【スタイミーショット編】目の前に大きな木が!どうやって切り抜ける?穴井詩プロ&川満陽香理プロのショットテクニック
シーズン前に行われた宮古島での「チームゴルフ5」合宿でのこと。練習ラウンド中の穴井詩プロと川満陽香理プロが、コース内で出会うさまざまな状況を想定しながら、どうやって対処するかを相談・トライし練習していたので、その内容を紹介する。
エメラルドコーストゴルフリンクス、OUTコース1番ホール。コース左サイドのセミラフ内、グリーンまで100ヤードほどのところに大きなガジュマルの木が生えている。
練習ラウンド中にここを通りかかった2人はふとカートを停め「ボールがこの木の後ろだったらイヤだね」と話しつつ、実際にその状況に陥った場合の打ち方の相談を始めた。
最初は木の真後ろ。木まで25ヤード、エッジまで100ヤード。ピンまで120ヤードという状況。これならPWフルショットでOKだ
最初はシンプルに木の真後ろ。木までの距離は25ヤードほど、ピンまで120ヤードほどの地点からグリーンを眺める。
「ここならPWで普通に上を超えられるよね」(川満プロ)
というのは2人共通の意見。穴井プロが普通に打ったショットは、軽々と木の上を越えていく。しかし高さを出そうとしたぶん少しだけ距離が足りず90~95ヤードほどのキャリーで、グリーン手前で止まってしまった。
そこで穴井プロは8番アイアンを取り出し、フェースを開いてショット。こちらはほぼ同じ高さで飛んでいき、グリーン手前に見事グリーンオン!
穴井プロに、8番で打った理由を聞いてみた。
「PWではちょっと距離が足りなかったので、8番を同じくらいのロフトになるまでフェースを開いて打ったんです。こうすると長さがPWより長いぶんボールが前に行くので、最後のひと押しぶん飛んで、届いてくれました」(穴井プロ)
8番アイアンのフェースを開き、オープンに立ってカットに振っていく。フェード気味の高い球が出る
なるほど、ロフトだけでなくクラブの長さも利用して、高さと距離の両方を稼いだというわけだ。さすがプロという高等技術だ。
最初の地点からさらに木に近づいていくと、木の上を越えるにはさらに高い打ち出し角が必要になり、SWなどでは上は越えてもグリーンには届かない。
木の枝ぶりを見ながら、もっと大きな番手で枝の間を通せるところを探すが、これはかなり難易度が高いギャンブルショットになる。
「あの左の枝の間を8番くらいで通せば行けるかもしれないけど、予選通過とか優勝争いとか、よほどの状況じゃない限りやらないですね」(川満プロ)
今度はボール地点を少し左にズラしてみると、左の枝の下を通すルートが見えてくる。高さ2m程度の枝の下、110ヤードほど先にピンが見えている。
枝の間を抜くことも検討したが、やはり低い球を打って下を通し、ランを使って攻めるのが安全
「これは木の下を低く真っすぐ狙うのがいちばんシンプル。絶対枝に当てたくないので、5番アイアンくらいでMAX低い球を打ち、あとは距離感に集中ですね。上も枝の間にチャンスはありますけど、やっぱり下が安全。これは木に近ければ近いほど枝が気にならなくなります」(穴井プロ)
最後は木の右側からグリーンが見える状況。こちらはピンが少し木の幹にかかっていて、真っすぐは狙えない。
「真っすぐは打てませんが、ちょうどいいドローのイメージは出ますね。距離がないぶん曲がり幅は小さくなるので、あまり右は狙いすぎませんが、私は8番アイアンくらいで低いドローを打っていきます」(川満プロ)
右からは低いドローで木の下を抜く。距離を抑えて打つぶん曲がり幅は小さくなるので注意
ボール位置は右寄り、クラブを短く持ってボールに近く立つ。フェースを打ち出し方向に向け、フォローはトゥを立てるようにインサイド・アウトに振っていく
こうやって状況別に見てみると、プロは各番手のボールの打ち出しの高さにかなり具体性を持っており、木の上を越えたり下を通したりするのにどの番手が最適かを選ぶというところがまずは出発点。
そこにボール位置などでアレンジを加え、曲げるのは最後の手段という感覚だ。
スタイミーな状況をクリアできるようになるには、まずは自分の各番手の打ち出しの高さを知ることが重要といえそうだ。