フリーワード検索

other2023.07.21

NBAプレーヤー渡邊雄太選手が中学生年代と交流!「努力の大切さ」を伝え、W杯での躍進を誓う!!

未来を担う世代が、夢の時間を過ごした。

7月16日、東京都内で『Jr.NBA Powered by B.LEAGUE Basketball clinic in JAPAN」が行なわれた。Jr.NBAは世界の少年少女へ向けたプログラムで、基本的なスキルとゲームの核となる価値観を教えている。今回は13歳~15歳の男女およそ100人の選手が参加し、8月下旬開幕のW杯2023を控える男子日本代表候補の渡邊雄太選手が参加した。

高校卒業とともにアメリカの大学へ進学した28歳の渡邊選手は、NBAの複数チームで5シーズンにわたってプレーしてきた。22―23シーズンはブルックリン・ネッツに在籍し、1試合平均出場時間、1試合平均得点、3ポイントフィールドゴール率など多くの項目でキャリアハイを達成した。7月上旬には、フェニックス・サンズと2年契約を結んでいる。今回は一時帰国中の多忙なスケジュールのなかで、Jr.NBAのクリニックに参加することとなった。


クリニック参加者たちと積極的に交流


クリニックの途中で渡邊選手が登場すると、アリーナの熱気が明らかに高まった。スター選手の温かくて優しいオーラが、空間を包み込んでいく。「短い時間ですけど、みなさんと一緒に楽しめたら」とあいさつをすると、選手たちから拍手と歓声があがった。

クリニックはチームごとに分かれて行なわれ、渡邊選手はそれぞれのチームに足を運ぶ。選手たちと笑顔でハイタッチをしたり、手を叩いて鼓舞したりしながら、自身も用意された練習メニューに取り組んでいく。


豪快なダンクシュートも披露!!


「せっかくなので一回は見せたいと思っていた」というダンクシュートを披露すると、選手たちから大きな歓声があがった。さらには、選手のシュートを真剣にブロックする場面も。これについては、「あえて抜かれることも考えましたが、ブロックすることでも思い出になるかな」と、笑顔でその狙いを説明した。

25分ほどコートで汗を流すと、ジュニア世代からの質問に答える時間が設けられた。

「シュート練習をどのようにやっていますか?」と聞かれると、「いまはとにかく反復練習で、試合で使うようなシュートを毎日打ち続けています。このなかにもシュートが苦手という選手がいると思うけれど、全然焦ることはないです。いま入らなくても、うまくなると信じて練習を続けてください」

また、「うまくプレーできないときや、試合で結果が出ないときに、どうやってモチベーションを保っていますか?」と聞かれた渡邊選手は、「すごくイメージが大事になってくる。うまくできているときのことを思い返すとか、映像を見たりします」と答える。続けて、分かりやすい言葉で選手たちへエールをおくった。

「NBAのなかではまだまだ下手だと思っているので、うまくいかなくて当たり前だとも思っているよ。さっきも言ったけど、君たちの年齢ではうまくいかないことが多くて当たり前だから、へこんだりとか落ち込んだりとかする必要は全然ない。僕が君たちぐらいの年齢のころは、君たちよりもっと下手だったからね。いまは自分が成長している過程だと考えてやっていけば、成長につながっていくので頑張ってください」

中学生年代と同じ目線に立つ渡邊選手の話に、選手たちは引きこまれていった。「プロに行ける選手と行けない選手の違いはなんですか?」と聞かれると、迷うことなく答える。

「これは一番単純で、努力できる選手とできない選手の違いだと思います。走るのが早いとか、高く跳べるとか、身体が強い選手はたくさんいるけれど、その選手でもNBAにたどり着けないケースがたくさんあります。何が足りないかというと努力です。努力ができる選手はNBAに残るし、そのなかで活躍できます」

そう言って渡邊選手は、ケビン・デュラントの名前をあげた。22-23シーズンにブルックリン・ネッツでともにプレーし、新シーズンはサンズでチームメイトになるスター選手のトピックは、日本の中学生年代にも参考になるものだ。

「彼は練習の濃さが違う。一つひとつのドリブルからパスまで、全部がすごい。NBAで10数年トップにいる彼がそれぐらいやっているからこそ、成功しているんだと思う。そういう姿を見ていると、自分ももっとやらなきゃという気持ちにもなるしね」


参加者からの質問に対して、分かりやすく丁寧に答えた


選手たちとの質疑応答を終えた渡邊選手は、メディアの取材にも応じた。今回のクリニック参加にあたって、「次世代の日本人選手の育成に貢献することで、恩返しができることを楽しみにしています」と話していたが、ジュニア世代との触れ合いを通して彼自身も瑞々しい思いを抱いたようだ。

「すごくリラックスしてやれたと思います。仕事として依頼を受けて、ぜひやらせてくださいとお願いしたのですが、ここに来て子どもたちの顔を見た瞬間、仕事ということを忘れて楽しんでいました。それがバスケのあるべき姿だと思いますし、バスケを仕事としてとらえてしまったらこれ以上成長できなくなると思う。バスケを始めたのは好きだからなので、そこは忘れずにやっていきたいと改めて思いました」 

笑顔が絶えなかったことについて問われると、また笑みが広がる。心から楽しい時間を過ごせたようだ。

「子どもたちを見ていると、本当に元気で、楽しそうにバスケをやりますよね。自分も調子がいいときはバスケが楽しいし、『楽しそうにやるね』と言われるんです。そういうところは改めて学んだ部分、子どもたちから教えてもらった部分で。これからもいい顔で、バスケをやりたいと思います」

ジュニア世代たちとの質疑応答では、「努力」の重要性を強調した。世界最高峰の舞台であるNBAでしのぎを削っているだけに、「すべての努力が報われるとは思っていない」というシビアな現実を突きつけられる場面はある。そのうえで、渡邊選手の日常には努力がしっかりと組み込まれている。

「自分の目標や夢を叶えるためには、努力は絶対に欠かせないものだと思っています。さっきも子どもたちの前で話したように、NBAで生き残っている選手はみんなが努力していますし、そうでない選手は努力ができてなかったり、環境について言い訳をしたりすることがすごく多い。5年間NBAの中で見てきて、そこは勉強させてもらっている部分でもあります。努力を続ければ、継続すれば、何かしらの形でご褒美が返ってくるというのは節目で感じてきました。諦めそうになったときもありましたし、もうやめようかなと思ったときもあったんですが、もう1年頑張ろう、もう1年頑張ろうと続けていたら、結果として残るようになってきました」

バスケットボールに打ち込む日本の中高生年代にとって、渡邊選手は最高のロールモデルと言っていい。それだけに、責任と自覚のある行動を心掛ける。オフコートでもプロとして振る舞う。

「日本の子どもたちは、NBAプレーヤーなら僕か八村塁を見て育つと思う。そういう意味で、僕らはオフコートでもちゃんとしているところを、コート上だけではないんだよ、というところを見せられれば。子どもたちもバスケだけをやっていくわけではないので、そこはしっかりと伝えていきたいですね」 
渡邊選手が代表候補に名を連ねるバスケットボール男子日本代表は、8月25日開幕の『W杯2023』に挑む。4年に1度開催される国際大会で、今回はフィリピンをメイン会場に日本とインドネシアも舞台となる。日本での開催は06年以来2度目で、日本代表は沖縄アリーナでドイツ、フィンランド、オーストラリアとグループリーグを戦う。

「日本でW杯がやれるというのは、自分にとって本当に一生に一度の経験だと思います。僕自身がアメリカでプレーしているので、日本のお客さんの前でなかなかプレーすることができないので、自分が成長した姿を見せられたなと思っています」

ジュニア世代にとって夢のような時間は、渡邊選手にとってもバスケの楽しさを再確認し、新たなモチベーションを充電する機会となったようだ。日本代表として、サンズの一員として、これからもファンの胸を高鳴らせるニュースを発信していくに違いない。

クリニックの最後に渡邊選手、参加者、スタッフが記念撮影

SEARCH フリーワード検索