冬芝アプローチはこの手で克服!【ゴルフのスパイス】Vol.1
激動の2020年も師走に入り、本格的に冬模様となってきた。
こうなるとゴルフ場の芝も茶色に枯れ、夏にはなかったむずかしさが顔を出してくる。
とくに悩ましいのは、芝が薄くなったグリーン周りでのアプローチ。芝が元気でボールが浮いている夏とは違って、ちょっとでもヘッドの入り方が悪いとザックリしたりソールが跳ねたりと、圧倒的に難易度が高くなる。
しかしそんな冬こそ、クラブの力を借りることが大事だ。ゴルフクラブは14本のセッティングであり、そのなかには冬芝対策のクラブを入れる余地もある。それによってむずかしいシチュエーションを難なくクリアできるケースも多々あるのだ。
たとえばバンカー越えでグリーンを狙うシチュエーション。
夏のフカフカのライならいいけれど、芝が薄くなる冬は、ウェッジで球を上げるのが途端にむずかしくなる。実はこんなとき大いに役に立つのがチッパーだ。
チッパーは実はバンカー越えでも使える
チッパーというと、グリーン周りからのピッチ&ランで使うものというイメージを持っている人が多いが、実はやさしく球を上げられるクラブなので、バンカー越えだってできる。もちろんSWのように高く上げて止めることはできないが、ある程度大きい振り幅で打てばロフトなりのキャリーを出せる。しかもソールが広いうえ、打ち方はパターのようにボールを横から叩くだけでいいので、ザックリの心配は皆無。手前ピンにピタリと寄せるというわけにはいかないが、グリーンに乗せるだけなら確実だし、ピンが奥にあればトンコロコロと寄せていくことは十分に可能だ。
「チッパーは用途が狭い」と思って入れるのを躊躇している人は、固定観念を捨てて試してみよう。冬ゴルフではとくに、最強のお助けクラブとして活躍してくれるはずだ。
チッパー「ヨルンダ7」(写真左)とキャスコ「ドルフィン フライングウェッジ」(写真右)
それでもチッパーをバッグに入れるのには抵抗があるという人は、ウェッジを少し見直してみるだけでもアプローチがやさしくなる。とくに注目したいのは、48度前後の単品ウェッジ。
近年のアイアンはストロングロフト化が進み、アイアンセットのPWのロフトが従来よりも5度前後立ってきている。そのため寄せの場面で使いにくく、アプローチの選択肢を狭めているきらいがあるのだ。
たとえばグリーン奥にこぼしたボールが、次ホールへの歩経路上に止まっているような場合。
グリーン奥の歩経路はザックリしそうなシチュエーション
一般的な受けグリーンなら、奥から寄せようとするとグリーンは下りで、アイアンセットのPWでは球が強く出てグリーンを飛び出してしまうリスクがある。かといって56度前後のSWや52度前後のAWでちょっと球を上げて寄せようとしたのでは、プレーヤーに踏み荒らされてゆるくなっているライを考えるとザックリの危険性が高い。
そこで役立つのが、従来のPWに近い48度前後の単品ウェッジだ。これを使ってのランニングアプローチなら球も強くなりすぎないし、ソール形状や重心位置がアプローチに適した設計になっているため、ダフリのリスクも少ない。
セットとして考えたときも、ロフトピッチが開きがちなPWとAWの間を埋める存在として役立つこと請け合いだ。クラブセッティングにまだこの中間的なロフトのウェッジが入っていないなら、この冬を機に見直してはいかがだろうか。
タイトリスト「ボーケイSM8」(写真右)と、キャロウェイ「ジョーズフォージド」(写真左)の48度
そして冬のアプローチに欠かせないのがパター。別名「テキサスウェッジ」と呼ばれるパターは、グリーン外からでもうまく活用できれば、寄せの切り札となってくれる存在だ。
冬場にとくに活躍するのが、花道からの寄せ。花道は夏なら絶好の位置だが、芝が薄い冬になると途端にザックリが頭をよぎる。しかしこれを逆手に取れば、芝の抵抗が小さいぶん、グリーン上とほぼ同じタッチで打っていける状況でもあるのだ。そのため冬の花道なら、エッジまで10mを超えるような距離でも十分パターの射程圏内と言える。
冬の花道はグリーン上と考えてプレーしたい
大型のネオマレットタイプのパターはとくに、座りがよくてソールも滑りやすく、どんなに薄いライでも絶対にダフらない安心感がある。
一方で、ネオマレットのヘッドは慣性モーメントが大きくフェースバランスになっているものが多く、これは「真っすぐ」のストロークに適しているぶんロングパットのタッチは出しにくい。そこで注目したいのが「スラントネック」のパターだ。
スラントネックは重心距離が長めになってフェースの開閉をしてストロークするのに適したネック。大型ヘッドのネオマレットでも、スラントネックのパターなら球をつかまえてタッチを出しやすいため、グリーンの外から長い距離を打つような場合でも使いやすいのだ。
冬のエースパターを考えたときは、グリーン外からの使用も考慮に入れるのが賢いゴルファーなのだ。
テーラーメイド「スパイダーFGC スラントSS」(写真左)、オデッセイ「トリプルトラックTEN S」(写真右)はともにスラントネックの大型マレット
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