【ゴルフクラブの基礎知識 ベーシック編】Vol.8 パターのネック形状とフェースインサートについて
知っているつもりで実はよく知らない、聞かれてもハッキリ答えられないクラブの基礎知識。前回に引き続き、パターの基礎知識をゴルフ5名西店の古谷真吾クラフトマンに解説してもらおう。
今回のテーマはパターのネック形状とフェースインサートについてだ。
パターは同じようなヘッドでもネックの形が違うモデルも多く、またフェースインサートもさまざまな種類があってこれらがどういった違いを生んでいるかイマイチわかりにくい。
解説してくれたのは、ゴルフ5名西店のクラフトマン古谷真吾さん
まずネック形状は、パターの性質を大きく左右する重要なパーツ。ネックはおもにフェースの開閉のしやすさを左右し、同じヘッド形状でもネックが違えば振り心地はまったく変わるという。
左からショートスラントネック、クランクネック、センターシャフト、ベントネック
「代表的ネック形状の1つは、ピン型の象徴とも言える『クランクネック』です。ヘッドから出たネックがクランクのように2カ所で直角に曲がってシャフトにつながっています。比較的フェースの開閉がしやすいのでアークタイプやセミアークタイプのストロークに合いやすいネックと言えると思います」
クランクネックは、ネックに直線パーツが多いので真っすぐ構えやすいのも特徴で、この点を好むユーザーも多いと古谷さん。
「ヘッドの端にネックがついている『L字』型も代表的なネック形状ですね。重心距離が長くなり、フェースを開閉してストロークしやすいネックと言えます。これはヘッドの形状とリンクしている場合が多いですが、実はスラントネックやショートスラントネックも同じように重心距離が長くなるので同じタイプと考えてください」
スラントネックはヘッドターンがしやすいため右のミスを軽減する効果があり、ショートスラントネックはさらにへッドターンしようとする力は大きくなり、操作性も高くなる。最近は大慣性モーメントで直線的に動かしやすいネオマレットヘッドにフェースを開閉しやすいショートスラントネックを組み合わせ、ミスマッチにも思えるハイブリッド感を生み出しているパターも多いという。
クランクネックやL字はフェースを開閉しやすい
「ヘッドにシャフトが直接刺さっていて、ネックがぐにゃっと曲がっているのが『ベントネック』です。このタイプは重心距離を短くできるので、パターのバランスを取るとフェースが真上を向く『フェースバランス』になっているパターが多いのが特徴です。フェースバランスはフェースの開閉を抑えた真っすぐなストロークに向いているので、ショートパットに強さを発揮します」
同様にヘッドに直接シャフトが刺さっているタイプでも、センターシャフトは少し独特だという。
「ヘッドの真ん中にシャフトが刺さっているのが『センターシャフト』。これも構造上重心距離が短くなりやすく、真っすぐなストロークとの相性がいいですがネックの位置がわずかにヒール側に寄っていて完全なフェースバランスではないモデルも多いです。シャフトの延長線上でボールをヒットする感覚が出るのでダイレクトな操作感が得やすいですが、ミスヒットするとフェースの向きが変わりやすいシビアな面もあるので注意してください」
大型ヘッドには直線的にストロークしやすいベントネックが多いが、あえてスラントネックにしているケースも
ネックと同様にバリエーション豊富なのがフェース。ヘッドと同じ素材で金属そのままのものや、フェースにインサートが入っているものまでさまざま。
「フェースの素材や仕上げは打感を左右し、タッチに大きな影響を与えます。一般的には打感が硬くてフェースがボールを弾くと『飛ぶ』感じがしてゆるみの原因になったり、反対に打感がやわらかすぎると『飛ばない』感じが強くなりゆるみやすい傾向がありますが、あくまでイメージの問題なので真逆に作用するケースもあり、実際にいろいろ打ってみて、インパクトの感触や音と、ボールの打ち出すスピードのイメージが合うものを選ぶことが大事です」
同じようなヘッド形状でもさまざまなフェースタイプを選べる
一般的には、金属の素材のものは打感を硬く感じやすく、フェースにミーリングなどの加工が施されているとやわらかく感じやすい。一方で樹脂系の素材はやわらかいものが多いが、なかにはソリッドな感触を持った樹脂インサートや、樹脂と金属のハイブリッドなどもあるので、実際に店頭で試打してみてはいかがだろうか。