【野球】牽制球を投げる意味とは? 牽制球の効果や上手な投げ方をご紹介
ピッチャーやキャッチャーが、ランナーのいる塁にボールを投げる「牽制球」。プロ野球の試合でも目にすることが多い、野球の基本的な戦術のひとつです。しかし、ピッチングやバッティング、走塁、守備といった技術に比べると地味なプレーでもあり、あまり重点的に練習していないという方も多いでしょう。
牽制の有無が試合の流れを左右することもあるので、牽制球の効果やコツはしっかり知っておく必要があります。ここでは、牽制球の効果や上手な投げ方のコツなどをご紹介します。
【目次】
■野球の牽制の効果
牽制球(牽制)とは、ピッチャーがランナーのいる塁にボールを投げ、進塁を防ぐプレーのことです。頻度は多くないものの、キャッチャーが牽制球を投げる場合もあります。
では、牽制球を投げることで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
・盗塁を防ぐ
通常、盗塁するランナーはピッチャーの投球動作に合わせて走り出すため、リードを大きめに取って次の塁に近づき、盗塁の成功確率を上げます。ただし、リードを大きくするほど塁から離れなければいけません。
足が速い、盗塁が上手など、走ってきそうなランナーに対して牽制球を投げれば、大きなリードを取りにくくなり、盗塁される可能性を減らせます。リードが大きすぎて塁に戻れなかった、裏をかかれて飛び出してしまった場合などは、ランナーをアウトにすることも可能です。
特に、バッティングカウントと呼ばれる打者有利のカウントや、フォークなどの落ちるボールを投げる可能性があるカウントでは、相手が盗塁などの足を絡めた攻撃を仕掛ける可能性が高いです。そのようなカウントで牽制球を投げておくと、盗塁を防いだりアウトにしたりする確率も上がるでしょう。
・相手の戦術を見抜ける
ノーアウトやワンアウトでランナーがいる場合、送りバントやスクイズ、進塁打など、攻撃側はさまざまな戦略を取れます。
しかし、ピッチャーが牽制をすることで、バッターが投球したと勘違いして、バントの構えを見せるかもしれません。「相手がバントを仕掛けてくる」と戦術を見抜ける可能性がある点も、牽制を行う効果のひとつです。
また、ランナーが盗塁してバッターは必ずヒッティングを試みる「ヒットエンドラン」を狙っている場合など、相手ランナーが盗塁への意識を強く持っているシーンで牽制球を投げるのも有効です。
・間を置ける
フォアボール(四球)やデッドボールを出してしまった、連打を浴びたなど、投手が動揺しているシーンに牽制を挟むのも効果的です。投球までの間を取ることで、集中力を高めて気持ちを落ち着けられます。
また、投手が気持ちを落ち着けるだけではなく、打者の集中力を下げて有利な状況を作ることも可能です。
■上手な牽制のコツ
牽制球は投手とランナーとの駆け引きです。適当にランナーがいる塁に投げれば良いというわけではありません。牽制球の効果をより高めるために、意識したいコツをご紹介します。
・タッチしやすい場所に投げる
牽制球は、ボール保持者がランナーに触れる「タッチアウト」しか取れません。ファーストやセカンドなど、塁を守っている野手がランナーにタッチしやすい位置に投げることが重要です。
基本的には、塁の少し左側をめがけて投げると、タッチアウトを取りやすくなります。
ファーストが塁についたシーンで牽制球を投げる場合は、野手の右ひざ辺りを狙うのがおすすめです。セカンドに牽制する場合は、2塁ベースの上をめがけて投げると良いでしょう。
どちらも、野手はボールを捕ったらそのままグローブを下げるだけでランナーにタッチできます。
牽制球のコントロールが悪いと、ランナーの裏をかけてもアウトにできなかったり、野手がボールを捕れない暴投となって進塁を許したりすることも考えられます。
牽制を有効に使いたい場合は、狙った場所に投げ切れるコントロールを身につけましょう。
・モーションを速くする
牽制の成功率を高めるためには、ボールを投げる動作を速くすることも求められます。右ピッチャーの場合は、軸足になる右足を支点に体を素早く回転させてボールを投げましょう。
バッターに投げるときと異なり、テイクバック(腕を引く動作)を大きく取る必要はありません。
ただし、速く投げることを意識しすぎると、コントロールが不安定になるので注意が必要です。
また、盗塁を防ぐために、ランナーがいる状態では「クイックモーション」で投げることも求められます。クイックモーションとは、足を上げてステップする時間をランナーがいないシーンよりも短くする投げ方のことです。
「ワインドアップ」と呼ばれる、頭の上に腕を振りかぶって投げるモーションに比べて、ボールを投げるまでにかかる時間を減らせます。投球そのものにかかる時間を短くすれば、ランナーがスタートを切りにくくなるため、盗塁の成功率を下げることが可能です。
・投げるタイミングに変化をつける
牽制球を毎回同じようなタイミングで投げても相手は予測を立てやすく、効果が薄れてしまいます。投げるタイミングに変化をつけることもポイントです。
例えば、最初は少し時間をおいてから、次はセットポジションを取ってすぐに牽制球を投げるといった具合でタイミングをずらせば、相手ランナーも帰塁のタイミングが掴みにくくなります。
また、キャッチャーとサイン交換をしているときなど、ランナーの不意を突くタイミングで牽制を入れるのもおすすめです。
■牽制球を投げる際の注意点
牽制球は相手の盗塁を防ぐことができる作戦ですが、さまざまなルールが設けられています。違反した場合は「ボーク」を宣告され、すべてのランナーが次の塁に進んでしまうので注意が必要です。
牽制球の際に注意したいポイントは、以下の通りです。
1.ピッチャーズプレート(投手板)に触れたまま偽投をしない
投手がピッチャーズプレートに触れている場合、牽制する動作だけ見せてボールを投げない「偽投」はできません。牽制球を投げる動作に入ったら、必ずランナーがいる塁に送球する必要があります。
ただし、2塁への偽投は認められていて、ピッチャーズプレートに触れていなければ1塁や3塁に偽投するのも問題ありません。
2塁ランナーがいるシーンなら、2塁への偽投を活用してみるのもおすすめです。
2.体は牽制球を投げる塁に向ける
牽制球を手だけで投げる行為は禁止されています。足を投げたい塁側に踏み出し、体を塁に向けた状態で牽制球を投げる必要があります。
いずれのルールも、ピッチャーズプレートから足を離していれば適応されません。自由に牽制球を投げたい場合は、一度プレートから足を外すようにしましょう。
また、牽制球に回数制限はないため、1試合に何度でも行うことができます。ただし、牽制球の投げ過ぎは遅延行為とみなされ、審判からボークを宣告される恐れがあります。
■牽制球を活用してチームの勝利に貢献しよう
相手の盗塁を防いだり、作戦を見抜く手助けになったりと、牽制球は地味ですが重要な意味を持つプレーです。ただし、投手が投げ方やルールを覚えていないと、ボークを取られて相手に進塁権を渡してしまったり、暴投してピンチに陥ったりする恐れもあります。
効果的なシーンでしっかり投げられるように、練習を積み重ねておくことが大切です。盗塁されることが多いという方は、これを機に牽制球の投げ方も練習してみてはいかがでしょうか。
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