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running2023.12.29

UA ベロシティ エリート第二世代が満を持して登場!

■UAベロシティ エリート2(UA VELOCITI ELITE 2)登場!

UAベロシティ エリート2(UA VELOCITI ELITE 2):以下、エリート2)がいよいよ12/27から発売されます。今回、日本が世界最速での発表/発売になるとのこと、年始恒例の駅伝など日本の駅伝シーズンも考慮したタイミングでのニューリリースというわけですね。

前作はニューヨークシティマラソン(以下、NYCM)でS・ロケディ選手が、初マラソンで優勝という快挙を引っ提げてのローンチでしたが、今回も今年11月のNYCMで彼女は見事に3位、歴戦の雄2人を相手に2年連続安定した成績収めたのは素晴らしいの一言です。そして、その足元は今回発表されたばかりのエリート2だったことを追記しておきましょう。

ということで私も早速、発売前のシューズローンチイベントに行って試していきました。第1世代とは一体何が変わって、どんな機能性があるのか、そして、どんなランナーにオススメか。この辺りも含めて今回は新しいエリート2を紹介していきます。


■ドラスティックに変更されたソールユニット

ミッドソールには超軽量でねじれ、そして高い復元力の素材PEBAフォーム(ペバックスフォーム)を上層に、超臨界状態での発砲技術、スーパークリティカルフォームを下層に配置する、このコンビネーションは前回同様ですが、今回、上層のPEBAフォームが大幅に増量され、反発力を高めたソールに変化したことがトピックスです。

ランナーへの推進力への助力貢献度は、実はカーボンファイバープレート自体よりフォームの影響の方が大きいという研究があり今回、それに基づいた変更というわけですね。

しかも、乾燥地帯でも群生できる食用にならないキャスタービーンから採れるトウゴマ油を原料にした環境に配慮したBIO PEBAX(バイオペバックス)を使用していることも記載しておきます。

そして、商品名からは”FLOW”は消えましたが、ミッドソール下層スーパークリティカルソールは今回もアウトソールラバーを排除したいつものラバーレスのフローソールです。このソールの接地感覚は独特で、まるで素足のような接地フィーリングです。今回、増量されたPEBAフォームの上層との親和性も出るように素材自体の硬度を調整、前回よりソフトな設定になっています。


■純度が高い、剛性の強い、厚さ1.2mmカーボンファイバープレート

そんなミッドソール素材にサンドイッチされるのが、スーパーシューズになくてはならない要素のスプーン状のカーボンファイバープレートです。結局、PEBAソールは柔らかい素材であるがゆえに、当然ぐらつくなど不安定要素と表裏一体なわけです。

そこでかなり純度が高い、剛性の強い、厚さ1.2mmカーボンファーバープレートがその蹴り出し時にレバーの役割を果たして、素材のバウンドを方向づけしているというわけです。つまり、スーパーシューズという新しい速く走れる概念は、スーパーソフトな素材とスーパーハードなプレートの剛柔のコラボレーションというべきものなのです。

カーボンプレートがあれば速く走れるといったイメージがあるランナーも少ないかもしれませんが、PEBAフォームのバウンドがあってこそ、そしてカーボンプレートとのコラボレーションがあってあくまで速く走れるロジックが生まれるわけです。


■話題の2mm Dropは、厚底レーシングフラット?

今回、ソール全体の構造は39.0~31.0mm(踵~前足部の厚み)の8mmDrop(ソールの高低差)から39.5~37.5mmのなんと2mmDropへと大きく変わりました。


この2mmDropのソールは、ほぼフラットな形状の大胆なつま先跳ね上げスタイルになっています。あえて似ているフィーリングと言えば、かつての薄底(レーシングフラット)の雰囲気。それがそのまま厚くなった、”厚底レーシングフラット”とも言うべきフィーリングを感じました。

良くも悪くもクセのない優等生的な出来であった前作と比較して今回、全く違う発想で作られ、更なる推進力を求めてこのスタイルに変わったわけです。S・ロケディ選手のようなアスリートが履いて満足できるような作りになったと言えば分かりやすいでしょうか。


■どんなランナーにフィットするのか?

はっきり言って前回よりもランナーを選びそうですが、着用して真っ先に蹴り出し時に感じる転がるような強いロッカー、カクンっとくる着用感にとらわれすぎないことがポイントです。

“厚底レーシングフラット”と形容したように、接地を体に近い所でフラットに足を置くぐらいの方がこのシューズの良さを引き出せるように思います。気になる前足部のロッカーは自然にかつ、勝手に効いてくる感覚の方が結果効果があると感じました。

ハーフマラソン1時間40分がベストの妻が絶賛しているように、フルマラソンで言えば4分台以上の3時間30分以内のランナーのマラソンペースを応援してくれるシューズと言っていいでしょう。


■スペックを比べすぎるな、履くのはランナー自身だ

各ブランドのスーパーシューズは2023年の現在、圧倒的な差がすでにないと言っていいでしょう。ただ、私がこの記事で伝えたいはエリート2の優位性というより、アイデンティティ、個性、特徴だと思ってください。

何しろ、速く走っているのはあくまでランナー、シューズ助力が100%になったときそれはただの乗り物、スポーツの道具ではなくってしまうわけですからね。

また電化製品や車と違って足に履くものですから、サイズ選びという観点からしてもみんながみんな同じモデルを選ぶということあり得ない、つまり、ブランドの存在意義がそこにもあるわけです。ですから足にフィットしているとか、接地フィーリングがいいとか、そういうシューズ選びとしての決定因子はとても重要です。そこから実際に履いてみてエリート2を選んでみるのもありだと思いますよ。


■WARP(ワープ)アッパーもフィット感向上

ソックスが透けるぐらいのWARP(ワープ)アッパーは、通気性はもちろんのこと、テープと刺繍で構成された格子状のデザインが、まるでネットのように包み込むフィット感を作り出しています。

踵のフィット感も大きく向上したと感じました。これで甲と踵で止まるので、スペースがあるルーミーな前足部も生きてくるわけです。ちょっと足幅が気になるランナーや甲高めのランナーなどその足入れ、フィット感に満足できると思いますよ。また前作で少し大きめであったサイズ感は向上。トゥルーサイズ(いつもサイズ)でOKです。

正直、私はレース会場でまだまだ踵にスペースがある“サンダル状態”のサイズのレースデイシューズを履いているランナーを散見しています。レースデイシューズであるスーパーシューズにはその推進力への機能スペックを重要視する気持ちは察しますが、フィットしていない状態のそれでは助力感も期待できないでしょう。


■是非、新しくなったエリート2を試着してみよう

是非、好奇心を持って頂いてエリート2をお店に行って試着してみてほしいです。そのとき、何がいいのか、どういいのかは比べ方が重要です。

エリート2を着用するときは、同社のシンプルなテンポアップシューズベロシティ3も一緒に試着して比較してみるといいと思います。ベロシティ3はエリート2のワークアウトパートナー的存在で、軽量・接地感に特化したモデルです。速く走るロジックがあるわけではありません。

ですからこちらと履き比べてみて、ジャンプしてみるとか、店内を少し走らせてもらうとかしてみて、その助力感の違いを比べて感じてみましょう。きっとそれだけでも普段とは違うシューズ選びになり、もっとスピードを出して履いてみたいと感じるはずですよ。

ちなみに価格は26,400円ですから、はっきり言ってワークアウトパートナーのベロシティ3を同時に購入しても、3万円台なので3万円後半のシューズ1足と購入するのと変わらないわけですよね。是非一度足入れをして、レースデイシューズの候補の一つにしてほしい1足だと思います。
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)

・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)

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