エンゼルス・大谷翔平に魅了されるメジャーリーガー続出。その理由とは
皆さんは今年のメジャーリーグのオールスターゲームを観ただろうか。現地時間7月13日、アメリカはコロラド州デンバーで行われた、メジャーリーグを代表するスター選手が一堂に会する夏の祭典だ。その中でも一番の話題となったのは、打者としては前半戦トップの33本の本塁打を放ち、投手としても4勝1敗、87奪三振という成績を残しているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手だ。
今年の大谷選手の大活躍は語るまでもないだろう。本格的に“二刀流”として復活した今季、先ほど述べたように打っては特大ホームランを連発し、投げては160キロ以上の速球という驚異的な身体能力を、野球の最高峰であるメジャーリーグで披露している。その姿にアメリカのメディアも毎日のように仰天している。
そんなアメリカが熱く盛り上がる中、今年、大谷選手はメジャー史上初めて「指名打者」と「投手」としてオールスターに選ばれた。大谷選手の凄さはそれだけではない。オールスターゲームの前日に行われるホームランダービーというホームランの数を競うイベントにも、日本人選手では初めて、そして投手としても初めて参加した。惜しくも初戦敗退という結果ではあったが、延長に次ぐ延長という激戦を繰り広げ、計28本という記録も残し、その中継の視聴者数はなんと約710万人となっていた。それだけアメリカでは大谷選手に注目が集まっている。
そして、迎えたオールスターゲームの本戦。ここでも大谷選手はファンとメディアを圧倒した。大谷選手は所属するア・リーグの「1番・指名打者」、そして先発投手としての投打二刀流での出場を果たした。これはメジャーの歴史においても史上初の快挙だ。また、これまでのオールスターゲームはレギュラー戦同様、投手が打順に入る場合は指名打者制の解除が必要だった。しかし、メジャーリーグ機構は、このオールスターゲームの直前に、大谷選手が「二刀流」で出場できるよう、指名打者制を解除しなくても済む異例の特別ルールを設けたのだ。このルール変更には、ア・リーグを指揮したタンパベイ・レイズのケビン・キャッシュ監督も尽力している。
メジャーリーグや関係者が協力し、ルールを変えてまで見たかった二刀流。試合に臨んだ大谷選手は、打者としてこそ2打席無安打であったが、先発投手としては160キロの速球を連発し、1回無安打三者凡退という好投を見せ、見事勝利投手にも輝いた。日本人選手がオールスターゲームで勝利投手となるのは、2019年の田中将大投手(元ニューヨーク・ヤンキース)以来、2人目の快挙だ。
メジャーリーグはこの快挙を讃え、大谷選手が試合中に使っていた用具などをアメリカの野球殿堂博物館に寄贈し、その記録を永遠に残すことを決めた。また、アメリカの数多くのメディアもこの偉業をこぞって取り上げた。
今や大谷選手の知名度は全米規模になっている。日本人選手がこれだけ有名になったのは、元マリナーズのイチロー選手以来、いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。とにかく大谷選手を讃える声は後を絶たない。
そんな大谷選手の人気は、ファンやメディアだけにとどまらないことをご存知だろうか。そう、メジャーリーグで活躍する多くの有名選手やOBが、大谷選手のファンであることを公言しているのだ。
例えば、ニューヨーク・ヤンキースのエース、ゲリット・コール投手。彼は今年の4月、メディアに対して「僕は大谷の大ファンだ」と明かし話題になった。それだけではない。今回のオールスターゲームでも大谷選手とともに出場した選手は彼に対し数々の賞賛を送っている。
ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手は、「前日にホームランダービーに出て、翌日には投打で試合に出るなんて信じられない」と驚き、ホームランダービーで大谷選手と競ったワシントン・ナショナルズのフアン・ソト外野手も、「彼はなんでもできる。彼がやっていること全てが信じられない」と賞賛のコメントを残している。
そして、ナ・リーグの先発を務めたナショナルズのマックス・シャーザー投手は、「素晴らしいアスリートだ」と褒め称え、さらに今オールスターゲームでMVPを獲得したトロント・ブルージェイズのブラディミール・ゲレーロJr.内野手は試合後の会見で、「僕はオオタニをMVPに選ぶよ」とまで述べている。
メジャーリーグのトップ選手をも魅了する大谷選手であるが、その人気の理由はその卓越した才能だけではない。彼らが大谷選手をここまでリスペクトするのには、大谷選手の野球に対する姿勢にこそ、その理由がある。
大谷選手は野球にストイックだ。日々練習を怠らず、そして試合では存分に野球を楽しむ。打ったら全力で走り、勝てば他の選手と喜びを分かち合う。それはまるで野球が大好きな少年そのものだ。そんな純粋さを持ちながらあれだけの活躍をすることに、アメリカは驚きと賞賛を送っているのだ。
また大谷選手の礼儀正しい姿も人気の一つである。例えば、6月21日から始まったイニング間の粘着物検査で、23日に初めて検査を受けた大谷は、笑顔でグローブと帽子を審判に渡し敬意を示した。このように選手だけではなく、審判に対しても礼儀正しく接している姿は現地でも絶賛されている。さらに、オールスターゲームの試合直前の行動も話題になっている。投球練習を終えマウンドに戻ろうとする大谷選手は、フィールドに落ちていたゴミを拾いそのままポケットにしまった。このように大谷選手は大好きな野球に関わる全ての人や物に対して、尊敬と感謝の気持ちを示している。
もちろん大谷選手には素晴らしい才能があるから今のような成績を残せているのだが、それだけではこれだけ大きな話題になることはないだろう。しっかりと練習をすること、挨拶をすること、そして感謝の気持ちを常に持ち、その姿勢をフィールドで示すこと。単純なことかもしれないが、これら基本的なことをメジャーの舞台でも続けているからこそ、大谷選手に対してこれだけの注目が集まっている。なぜなら、大谷選手の姿を選手やメディア、ファンたちはちゃんと観ているからだ。
私たちも大谷選手のこの姿勢を真似してみれば、将来何か大きな道が開けるかもしれない。今後は大谷選手のプレーだけではなく、彼のフィールドでの行動一つ一つに注目をしていきたい。
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