アンドレス・イニエスタ選手の独占インタビュー「全ては自分次第。夢があったら、自分の力で掴んでほしい」
世界最高のサッカー選手の一人であるアンドレス・イニエスタ選手が、日本初の「フットウェアクリエイター」である井上晋平氏とともに、世界初となる自身のフットボールブラ ンド『Capitten』を立ち上げた。
そんなイニエスタ選手が製品開発にも携わった、『Capitten』の主催イベントが Alpen TOKYOにて行われた。
イベント中のイニエスタ選手のトークセッションやその後に行われた独占インタビューをお届けします。
世界最高峰のイニエスタ選手が日本サッカーに関わる全ての人に伝えたいメッセージとは。
イベントは「Alpen TOKYO」の2階フロアで開催され、サッカースパイク、ユニフォームなど、多数のサッカー用品に囲まれた中でイニエスタ選手のトークイベントはスタートした。
イニエスタ選手が登場すると、会場に詰め掛けたファンは大きな拍手を送り、老若男女問わず、幅広い年代のファンのボルテージが一気に高まった。参加権をゲット出来なかった大勢の方が立ち見でイベントを見学するなどの大盛況ぶりだ。
――今日は、Alpen TOKYOにようこそお越しいただきありがとうございます。イニエスタ選手に、皆さんにご挨拶いただいてもよろしいでしょうか。
「皆さん、こんにちは。今日、このトークイベントで、皆さんと一緒に素晴らしい時間を過ごせることに嬉しい気持ちです。今回、新しいブランドの発表ができて、とてもいいきっかけとなりました。アルペンさんにも感謝したいです」
――今日は、イニエスタ選手が立ち上げたスパイクの『Capitten』を履かれたお子様も多くて、本当に楽しみにしてくださいました。本日はよろしくお願いします。ここからは、トークセッションの時間となります。イニエスタ選手が『Capitten』を作った想いをお聞かせください。
ちょうど1年前から、自分の想いを込めたブランドを作りたくて、私のチームメンバーで構想を練っていました。そこから、チームメンバーで勉強や努力を重ねて発表できました。 自分で作ったブランドのスパイクを試合で履いてみて、今までのスパイクの中で1番スペシャルなものが出来たと自負しています。
――『Capitten』には、日本で過ごしたからこそのメッセージを込めていると伺ったんですが。
2018年に来日してから、日本に恩返しや感謝の気持ち、そして日本との縁や絆をモチーフにしたオリジナルブランドを立ち上げたいと考えていました。 今回、とても良いスパイクが出来たので、これからもっと頑張っていきたいです。発売して終わりじゃなくて、継続的に続けていくのが1番大事だと思うので、これからもよろしくお願いします。そして皆さんには、『Capitten』の一員として参加してほしい。
――イニエスタ選手、本人から『Capitten』と他のスパイクの違いをお聞かせください。
正直、他のブランドと比べたりなどしていません。本当に100パーセント我々のビジョン、伝えたかった価値観でブランドを立ち上げました。日本の子供たちに出来るだけいい商品や1番いい価値を伝えていきたい。これからも我々チーム一同で頑張っていきます。
――スパイクの特徴や注目してもらいたいポイントは?
特徴というと物凄く質の高い革の素材を使っています。あとオリジナルソールも開発しました。快適さは、特に自信を持っています。履いてみると体との一体感を感じる心地良さは、1番のポイントだと思います。まだ、『Capitten』を触ったことない方は、ぜひ直に触ってもらいたい。
――『Capitten』のデザインは、80年代を彷彿させる素敵なデザインだと思いますが、こだわりなどをお聞かせください。
この商品を1番最初のコレクションとして、いい意味でのクラシックというか昔のバリューのようなものをメッセージとして伝えることができればと考えていました。もちろん、これからも色々なイノベーションやバリエーションを取り入れて商品デザインも高めていきたいが、1番最初のコレクションとしては、こういった価値観を伝えたかったのです。
■子供の頃の情熱を忘れずに「全部上達したい」というメンタルで毎日練習している。
――『Capitten』に対する熱い想いをお聞かせいただきました。ここからは、イニエスタ選手にサッカーの上達法にも伺いたいと思います。会場から募集したところ、「ボールコントロールが上達するトレーニングありますか?」という質問があったんですが、いかがでしょうか。
ボールコントロールやパスコントロールは、どんな場所でも出来るトレーニングなので継続的に毎日練習してほしい。とても重要なトレーニングなので改善点を明確にして練習すること。とても地道な作業なのでメンタルが1番大事になります。自分も、サッカー選手として色んな経験をしましたが、子供の頃の情熱を忘れずに「全部上達したい」というメンタルで毎日練習しています。ボールコントロール、パス、ドリブルもそういう考えで練習を続けたら、それが1番上達する道なんじゃないかなと思いますね。
――イニエスタ選手が、子供のころに集中してやっていた練習内容とは?
サッカーをすごく全体的に考えていました。シンプルなパスから、難しいドリブルまで。
「なんのための パスなのか?」「何故、その場所からドリブルをするのか?」
俯瞰的な視点でサッカーを考える習慣をイメージしていました。でも、今の自分から伝えられる1番大事なことは、“サッカーを楽しむこと”。どんな細かい練習でも、サッカーを楽しむ気持ちを常に持ってほしい。それが、キーポイントになります。プロとしても、できるだけサッカーを楽しむ気持ちを持つことは、上達する際の1番大事なキーポイントです。
――イニエスタ選手が感じている、中学生の年代で、サッカー選手として必要な要素は、どんなものだと思われますか。
なかなか難しい質問ですが、情熱、希望、楽しみを持ちながら毎日を全力で尽くす。それが1番大事です。将来、何が起きるか誰もわからないのですが、例えどんな逆境が訪れたとしても、“どんな時であっても全力を尽くす”。そういう精神があったら、1番上を目指せる選手に近づけるのではないでしょうか。
――そんなイニエスタ選手が考える、「勝つ為に、1番大事な要素」はなんだと思いますか?
サッカーは、常に勝者と敗者がいます。やっぱりいつも勝ちたいですよね。 でも、負ける時もあるということは、仕方がないこと。やっぱり1番大事なのは、負けても諦めず乗り越える、 全力を尽くし続けること。勝つために今できることを全部やることは大事ですよね。その結果として勝利が来ると思うので、そこに向かって毎日練習しています。
勝っても負けても、努力を継続することが1番大事だと思います。
――今日は、子供たちを教えている指導者の方も会場にいると思います。イニエスタ選手から、「負けた時に、指導者としてどう選手のモチベーションを高めたらよいのか?」アドバイスを頂けますか?
状況によりますが、基本的にネガティブなメッセージよりポジティブな考えを伝えることが大事です。具体的に上達するために改善すべきこと、どこで間違えたのかをしっかりと丁寧に伝えること。それが最終的に個人の上達やチームの勝利に繋がるのではないかと思います。
――日本の育成入団の選手には、どんな選手になってもらいたいという気持ちですか?
選手それぞれで達成したい目標はあるとおもいますが、『全ては自分次第』ということを忘れないでください。自分もサッカー選手として色々な経験をしました。もちろん、日本に来日してから得た経験を含めて、私も日本のサッカー育成に貢献したいと考えています。
自分のビジョンではサッカーのプレースタイルだけではなく、人生の価値観についても伝えていきたいと考えていてその中で1番伝えたいのは、『夢があったら、自分の力で叶える』ということ。私やコーチからの言葉だけに左右されずに、自分次第でその夢を掴んでほしい。育成の少年たちにどんな道を選んだとしても、それが1番伝えたいメッセージです。
世界最高峰のイニエスタ選手が語った言葉は、会場に集まったサッカー少年一人ひとりに響き、少年たちの目が一段と輝いているようでした。
トークセッション後には、贅沢なイニエスタ選手との交流タイムが始まりました。
選ばれた子供たちは、貴重な経験として、イニエスタ選手とのパス交換が行われました。
普段は、なかなかこんな間近で見ることの出来ないイニエスタ選手の華麗なボールさばき。少年たちの難しいボールも難なく、処理していくボールコントロールにその場に居た誰もが見惚れていました。
次は、お待ちかねの撮影タイムへ!イベント参加者限定のツーショット撮影が行われました。
楽しい時間はあっという間に終わり、イベントも終わりの時間になり、イニエスタ選手から本日の感想が伝えられました。
「とても貴重な時間になりました。今日は、イベントに来ていただきありがとうございました。皆さんの愛情やリスペクトをいつも心から感じて感謝の気持ちでいっぱいです」
そして、最後にイニエスタ選手は、「ありがとうございました」と日本語で本日のイベントを締めくくってくれました。
イベント終了後には、アルペングループマガジンによるイニエスタ選手のインタビューを実施しました。その模様もお届けします。
■アンドレス・イニエスタ選手の独占インタビュー
「人生の捉え方、目の前にあるものを改善し、目標を達成するための努力の仕方を伝えたい」
――『Capitten』スパイクの特徴やこだわった点をお聞かせください。
愛、努力と献身を込めて作りました。革は特別でソールは私たち独自のもので、他のスパイクとは違う、とても快適なプレーができるようになっています。
――『Capitten』を実際に履かれてプレイした際に今までに感じたことのない感触はありましたか?
感情的な面でお話しすると、公式戦で自分のブランドを履いてるという非常に最高な気持ちです。チームが一所懸命やって開発したスパイクでプレーできることがとてもうれしいですね。
――『Capitten』というスパイクを通じて、イニエスタ選手はどんなメッセージをサッカープレイヤーに伝えようとしているのでしょうか?
Capittenから伝えようとしているのは、一連の価値観、サッカーの捉え方、チームプレーを通じた人生の捉え方です。例えば、目の前にあるものを改善し、目標を達成するための努力の仕方などスパイクを通じて、届けたいメッセージです。
――『Capitten』を今後、どのように発展させていきたいと考えていますか?
ポジティブに成長してほしいです。私たちは皆、最高の商品を提供しようとしています。製品、スパイクや衣服の性能、Capittenブランドに関わるすべてのものを改善しようと日々努力し、何よりもそれを着用し見ている人々が、私たちが発信したいものを発信してくれることを強く望んでいます。
――世界最高峰の技術的を誇るイニエスタ選手ですが、中高生年代では、どんな練習や意識を持って取り組んでいましたか?
私が10代の時は、ボールの周りにいること以上に常に望んできたのは、学ぶこと、向上することでした。サッカーを楽しむことを通して、サッカー選手として成長するために常に学び、それに見合ったトレーニングを繰り返してレベルアップしたいと考えていました。
――中高生年代におすすめのトレーニングがありましたら、お聞かせください。
私のアドバイスは、毎日心がけていくことの重要性です。それは、常に学ぶべきこと、改善すべきことを軸にサッカーをプレーすることへの情熱と熱意を持つことです。
そしてトレーニングに関しては、すべてが改善できるという事実を超えて、学ぶことを止めずに挑み続けること。それが常に私の頭の中にあることだと思っています。
――イニエスタ選手が思う、Jリーグや日本サッカーの良さやプレイしてみて感じたことはありましたか?
自分から見てプラスになることが多いです。Jリーグはよく知りませんでしたが、日本人選手や才能あふれる若い選手、そしてその成長を手助けするために外部からやってきた人たちによって成長しているリーグです。非常に競争が激しく、100%であることを要求される要求の厳しいリーグであることを認識しました。ファンという意味では、華があるので、とても好感が持てるリーグ だと思います。
――最後の質問になります。サッカーを頑張っている、部活生や中高生に対してのエールを頂けますか?
私のアドバイスは、自分の夢のために戦うことです。トレーニングや試合で成長し、向上心とビジ ョンを持つこと、そしてサッカーやスポーツを楽しむことです。サッカーは何かと不思議なもので、プレーする私たちにとっては、夢を掴む特権があります。
だからこそサッカーに対して真摯に取り組んで、最高のプレイヤーを目指してほしいですね。