【ゴルフ5レディス2022レポート】秘密道具が続々出現!女子プロたちはラウンド前にどんな練習をしているの?
大事な大会に臨む選手たちは、ラウンド前の練習にも余念がありません。といってもただボールを打つだけではなく、より高いパフォーマンスを発揮するために、さまざまなアイデアを取り入れているのです。
今回は、ドライビングレンジとパッティンググリーン周りで、選手たちが使用している練習器具に注目してみました。
最初に目についたのが「ウォーミングアップ系」の器具。
先週の「ニトリレディスゴルフトーナメント」覇者、稲見萌寧選手も、グニャグニャと柔らかく、先端におもりのついたスティックを手にしていて、そのまま手首をグルグル回したり素振りをしてウォーミングアップを行っていました。
シャフトのしなりを感じながら、スイングのテンポなどを確認していた
竹山佳林選手は、まるで綱引きに使うような太いロープを使って、ストレッチ&素振りに励んでいました。
170cmと長身の竹山佳林選手は、極太ロープでウォーミングアップを開始
こうした柔らかいシャフト(状のもの)で素振りをするとどういう効果があるのでしょうか。インターネットゴルフメディア「みんなのゴルフダイジェスト」記者で、プロゴルファーの中村修さんが解説してくれました。
「どの選手もスタートに使っています。柔らかいシャフトを振ると、スイングのタイミングや切り返しの間(ま)、グリップの力感を感じやすいのです。また、体が動いていく順番を意識しやすくもあり、いつもの自分のリズムを調えてから練習をスタートできます」(中村プロ)
これらの器具で体をほぐした選手たちは、いよいよ打球練習に移ります。「ウォーミングアップ系」に続いて、「ショット練習系」の器具を見ていきましょう。
永井花奈選手が両ひじの下ではさんでいるのはゴムボール。そのボールをはさんだ状態のままボールを打っていました。
はさむ系の代表的な器具といえるゴムボール。ドライビングレンジでも多くの選手が使用していた
このボールはさみ打ちは山路晶選手なども採用。また、穴井詩選手のように、ボールではなくぬいぐるみのような物体を挟む選手も……。
山路晶選手もボールはさみ打ちを取り入れる
穴井詩選手はヌイグルミで代用?
岸部桃子選手を指導する横田英治プロによると、「スイング中、常に腕が体の正面にあるようにするためです。『腕を使わない』とか『三角形をキープする』というよりも、両腕の間隔が変わらないので、腕と体の一体感を出すことができます」(横田プロ)
スイングにおいて、「腕と体の一体感」が重要。前出の中村修プロも、こうした練習方法をアマチュアゴルファーにもおすすめしてくれました。
「スイング中に両腕の間隔が広くなると、腕が体から外れてしまいます。ボールやベルトを使った練習には、腕と体を同調させやすいという効果があります。体幹でしっかり振る、ねじることで手打ちを防ぎます。とくに、足の動きを使っていきたいアプローチに有効です」(中村プロ)
成田美寿々選手は、シャフトが折れるクラブを使って実際にボールを打っていました。この練習にはどのような意味があるのでしょうか。
「正しいスイング軌道から外れると、シャフトが折れる仕組みのクラブです。ダウン以降は遠心力が働くので折れにくいのですが、始動で軌道がズレると簡単に折れてしまいます。自分が思っている方向に、体と同調しながら上げていく練習になります」(中村プロ)
軌道から外れなければ実際にボールを打てる
アライメントや打ち出し方向をガイドするスティックを置いたショット練習はよく見られますが、武尾咲希選手は、まっすぐなスティックではなく、円弧になった器具を使っていました。
「ローポイント(最下点)に向かってインサイドから下ろし、インサイドに抜けるクラブ軌道が視覚的に見えるので、より軌道を意識しやすくなっています」(中村プロ)
インサイドインの軌道を視覚的に意識できる
場所を移動して、練習グリーンにやって来ました。ここでも、いろいろな選手がパッティング練習に励んでいます。練習グリーンでも稲見萌寧選手はユニークな器具を使っていました。
「グリーンに置かれているのはテンプレートと呼ばれるマットで、横方向には湾曲したラインが、縦方向には直線のラインが多数描かれています。パターにはライ角があるのでストロークは円軌道となり、横のラインに沿って振ることでヘッドの軌道とフェース向きを確認できます。
また、ボールの前後に差したティの幅を狭くして、打ち出しをシビアにしています。シャフトに取り付けられているのはレーザーを発射する器具で、その目的はエイミングです。自分が思っている方向にフェース面や体が構えられているか。レーザーが描く縦(目標方向)の光のラインでチェックできます」(中村プロ)
軌道とフェースの向き、打ち出しを同時にチェック
この他にも、様々な種類のパター練習器具を多くの選手が使用していましたので、中村修プロに解説していただきました。
「写真の左に写っている滑り台のような器具は「パーフェクトパター」というアイテムです。ラインに乗せてボールを転がすことで、グリーンの傾斜や速さ、距離によってどのくらい切れるかがわかります。切れ方がわかったら、ストロークどうこうより、あとは思った方向に打ち出せるか。打ち出し方向にロープを張り、さらにボールの下にも打ち出しをガイドする器具を置いています」(中村プロ)
アマチュアの都玲華選手は、打ち出し方向をアシストする器具を複数使用していました
「竹内美雪選手が使用するこちらのマットは、表面が鏡状になっていて構えた時に自分の目が映ります。よって目とボールの位置を確認したり、フックラインやスライスラインで変わる自分のクセもわかります」(中村プロ)
「仁井優花選手が使用するこちらの器具は、両わきからはさんだV字のバーをシャフトに当て、体とクラブの動きを完全に同調させます。手首を使わず、胸や肩のストロークで打つことができます」(中村プロ)
手首の動きを封じることでショルダーストロークを促す
このように、ツアー会場では出場選手たちが様々器具を使用し、万全の準備を整えています。
みなさんも、選手を参考に練習器具を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【YouTubeゴルフ5チャンネルで練習場中継をライブ配信(予定)】
9月3日(土)08:30~10:30 https://youtu.be/wMi64cpPNcA
9月4日(日)07:30~09:30 https://youtu.be/J_hkjcfHgCA
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