地区シリーズMVPも世界一を逃したドジャース前田健太は「チームの負けは一番悔しい」と2019年を総括
またしてもドジャースは、ワールドチャンピオンの座を掴み取ることはできなかった。
10月9日(日本時間10月10日)、本拠地ドジャースタジアムで行われた、ナショナルズとの地区優勝決定戦第5戦。
勝った方がリーグチャンピオンシップへの出場が決まるこの試合で、ドジャースは、後に2019年のワールドチャンピオンに輝くナショナルズに7対3で敗れ、地区シリーズ敗退が決定した。
この日の前田健太投手は、同点の8回途中に3番手として登板。打者3人に3者連続三振を奪う活躍を見せたが、後続の投手が打たれチームは敗戦。
ポストシーズンは4試合に登板して無失点。救援部門として地区シリーズのベストナインにも選ばれた前田だが、「自分が良くても、チームが負けるというのは一番悔しい」という言葉通り、悔いの残る形でシーズンを終えることとなった。
2018年はワールドシリーズに進出したものの、レッドソックスに3勝4敗で敗れたドジャース。
1988年以来のワールドチャンピオンを見据えた今シーズン、前田は順調な滑り出しを見せた。
初先発となった3月30日(日本時間31日)のダイヤモンドバックス戦で、初勝利を挙げた前田は、5月末までに7勝(2敗)。チームのスタートダッシュに大きく貢献した。
だがここから、長いトンネルに突入する。6月以降は勝利に恵まれない試合や、5回持たずに降板する試合が続き、8勝目を挙げたのは、シーズン終盤に差し掛かろうとしている8月10日(日本時間11日)のダイヤモンドバックス戦。
「ずっと(調子が)悪かったわけではないですが、なかなか勝てず、最近は調子も落としていた。気分が乗らないときもあった」と前田自身も話すように、優勝を見据えて勝利を積み重ねるチームにおいて、苦難の日々を過ごした。
そして前田が先発投手として復調の兆しを見せつつあった9月2日。リーグ優勝を目前にした状況で、デーブ・ロバーツ監督にリリーフ転向を言い渡される。
カーショウや柳賢振といった安定感抜群の先発陣とは対照的に、2019年シーズンはリリーフ陣に不安を抱えていたドジャース。
絶対的な守護神として君臨するケンリー・ジャンセン以外は「ほぼ白紙状態」というなかで、ポストシーズンでリリーフとしての実績がある前田が、今シーズンもその役割を担うこととなった。
「ケンタはいわば第2先発で、とても重要な役割だと考えている。プレーオフでは、毎試合大事なところで準備させる」(9月8日)と、語ったロバーツ監督の期待に、前田もピッチングで応えた。
9月2日(日本時間9月3日)のロッキーズ戦で今シーズン初セーブを挙げると、9月は10試合に登板して2勝3セーブ。「リリーフなので勝ち星はあまり関係ない」(8日)と前田自身は淡々と語っていたものの、2年ぶりの2桁勝利もマーク。ドジャースの7年連続地区優勝に貢献した。
「何が起こるかわからない戦いになると思うので、いい状態をキープして、いつでも投げられるように準備していきたいです」と語った前田は、ポストシーズンでもその言葉通りのピッチングを見せた。
ナショナルズとの第1戦で、1回3分の2を無失点に抑えて勝利(6対0)に貢献すると、第3戦でも打者2人を5球で仕留めて勝利に貢献。ドジャースのリーグチャンピオンシップ出場まで、あと一勝のところまでチームを手繰り寄せた。
続く第4戦も、「打たれたら一気に試合が決まってしまう状況。抑えないといけないという気持ちだった」という3回2死満塁の場面で登板し、無失点の好投。だが、残念ながらチームは敗れた。
そして、2勝2敗同士で迎えた第5戦。勝った方がリーグチャンピオンシップ出場というこの試合。「勝つための準備をする」と意気込みで臨んだ前田は、この日も同点の8回途中から登板。3者連続三振の快投を見せたものの、後続投手が満塁本塁打を打たれ、ドジャースは敗戦。
前田自身は4試合に登板して無失点の活躍を見せたが、ドジャースはそれを生かせず、まさかの地区シリーズ敗退と、31年ぶりワールドチャンピオンを逃す結果となった。
試合後には、「今シーズンは50~60点くらい。無失点で次の回につなぐことしか考えていなかった、精いっぱいの投球はできたが、チームの敗戦は悔しい」と、2019年を総括した前田。
課題としている左打者との対戦やスライダーの復調など、2020年シーズンに向けた手応えや抱負についても語られた。試合後に、自身のインスタグラムで「また来シーズン成長した姿を見せられる様にオフシーズンを大事に過ごして行きたいと思います」(原文)と締めくくった前田。
来シーズンの起用法や契約、トレードに関する話題など、グラウンド外での話題も事欠かない前田だが、来シーズンはどのようなシーズンを過ごすことになるのだろうか。
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