野球用語のスクイズとは? 成功させるコツを知って大事な1点を取ろう
野球中継を見たことがある方は、「スクイズ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。スクイズは、野球やソフトボールの試合で1点を争う緊迫したシーンで取られることがある戦術です。
ここでは、野球用語におけるスクイズの概要や行われやすいシーン、スクイズの成功率を高めるためのコツをご紹介します。
【目次】
■野球におけるスクイズとは?
野球におけるスクイズとは、ノーアウトもしくはワンアウトで、ランナーが3塁にいる際に行う作戦です。投手が投球動作を開始したら3塁ランナーは本塁に向かって走り、バッターは来たボールをバットに当てて打球を転がします。そして、相手守備が打球処理をしている間に3塁ランナーを生還(ホームイン)させ、1点をもぎ取るというプレーです。
英語のスクイズ(spueeze)には「搾り取る」という意味があるのが語源とされ、語源の通り、同点で迎えた最終盤など何がなんでも1点を奪いたいシーンで使われます。
成功すれば、打者の打力に関係なく1アウトで確実に1点をもぎ取れるのがスクイズの魅力です。一方で、失敗した場合は3塁ランナーがアウトになりチャンスが一瞬でつぶれてしまうという、ハイリスクなプレーでもあります。
■バントとスクイズの違い
スクイズと混合されやすい野球用語に「バント」があります。バントとは、バッターがバットをストライクゾーンに寝かせるように構え、ボールに軽く当てて内野にゴロを打つプレーのことです。送りバントや犠打、犠牲バントと呼ばれることもあります。
スイングせずに球の転がる勢いを殺すことで、バッターがアウトになるのと引き換えに、1塁または2塁ランナーの進塁させるのがバントの目的です。
バッター自身も出塁することを目的としたバントはセーフティーバントと呼ばれます。
バントとスクイズの最も大きな違いは、進塁させたいランナーが3塁にいるかどうかです。3塁ランナーがいる状態で1点を奪うために行うバントを「スクイズ」、1塁や2塁ランナーの進塁を目的として行うプレーを「バント」または「送りバント」などと呼び分けています。
■スクイズの種類
スクイズは、そのプレー方法によってスーサイドスクイズとセーフティースクイズの2種類に分けることができます。それぞれどのようなプレーなのかをご紹介します。
・スーサイドスクイズ
3塁ランナーが投手の投球動作と同時に走り出すプレーで、一般的にスクイズといった場合はスーサイドスクイズを指します。ランナーに「次の球で走れ」と指示するサインを「ディスボール」と呼ぶことから、ディスボールスクイズと表記される場合もあるようです。
スーサイド(suicide・自殺)の名前の通り、バッターが空振りしたり小フライを打ち上げたりした場合は、ランナーはほぼ確実にアウトになるリスキーなプレーです。
バッターは確実にバントを決めなければいけませんが、バットにボールを当ててゴロさえ打てれば、高い確率で1点を取ることができます。
・セーフティースクイズ
バッターはバントできそうなボールが来たらバントを行い、3塁ランナーはバントが成功したことを確認したうえで本塁に突入するかどうかを決めるプレーがセーフティースクイズです。
セーフティーバントとは違い、打者がセーフになることではなく、あくまでも3塁ランナーを安全に進塁させることを目的としています。
打球を判断してから本塁に突入するため、バントを失敗してもランナーがアウトになる可能性は低いですが、その分スクイズの成功率も下がります。
バッターには確実に1塁側に転がすバントの精度が、ランナーにはスタートの可否やタイミングを決める判断力が求められるプレーです。
■スクイズが行われやすいシーン
野球の試合でスクイズの成功率を高めようと思った場合は、スクイズがどのようなシーンだと使いやすいかを知っておくことも重要です。守備側の場合も、相手がスクイズをしてきやすいシーンを覚えておけば、不意を突かれる可能性を減らせるでしょう。
実際の試合でスクイズが行われやすいのは、以下のような場面です。
・ボール球が投げづらいカウント
ストライクカウントが先行していてピッチャーに余裕がある場合、1球大きくボールを外してくる可能性があるため、スクイズを行うのは難しいです。
逆に、ボール球が先行している、前のバッターが四球で出塁した直後の初球など、相手がストライクゾーンに投げてくる可能性が高いシーンだと、スクイズを行いやすくなります。
・相手投手のコントロールが良い場合
コントロールが悪い荒れ球の投手だと、ボールがどこに来るのかわかりづらく、空振りするリスクも上がります。相手投手のコントロールが良く、ストライクが欲しい場面でしっかりとストライクゾーンに投げ切れる投手の方が、ボールを転がしやすくなります。
・左ピッチャーが投げている
左ピッチャーが投げているシーンも、比較的スクイズを行いやすいといえるでしょう。左投げの投手は3塁ランナーに対して背中を向けて投球を行います。3塁ランナーの動きを確認したり牽制したりするのが難しいため、3塁ランナーはリードを大きめに取れるのです。
また、バッターが右打席に入っている場合は、キャッチャーからも3塁ランナーの動きが見づらいです。ランナーのスタートに対してボールを外すなどの対処が遅れやすいため、スクイズの成功率がさらに上がります。
■スクイズを成功させるポイント
スクイズを成功させるためには、成功しやすいシーンを踏まえたうえで、バッターのボールを転がす方向やランナーの走塁意識などが大切です。
スクイズを成功させるうえで欠かせないポイントを、3つご紹介します。
・ボールを転がす方向
スクイズを成功させるうえでは、ボールを転がす方向が重要です。一般的には投手が右投げの場合は3塁側に、左投げの場合は1塁側に転がすようにします。
これは、右ピッチャーの場合はグローブが左手側にあるため、3塁側でキャッチさせた方が送球しづらくなるためです。
ただし、ランナー1塁・3塁という状況の場合は、ファーストは牽制処理のためベースに着きます。ゴロに突っ込みづらく、打球処理にかかる時間が延びるので、このようなシーンでは1塁側にボールを転がした方がスクイズの成功率は高まります。
ランナーがボールの勢いを確認してスタートの判断をしやすくなるため、セーフティ―スクイズの際も1塁側に転がすのが有効です。
・バットにボールを当てる意識を持つ
バッターはファールになっても良いので、ボールにバットを必ず当ててゴロを打つという意識を持つ必要があります。バットに当たらなかったりフライを打ち上げたりしてしまうと、ランナーが戻れずにアウトになる可能性が上がるためです。
また、相手投手やキャッチャーにスクイズを悟られないように、できる限りリリースの直前でバントの構えに移ることも大切です。
・ランナーが走り出すタイミング
スクイズでは、ランナーが走り出すタイミングが早すぎると、ボールをわざと外されたりする恐れがあります。基本的には、投手がボールをリリースする瞬間にスタートを切るようにしましょう。
また、スタートが遅くなるからとリードを大きめにとってしまうと、牽制でアウトになる可能性があります。リードは小さ目に取っておき、投手が投球動作に入ってから取る「第2リード」を大きめにする癖をつけると良いでしょう。
■スクイズを確実に決められるようになろう
スクイズはリスクが高いですが、成功すれば試合の流れを変えられる可能性があるプレーのひとつです。1点が欲しい緊迫した場面で行われることが多いため、スクイズが成功するかどうかが試合展開を決定づける場合もあります。
スクイズのコツを抑えておき、1点が欲しい場面で確実に決められる選手を目指して、チームの勝利に貢献しましょう。
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