アンダーアーマーからスーパーシューズ登場。UAフロー ベロシティ エリート デビュー!
「この速さが常識になる」
ついにアンダーアーマーからスーパーシューズ、カーボンプレート入り、軽量、ハイバウンドソールを備えたレースデイシューズが発売されます。
それがUAフロー ベロシティ エリートです。
こちらのシューズの発表イベントにも参加してきましたので、今回はその様子も合わせてシューズを紹介していきましょう。
昨年11月に行なわれたワールドマラソンメジャーズの一つ、New York City Marathon(NYC)で、セントラルパークのゴールにいち早く飛び込んで来た女性ランナーは、ナイキの選手でもなく、アディダスの選手でもなく、そして、アシックスの選手でもなく、なんと、アンダーアーマーの選手だったんですよ。
アンダーアーマーのウェアに身を包み、そして、今回ご紹介するシューズ、UAフロー ベロシティ エリートを着用した、初マラソンでの快挙を達成したシャロン・ロケディ選手でした。
また、日本では正月の箱根駅伝で、学連選抜チームのアンカー10区を走った、慶應大学の貝川選手がUAフロー ベロシティ エリートを履いてゴールテープを切りました。彼が着用したことで、アンダーアーマーが、史上7ブランド目として箱根駅伝デビューすることができ、これは大きなサプライズでしたね。
「速さを証明する」
そんな発売前からエリートランナーの実績と話題があるUAフロー ベロシティ エリートですが、それらを引き出したそのシューズの機能性は、紛れもなく、スーパーシューズのそれです。
速く走る概念が変わった昨今、シューズは、彼らが鍛えた力を引き出す、まさに彼らの「速さを証明する」機能性が搭載されていなくては彼らをサポートできなくなりました。
まず、スーパーシューズがスーパーシューズたるには、分子レベルでは最強の素材PebaxⓇ由来のミッドソール備えていること、そして、カーボンファイバープレートが搭載されていることです。
ただ、カーボンファイバープレートは、速さを引き出すパートの1つであり、すべてではありません。蹴り出しに助力をもたらしていて、PebaxⓇミッドソール+カーボンファイバープレートがコンビネーションワークの賜物といえます。
これらの要素が「速さを証明」するスーパーシューズに欠かせないわけですね。
このUAフロー ベロシティ エリートは、上層がPebaxⓇベースの反発弾性の強い素材になっていて、カーボンファイバープレートをサンドイッチして、下層のFlowソールに、上層部で作られた素材のバウンドがプレートを伝って推進力そのものに変えていく仕掛けになっています。
「FLOWソールこそこのシューズのミソ」
では、UAフロー ベロシティ エリートは他のスーパーシューズとどんなところが違って、差別化できるのでしょうか。
それは、まず、上層ソール+カーボンプレートで作り出したバウンドを伝える、この下層に配置されたFLOWソールだと思います。
プロバスケ選手も気にいってバスケットボールシューズにも使用が派生した接地フィーリングは、アウトソールという硬度の違う耐久性のあるラバーをあえてもたないソール構造。
ALL BOUNCE, NO RUBBER〜作られたバウンドがプレートに伝わっていくスーパーシューズのロジックにプラスアルファ、このFLOWソールのパワー伝達能力こそがこのシューズの大きな武器です。
ソフトなバウンドフィーリングに、今までの薄底レーシングにもあったような接地感もある、そんな厚底レーシングに仕上がっていると言っていいでしょう。
「走る前から負ける感じがしていた」
発表イベント当日は、アンダーアーマーグローバルプロダクトディレクターのD・スマイリー氏より、オンラインで商品説明がありました。
各社がスーパーシューズを開発・発売する中で、アンダーアーマーのディスタンスチーム「DARK SKY DISTANCE」のあるランナーは、
I feel like I’m at competitive disadvantage every time I toe the line
スタートラインに並ぶたびに競争上の不利な立場にあるような気がする
と吐露されたと言います。
まさに、速く走る概念が変わって、競技力=ランナー力とも言い切れない、「ランナー力×シューズ」こそが競技力に変わったわけです。その意味でも、ランナーを支えるシューズの意味は大きく変わりました。
ラケットのないテニス、バットとグローブがないベースボール。ロードランニングもシューズをうまく使って、速く走る時代になったわけなのですね。
「誰でも履けるスーパーシューズを目指した」
ただスマイリー氏は、扱いにくいけど力を発揮するエリートランナー専用のようなプロダクトではなくて、記録を目指す、速く走りたいと願うランナーなら「誰でも履けるスーパーシューズ」を作りたかったと力説していました。
いい意味で、カーボンプレートが入っているのに、それを感じさせないソールフィーリングは、いわゆるスイートスポットが広く、ランナーの技量や走力を限定しないモデルに仕上がっていますね。
これも大きな特徴、市民ランナーの味方というわけです。
体型面、筋力面で考えたとき、プレートを感じない、強く押さなくても返ってくるバウンドは、特に、女性ランナーにとっても大いに感触のいいレースデイシューズになりそうな予感が大いにしますね。
その意味でも、中央大学女子陸上競技部長距離ブロックとの提携は相思相愛、彼女たちがレースでUAフロー ベロシティ エリートを着用しているのを目にする機会が増えそうです。
「フィット感も合わせていい、バランスの良いシューズ」
商品説明のあとは、参加者お揃いのウエアに着替えて、アンダーアーマーRun Crewと共に、UAフロー ベロシティ エリートを履いてトライオンイベントに移りました。有明の開放的な空間も気持ちよく、ドリルやスプリントも織り交ぜて、このシューズのバウンド感を楽しめましたね。
WARP(ワープ2.0)アッパーは、UAフロー ベロシティ ウインド2にも使われた、ラップ状に足を包み込むスタイルですが、今回も通気性とフィット感がいいですね。これは、足の動きに追随してフィット感を提供するような、まさにレーシングシューズのためのアッパーです。
また、前足部が広めのプラットフォーム(ソール幅)になっていて、甲まわりの締め付け感も良く、それでいて踵が絞られた非常に足入れのいいラストになっています。
レーシングシューズなので、踵をフォローするような芯状のカップはないソックライクフィットですが、まさにレースデイシューズとして絞るところは絞って、必要なものは贅沢に搭載する、厳選されたフィット感になっていると言っていいでしょうね。
「タフなシチュエーションでも実証済み」
スマイリー氏の話の中に、コロナ禍ならではの、このシューズのタフさを紹介するエピソードがありました。
コロナ禍の影響で開催日程がズレてしまって、なんとボルチモアマラソン、シカゴマラソン、ボストンマラソンが3日連続で開催されることになったのですが、その3日間、3レースをUAフロー ベロシティ エリートで走ったランナーがいます。ジョーダン・トロップ選手は、結局3レース平均2時間30分30秒の3 MARATHONS IN 3DAYSのワールドレコードを樹立しました。
記録更新を目指す市民ランナーにとってはこちらの実績が参考になるかもしれません。タフなシチュエーションだったけど足がフレッシュだったと語っていたと言います。クッションと耐久性はお墨付きというわけですね。
スーパーシューズとしては“アベレージプライス“と言っていい、販売価格は26,400円税込です。
3月の東京マラソンや、アンダーアーマー直営店での限定発売も予定されていますが、3月2日より事前予約をはじめて4月1日より一般発売される予定です。
人と同じであることよりも、人と違うけど自分が信じたシューズを履く、記録目指す市民ランナーのレースデイシューズがUAフロー ベロシティ エリートです。
フルマラソンの人もいれば5kmの人もいるかもしれませんが、距離を工夫すれば、まったく履く人を選ばないスタイルと言っていいです。
はじめてのスーパーシューズにとてもオススメな1足ですね。
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)