト(ソールの厚み)に設定、5KMや10KM、またハーフマラソンまでのショートディスタンスレースでのコーナーリングやランナーの力を伝える接地感覚を重要視したモデルです。

とは言え、もちろんアディダスが誇る反発弾性素材LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライクプロ:以下ライトストライクプロ)がフルレングスで使用されています、言わば従来の力の伝達のみに特化したレーシングフラット(薄底)ではなくて、まさに素材の反発弾性も持ち合わせた”ネオレーシングフラット“と言うわけです。


■タクミ セン 10は前作タクミ セン 9から一体何が変わったか?

今回も「無駄ゼロ、ストレスゼロ、エネルギーロスゼロ」アディゼロシリーズのコンセプトはそのまま、アディダスが企業としてフォーカスしているサステナビリティを反映してリサイクルアッパーで、フィット感・軽量・通気性とこのカテゴリーに必要な機能性だけに集約したミニマルなアッパーになっています。

また、重量アップの要因になりやすい耐摩耗性の高いコンチネンタルラバーを、スピードで摩耗しやすい蹴り出し部分のみのアウトソールに配置することで一定の耐久性を確保しているあたりもこのモデルの大きな特徴です。今回もそんな素材の足し引きで27.0cm、片足200gの軽量感を実現しています。


そして、タクミ セン 9のグラスファイバー製5本骨状バーエナジーロッドから、このタクミ セン 10には、同じく素材はグラスファイバー製ですが、フルレングスのエナジーロッド2.0が採用され、このアップデートによるネオレーシングフラットとしての推進力が更に強化されましたね。


■タクミ セン 10の速く走れるロジックは?

蹴り出し時にカーボンファイバー製ロッドが”レバー”のように前方方向にガイド、そしてランナーがミッドソール素材を潰して戻すときに、ライトストライクプロが高い復元力を発揮、そのコラボレーションこそがアディゼロ アディオス プロ 3 (以下アディオス プロ 3)のようなスーパーシューズの速く走るロジックです。

対して、このタクミ セン 10のグラスファイバー製5本骨状バーエナジーロッドは、薄めのソールゆえの高いグランドフィーリングの直後、その素材の特徴として蹴り出し時の縦横方向への自由度があり、シナリを生み出して、そして強く反発するようなちょっと違うロジックとなっています。

そして、こちらもライトストライクプロとのコラボで蹴り出しに重きを置いた作りですが、接地フィーリングがセットとあることが大きなポイントというわけです。シンプルに「自分の頑張りを応援」してくれる感覚のシューズでもあるというわけですね。


■どんなランナーにフィットするモデルなのか

かつてのレーシングフラット(薄底)を超えた機能性を有しているものの、やはり構造的にも距離や走力によっては、スーパーシューズのアディオス プロ 3やアディゼロ ボストン 12を選択した方がいいケースもあるでしょう。


その助力感の違いから、一般的には5KM、10KMからハーフマラソンまでのショートディスタンスレースでの使用をイメージですから、トラックスパイクの代わりに履く、冬の駅伝を目指す学生のスペシャルレースデイシューズという表現がピッタリです。

また、私も含めて、多くのランナーにとってはインターバルトレーニングで活躍すること間違いないモデルとも言えるでしょう。

特に、しっかり追い込んで、心肺機能やエネルギー代謝に訴えかけるような400m〜1000mの負債系インターバルにはオススメです。高い目標を持ったランナーであれば、こういったショートインターバルでは「フルマラソンで履くシューズ」ではなくて、タクミ セン 10のようなシューズがあるとトレーニング効果、自分の可能性を高めることができるわけですね。


■履きやすいと速く走りたいが共存、それがタクミ セン 10

22,000円と決して安い買い物ではないですが、ライトストライクプロが内蔵されたミッドソールの反発弾性とフルレングスのエナジーロッドのシナリ感のコラボレーションは、もっと感覚的に言うと、これこそ本来ランナーが誰しも求めている「履きやすい感覚」のシューズではないでしょうか。


さらに、アップグレードしたタクミ セン 10は、フルレングスエナジーロッドからくるある種の“厚底感“があり、ストライドが自然に広がる感覚があり、使うディスタンスを考慮することは必要ですが、「速く走りたい」というランナーの欲求をも叶えてくれそうなサムシングスペシャルなレースデイシューズと言っていいでしょう。

10月にラトビア・リガで行われたロードランニング世界選手権では、他のブランドアスリートは、いちばん短い1マイルレースでもリミット40mmの厚底であるスーパーシューズを着用したのに対して、男子1マイルを制したアディダスアスリートのH・ケスラー選手、5K2位のY・ケデルチャ選手など全員でないですがタクミ センを着用と、アスリートがレースデイにリアルに選ぶ唯一無二の5K、10Kのショートディスタンスモデルであることを証明してくれていますね。

しかも、タクミ セン 10にアップデートされたことで、その状況も更に変わる可能性があります。例えば、正月の恒例の駅伝でも着用するランナーがいるかもしれません。私はその接地感覚から正月恒例の駅伝では登り区間での着用があるのではないかと注目していますが、そちらも楽しみですね。
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 

・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)

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