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running2018.09.27

鈴木尚広(元巨人)のランニング哲学〜走ることは人生を豊かにする〜

 プロ野球の世界で、「代走のスペシャリスト」として活躍した元読売ジャイアンツの鈴木尚広氏。自身の武器である“足”を極めて唯一無二のポジションを確率し、走塁・盗塁でファンを魅了し続けた。
現役引退後の2017年からは野球解説者として活躍しながら、野球教室や講演など、さまざまな活動を行っている。

今回は、そんな鈴木氏に、引退後のトレーニングや昨年出場した東京マラソンについて伺うとともに、走ることの重要性について語っていただいた。“走塁職人”ならではのランニング哲学を、ぜひ堪能していただきたい。

引退してから知った、走ることの楽しさ。現役時代では味わえなかった心地良い感覚

インタビューを受ける鈴木

ー鈴木さんは現役時代、走塁・盗塁といった「足」を武器に活躍されましたが、引退してからも走るトレーニングは継続的に行っているのでしょうか?

鈴木:現役の時ほどストイックにはできませんが、仕事の合間を縫って走っています。理由としては、走ることについて教える立場だからというのもありますし、今年で40歳になったので、より自分の健康に気を使うようにもなりましたからね。

ーどれくらいの時間走っているのでしょう?

鈴木:仕事の合間で走っているので、その時にどれくらい時間があるかによります。だいたい30分〜1時間くらいですかね。

ー走る場所はジムですか?

鈴木:いえ、ジムのように閉鎖的なところでは走りません。ジムだといくら走ってもずっと同じ景色なので、飽きてしまうんですよね。

屋外で走れば、太陽の光や風を感じたり、街の景色を楽しむことができます。それに普段は電車や車の移動で一瞬で通り過ぎてしまう風景も、ランニングであれば自分のペースでゆっくりと観察することができますよね。

その時に「あ、この場所にこんな店ができたんだな」とか、そこで気づけることもたくさんあるんです。そうやって街を探索したり、自然を味わったり、気分をリラックスさせたりといろんな楽しみ方があるので、屋外で走るようにしています。

ー分かります!都会だと電車での移動が多いので、外で走ることによっていろんな発見がありますよね。ちなみに走る時に音楽は聴きます?

鈴木:聴きますよ。音楽を聴くことによって気持ちよく走れますし、リズムが取れて規則正しいピッチで走ることができるようになりますから。

プロランナーであれば、音楽がなくても、目標タイムを達成するために自分のピッチやストライドを維持して走り続けることができます。
ただ、そうじゃない人にとっては長く走るってけっこう飽きてしまいますし、自分のペースを維持することも難しいと思うんですよ。

なので最後まで楽しく走り続けられるように、音楽を聴くということはいい方法だと思いますね。

ー鈴木さんはどういった曲を聴いているのですか?

鈴木:自分の走るリズムに合った曲を聴いています。あまりにテンポが速くて激しい曲だと、自分のピッチが上がってしまうので(笑)。

なので僕の場合、アーティストや曲の歌詞で選ぶというよりかは、耳にスッと入ってくるようなBGM的な感じの曲を選んでいますね。

ーなるほど。お話を聞いている限り、現役時代はつらい部分もあったと思いますが、今は走ることに対して楽しさを感じているのではないですか?

鈴木:そうですね。やはり競技じゃないので楽しいです(笑)。

現役時代の走る目的は、自分の体力を向上させることだけ。本当にそれしか考えてなかったです。
なので、景色を楽しむ余裕なんてありませんでしたし、気分転換で走ろうなんて思ったこともなかったです(笑)。

でも今は目的が全然違うので、走ることによる心地良さを味わえるようになりましたし、「今日はここに行ってみようかな」「ここに寄り道してみようかな」って、走ってる時に楽しむものが増えたなっていう感覚はありますね。

人生初の東京マラソンで3時間台完走!鈴木尚広が引退しても走り続ける理由

インタビューを受ける鈴木

ー鈴木さんは昨年、東京マラソンに出場して、人生初のフルマラソンで3時間52分30秒という好タイムで完走されましたよね。ゴールした瞬間はいかがでしたか?

鈴木:もちろん達成感はすごくありましたけど、正直、もう2度とやりたくないと思いました(笑)。まぁやりたくないというか、本当に全てを出し切ったというのが自分の中にあったんですよね。
それに残りの7kmくらいで、マラソンの怖さというか、42.195kmを走り切ることがどれだけ大変なのかっていうことを体で感じたんですよ。

だから僕、いつも完走されているランナーの方々を尊敬しました(笑)。

でもやはり、どれだけ大変なのかっていうのはやってみないと分からないことなので、そういう意味でも非常にいい体験だったと思いますね。

ーそもそも鈴木さんといえば、走塁・盗塁というベース間を走り抜ける短距離のスピードで勝負されていましたから、それとは真逆の長距離に挑戦するというのはかなり大変だったのではありませんか?

鈴木:そうですね。でもそれも僕にとって挑戦で、今まで知らなかった何かを感じることができると思って臨んでいましたし、新しい自分を見てみたかったんですよ。

40代を目前にして、また自分の中で変化をしたかったというか。たとえ厳しい挑戦であっても、東京マラソンという舞台を経験したかったんです。

ーいまだにそういったチャレンジャー精神があるというのは、鈴木さんは引退してもやはりアスリートなんだなって感じますね。でも初めてのフルマラソンで4時間を切るっていうのは相当すごいですよ!

鈴木:自分でも頑張ったと思います(笑)。まぁ僕がいいタイムを出したからといって何も変わらないので、自己満足でしかないですけどね(笑)。

ーどれくらい前からトレーニングを始めたんですか?

鈴木:大会の3ヶ月前からです。1ヶ月でほぼ200kmくらい走りましたね。

ー短期間で相当な量のトレーニングを重ねたんですね。長距離を走る際にはどのような食事をとっていたのですか?

鈴木:炭水化物を中心に、すぐに吸収して即エネルギーになるような食べ物をとっていました。
長距離はエネルギーをすごく消費しますから。だから試合前におにぎりやお餅を食べている方ってけっこういらっしゃるんですよね。

ただ、糖質を摂取することは大事なんですけど、当然体重も落とすことも考えないといけません。走るたびに体重の分だけ足腰に負担がかかってしまうので。

でも大会の前には、持久力系運動において大切な貯蔵グリコーゲン量を高める必要があるので、カーボローディング(マラソン選手などがエネルギーを筋肉に蓄積させるための特別な食事法)を実践して臨みます。

なので試合前と普段の練習とでは、食事の取り方は少し変わってきますね。

ーなるほど。炭水化物を摂取してエネルギーを蓄えていく中で、体重を増やさないように調整しないといけない。マラソンにおける体重管理はとても難しいように思えます。では、走った後の体のケアはどうされていましたか?

鈴木:まず、走っている時は常に筋肉が緊張している状態なので、走り終わったらいかにその緊張を解放させるか、ということを考えていたんですね。なのでストレッチと入浴は欠かさず行っていました。

特にお風呂に入った時というのは筋肉が緩むので、疲労回復には効果てきめんなんです。10分〜15分くらいしっかり湯船に浸かって、疲労物質を流していく。
あとはしっかり水分補給をして、プロテインやサプリメントなんかも摂取できればいいと思いますね。

ー先ほどは「2度と出たくない」と仰っていましたが、次回の出場予定ってあったりします?

鈴木:確かに言ってしまいましたが、11月25日の大阪マラソンに出る予定です。なのでそろそろトレーニングを開始しないといけませんね(笑)。また完走目指して頑張ります!

人生を楽しむために、走り続けてほしい。鈴木尚広が伝えたい想い

インタビューを受ける鈴木

ー最後に、これからランニングを始めてみたいと考えている方に向けてメッセージをお願いします。

鈴木:少し大きな話になってしまいますが、長生きしたいのであれば走ること・歩くことは絶対にマストだと思うんです。

人間は二足歩行で進化してきた生き物。年を重ねていけば、必ず足から衰えていきます。ですから、若いうちからあぐらをかいていると将来的に動けなくなってしまう。
極端な話、動けなくなったら寝たきりですからね。そうなったら人生なんの楽しみもなくなりますよ。

楽しむことっていうのは、自分の足で動いて、いろんな場所に行って、そこでしか見ることのできない景色を堪能したり、美味しい料理を味わうことじゃないですか。

そういった意味でも、運動することは長生きして人生を楽しむためには絶対に必要な要素なんです。
なので手遅れになる前に、少しずつでもいいから取り組んでいってほしいですね。

ー元気なうちに、動けるうちに始めて習慣づけておくべきだと。

鈴木:その通りです。動けるうちにやり始めないと、10年後、20年後の自分の未来、楽しみが減ってしまう可能性が大きくなってしまいます。

誰だって、生きているうちは美味しいものを食べたいじゃないですか。
行きたい場所へ旅行に出掛けたいじゃないですか。

そういった楽しみを少しでも長く味わえるように、今のうちから走ったり、歩いてりして準備していってほしいんです。

先ほど言ったように、これから走り始める方はリフレッシュするという目的で走ってみてください。
気分転換で走ったり、景色や音楽を楽しんだり。なんでもいいんです。

まずはランニングシューズを履いて、散歩をする気軽さで外へ出てみましょう。その一歩を踏み出すことができれば、きっと自分の中の何かが変わるはずです。

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