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golf2022.06.09

【ゴルフ5プロ合宿 チーム対抗戦 編】「PW縛り」でマネジメントを磨け!チーム対抗戦でわかったこと

チームゴルフ5の宮古島合宿では、参加したプロ達がチーム戦形式でさまざまな対決を行ったが、そのなかでもとくに興味深かったのが、エメラルドコーストゴルフリンクスの17番パー4で行われた「PW縛り」の対決。

ゲームとして面白かっただけでなく、アマチュアにとって大きな学びのある内容だったので、コーチとして合宿に参加した田子元治プロに解説してもらった。


17番ホールはレギュラーティで358ヤード。ピン位置が少し奥だったこの日は、プレーイングディスタンスは360ヤードちょっとだった


この日の17番ホールは、レギュラーティからピンまで360ヤード強のプレーイングディスタンス。これを「PWだけ」で攻略するというチーム戦を行った。

ティショットを全員が打ち、そのなかから各チームが任意の1球を選択。あとは順番にプレーしていくというスクランブル形式のルールだが、ティショットも2打目も3打目も、グリーンに乗るまではPWしか使ってはいけないところがミソ。田子プロがチームを組んだのは山本景子プロと小貫麗プロだった。


ティショットは田子元治プロのボールを採用したことで、2打目が小貫麗プロ、3打目が山本景子プロという打順となった


「トータル360ヤードという距離がゲームを面白くしましたね。PWでこの距離は2オンしませんが、3オンだと考えてトータルの距離を3等分すると1打あたり約120ヤード。みんなPWの距離が120~130ヤードでしたから、これをどう配分するかがカギになりました」(田子プロ)

戦略は大きく分けると3通り考えられる。1つめは、1打目と2打目の人ができる限り飛ばして距離を稼ぎ、3打目の残り距離を短くして寄せワン、あわよくばチップインバーディを狙う作戦。もう1つは、トータル距離をきれいに3等分し、それぞれがその120ヤードを正確に狙うしっかりとパーを取りに行く作戦。最後に3打目の選手がフルショットできるよう、1打目と2打目を調節するのが作戦のポイントだ。

「距離の微調整は難しいので、3打目をフルショットできるほうが変なミスは起こりにくい。でも3打目にフルショットを残そうとして2打目の人がミスしたら、3打でグリーンに届かなくなる危険があります。2つ目の作戦は一見安全そうに見えても、誰かがミスしたら後の人に大きなしわ寄せが来ます。そう考えると、第1の作戦のように『とりあえず飛ばしてグリーンに近づける』というのが現実的なんですよね。結局どのチームもこの作戦でした」(田子プロ)


ティショットは、いちばん飛距離が出た田子プロのショットを採用。飛距離は約135ヤードだった


ここで面白かったのは、どのチームもコースの左サイドにあるカートを狙い、そこでのビッグキックで距離を稼ごうとした点だ。

「PWでは思い切り振っても飛ばせる距離には限界があります。ボール位置を極端に右寄りにしてロフトを立てたり、強いフックを打つ、意図的にトップ球を打つなどすればビッグショットが出る可能性もありますが、大きなミスの可能性もある。そんななか、みんなが狙ったのはカート道を狙う作戦でした」(田子プロ)

しかし結局カート道をヒットできた選手はゼロ。田子プロのチームは、いちばん飛んでいた田子プロのショットを採用することとなった。ティショットの飛距離は約135ヤード。残り距離は225ヤード前後だ。

ここで2打目を打つ小貫プロは、3打目を打つ山本プロと相談。山本プロのPWフルショットの距離である125ヤードを残すように100ヤード打つ作戦にするか、それとも小貫プロもフルショットして残り距離を減らす作戦にするかで迷ったという。


2打目は小貫麗プロ。相談の結果、残り距離は考えず気持ちよくフルショットしてOKということに


「結局山本プロが小貫プロに『行っちゃっていいよ!』と言ったので小貫プロはフルショットすることにしました。その結果113ヤード飛び、3打目はピンまで残り112ヤード。あとは山本プロがその距離を打てるか、という勝負になりました」(田子プロ)

しかし、少し抑えるイメージで打った山本プロのショットは、残念ながらグリーンをオーバー。奥からのアプローチを田子プロがしっかり寄せ、それを小貫プロが沈めて結果はボギー。田子プロのチームは敗れてしまった。


山本プロの3打目は112ヤード狙いだったが飛びすぎてグリーンをオーバーしてしまった


「山本プロのミスで負けちゃいましたが(笑)、この『1割くらい抑える』ショットは意外と難しいんです。グリップを短く持ったりスタンスを狭くするなどの工夫はありますが、ちょっと強く入ってしまって飛びすぎるということはめずらしくありません。小貫プロのところで調節したほうがよかったのかもしれませんが、結果論でしかありませんよね」(田子プロ)

今回はトータル360ヤード前後の距離だったが、ヤーデージが変われば攻め方の選択肢も変わってさらに面白いだろうと田子プロ。

「たとえば300ヤード前後のホールでフルショット、フルショットしてしまうと、3打目に50ヤードくらいの中途半端な距離が残ってさらに難しくなりますし、普通に3回打つだけではギリギリ届かない380~400ヤードくらいのホールだったらどうやって飛距離を伸ばして3オンさせるかなど、そこにひと工夫が必要になります」(田子プロ)


PW以外でも、いろんなクラブで「縛りプレー」をしてみると頭を使うので、マネジメント力が磨かれる


「どうすればパーの可能性が残るのか、ダボを打つ可能性が低いのはどんな攻め方なのか、じっくり考えてプレーするのはマネジメント力の向上にすごく有効です。これは個人戦でもできますから、みなさんも機会を見つけてやってみてください。もちろん使用番手を変えてもOK。『ゴルフ脳』を鍛えるいいトレーニングになりますよ!」(田子プロ)

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