山田哲人とアンドリュー・ジョーンズの“夢のタッグ”が実現!野球の新競技で豪快打撃披露【Red Bull Batting Maniaイベントレポート】
12月1日、ベースボール・バッティングコンペディション大会『Red Bull Batting Mania Japan Final(レッドブル・バッティングマニア・ジャパンファイナル)』が明治神宮外苑の室内競技場で開催された。
スペシャルゲストチームとして、東京ヤクルトスワローズの山田哲人と元東北楽天ゴールデンイーグルスのアンドリュー・ジョーンズが参加。トーナメントを勝ち上がったチームが、現役プロ野球選手にバッティングセンターで“ガチンコ対決”。プロアマ関係ない、打撃スキルのみを競い合うこの新しい競技で、日本一のバッティングコントロールを持つプレイヤーは誰なのか。今回は大会の決勝ラウンド、そしてプロとのドリームマッチの模様をお伝えする。
「ホームランなんていらない」
「ただ的に打球を当てればいい」
そんなシンプルなルールのもとで行われる大会こそ、レッドブル主催の『Red Bull Batting Mania』。
ルールとしては、1組2名(16歳以上)のチームで参加し、バッティングマシーンの球(球速90キロ)に1名25球×2回チャレンジ。ポイントが定められた枠内に打球が入ったら得点を獲得し、その合計得点を競う。つまり、“バットコントロールのみ”で勝負するという新しいスタイルの競技だ。
※各ポイント(10点・30点・50点)が記された的
今大会は10~11月に札幌、東京、名古屋、大阪、広島と、それぞれのバッティングセンターで予選を開催。580以上のチームから選ばれた一般部門11チームに加え、当日のラストチャンス予選で勝利した1チームを合わせた計12組、さらに今年初開催の女性部門として予選通過した4チームが、この日実施する明治神宮外苑の室内競技場での決勝ラウンドに出場するチームとなる。
そして一般部門優勝チームは、ゲストとして来場する山田哲人とアンドリュー・ジョーンズとの対決に挑戦することができるのだ。
女性部門のチームは、それぞれシュアなバッティングで確実に的を打ち抜き、得点を積み重ねていく。体ギリギリまでボールを呼び込み、おっつけながら弾き返していった。女性部門は初開催であったものの、終始大きな盛り上がりを見せていた。
対照的に一般部門のチームは豪快なフルスイングを連発し、鋭い打球を飛ばしていく。的に当たれば、その都度大きな雄叫びをあげて喜びを爆発。それに呼応するかのように自チームや観客席も盛り上がり、会場全体の熱気も高まっていった。
決勝ラウンドの戦いが終わると、ゲストの山田とジョーンズが登場。2人のビッグスターの名前がコールされた途端、会場からは待ってましたと言わんばかりに大きな歓声が沸き起こる。それぞれ白とグレーのアディダス製ウェアを身にまといながら、笑顔で報道陣と観客の前に姿を現した。
初開催の女性部門の結果は、2016年の第7回WBSC女子野球ワールドカップで優勝した日本代表のメンバー金由起子も参加するなど、実力者が揃う中、確実性の高い打撃を見せていた「早稲田アンビシャス」が初代女王の座を獲得。
一般部門は大阪予選を1位通過した「丼不良呼(どんぶらこ)」が栄冠を勝ち取り、表彰台の真ん中で高々と優勝プレートを掲げて見せた。同チームの2人は表彰式後、インタビューに応じると「相手は強かったけど、勝ててよかったです。来年もまた来ます!!」と2年連続となる決勝ラウンド進出を誓った。
そして、いよいよ山田とジョーンズとのドリームマッチが実現。山田は当大会で使用されている軟式球に対して「難しいですね。少しでもズレたら前に飛ばないので、しっかりとミートしないといけない。硬式球より難しいです」と苦手意識を感じていた。
だが、それでも打席の中で少しずつタイミングを合わせていくと、終盤は体に巻きつくようなスイングから火の出るような当たりを連発。ほとんどの打球を左中間方向に運び、引っ張りで高得点を叩き出していた。
続けてジョーンズが打席に入ると、会場の雰囲気が一変。場内にはBGMとDJによる実況のみが鳴り響き、メジャー通算434本塁打を放ったスーパースターを、観客は静かに、まじまじと見入っている様子だった。
楽天在籍2年目となる2014シーズンは、打率.221ながら安打数99より多いパ・リーグ新の118四球を選び、出塁率.394という成績を残したジョーンズ。そんな類稀なる選球眼でボールを見極め、左中間方向にライナー性の鋭い打球を飛ばすその打撃は、かつて楽天を4番打者として球団初の日本一に導いた時の姿がよみがえったかのような内容だった。
試合結果は、スペシャルゲストチームが1085ポイントに対し、「丼不良呼」が1230ポインを叩き出して見事勝利。山田は対戦相手の2人のバッティングを見て「スイングがすごく綺麗ですね。やっぱり、ここまで来ただけのことはあるなという感じですね」と感心していた。
続けて今後の目標を聞かれると「来年も“山田哲人よく活躍したな”って言われるような数字を叩き出したいと思いますので、引き続きご声援よろしくお願いします」とすでに来シーズンに向けて気合十分な様子だった。
一方のジョーンズは「僕は負けず嫌いなので、今回負けてしまったことはすごく残念。でも日本人ファンの皆さんの前でバットをもう一度振れてすごく嬉しかった」と大会を振り返ると、MCからの来年も参加できますか?という問いに対し「ぜひ!明日でもいいですよ(笑)」とお茶目な一面も覗かせた。
そして、大会終了後には囲み取材にも応じたジョーンズ。山田の印象について聞かれると「2013年に初めて日本に来た時からすごい選手だと思っていた。ここ数年でさらに成長を遂げて、今やエリートプレイヤーですね」と絶賛。続けて「すでにメジャーで勝負できるレベルに達しているから、あとは彼が次に何をやりたいかが重要」と今後の活躍に太鼓判を押した。
こうして幕を閉じた2018年レッドブル・バッティングマニア。冒頭でも話したが、この競技はホームランを打つ力は必要なく、的に当てる技術さえ持ち合わせていれば誰でも頂点を目指すことができる。そう、今からでもミート力、バットコントロールを磨いていけば、優勝プレートを掲げることができ、プロ野球選手と戦うことも夢ではないのだ。
来年、この場に立ちたいというチャレンジ精神を燃やす方は、大会スタイルのバッティングを追求し、そして、ぜひ自身の打棒で夢の切符を掴み取っていただきたい。