【ゴルフ5レディス2022レポート】セキ・ユウティンがプレッシャーに打ち克ち初優勝!苦しんだ天才少女が謙虚になって夢を実現!
2022年の「ゴルフ5レディス」は、セキ・ユウティン選手の優勝で幕を閉じました。
首位が目まぐるしく入れ替わる激戦を制したセキ・ユウティン選手の3日間のプレーを振り返ってみましょう。
セキ・ユウティン選手は、初日はインコース10:00と遅めのスタート。
10、11、12番と出だしを3連続パーで静かに発進すると、持ち味である飛距離を生かして13番、16番の2つのパー5でバーディを奪い、前半2アンダーと上々のスタートを切ります。
後半も2つのパー5を含む4つのバーディを奪いつつノーボギーで締め、合計「66」の6アンダーで初日を終えます。
初日は勝みなみ選手が9アンダーというトーナメントコースレコードを叩き出した陰に隠れる形となりましたが、首位と3打差、3位グループと1打差の単独2位という最高のスタートでした。
初日は6アンダーで単独2位の好発進となった
2日目は、勝みなみ選手、福田真未選手とともに最終組でのスタート。
この日はディフェンディングチャンピオンの吉田優利選手が8アンダーと爆発しますが、この最終組はスコアを伸ばせません。セキ・ユウティン選手もバーディが獲れないなか前半8番ホールまでをすべてパーでしのぎますが、9番ホールでティショットを右に曲げてしまい、ラフから2オンさせるもファーストパットを大きくオーバー。返しを入れられずに3パットしてしまい、ここでついにボギーを叩いてしまいます。
2日目はショットの安定性が悪く思うようにバーディが獲れなかった
その後13、14番で連続バーディを奪いますが、最終18番で再びボギー。
結局2日目は2バーディ2ボギーのイーブンパー。トータル6アンダーのままでトップと4打差の10位タイまで順位を落としてしまいました。
振り返るとドライバーショットがやや不安定で、右方向へのミスが多かった一日でした。9、18番の2つのボギーもティショットを右にミスしたことが原因。
本人は「久々の最終組で緊張に負けてしまった。弱虫だった」と話しており、最終日はプレッシャーに負けない積極的なプレーを誓います。
最終組のプレッシャーに負けて積極性を欠いてしまったというセキ・ユウティン選手
最終日は朝から濃霧でスタート時間が延期され1時間20分遅れての競技開始。セキ・ユウティン選手は、最終組の4つ前、福田真未選手、稲見萌寧選手とのペアリングで11:50のスタートとなりました。
この日のセキ・ユウティン選手は、昨日の弱気を払拭し「優勝を目指していた」と言うとおり積極的に攻めます。
1番ホールをピン横4.5mにつけバーディ発進すると、3番、6番のパー5でもしっかりバーディを奪取。7番の短いパー4ではドライバーで果敢に1オンを狙い、ティショットを左エッジまで飛ばして4つ目のバーディ。
9番ホールは3パットのボギーを打ってしまいますが、前半は目標どおりの積極的なプレーが随所に現れていました。
トップと4打差のスタートだったが「優勝を狙っていた」と積極的なプレーを見せるセキ・ユウティン選手
最終日の上位陣は、バーディもたくさん出ましたがボギーやダブルボギーを打つ選手も多く、上位選手がスコアを伸ばしきれずにダンゴ状態の混戦になるなか、セキ・ユウティン選手は後半も10番、12番とバーディ先行でスコアを伸ばし、トータル11アンダーでついにトップに並びます。
そして続く13番パー5では195ヤードの2打目をピン横3mにつけ見事イーグル。トータル13アンダーとして一躍2打差の単独首位に立ちます。
これでセキ・ユウティン選手が優勝戦線を引っ張る形になるかと思われましたが、14番で再び3パットのボギーを打ってしまい、さらには15番のティショットを右にOB。このホールをダブルボギーとしてあっという間に首位から転落してしまいました。
15番ホールのティショットを右にOBしてしまいダブルボギー
「このOBは、12アンダーをキープすれば勝てると思って緊張してしまったのが原因。でもサポートしてくれているチームやスポンサーさん、ファンの方々のことを思って『まだ3ホールある。まだ行ける』と切り替えて、残りのホールを積極的にプレーすることに専念しました」
セキ・ユウティン選手はその覚悟どおり、16、17番を連続バーディでバウンスバック。トータル12アンダーの単独首位でホールアウトし、後続を待ちます。
最終日は8つのバーディと1つのイーグル、2つのボギーと1つのダブルボギーという波の大きいゴルフでしたが、終わってみれば「66」の好スコアでした。
スコアを落としたあともめげずにバウンスバックし単独首位でホールアウト
この後、1打差で追いかけていた吉田優利選手が17番でバーディを奪い、トータル12アンダーでセキ選手に並んでホールアウト。セキ・ユウティン選手と吉田優利選手によるプレーオフへと突入します。
18番ホールを使ってのプレーオフ1ホール目。セキ・ユウティン選手は2日目のラウンド同様ティショットを右に曲げてしまいます。2打目はフェアウェイに出すだけのショットとなり3オン。しかし2オンさせた吉田優利選手が3パットし、2パットのセキ・ユウティン選手とともにボギーで、プレーオフは2ホール目へ。
今度は両選手とも2オン。吉田優利選手が左奥10mからのバーディパットを外したのに対し、セキ・ユウティンはピンの右4m。見事これをカップインさせて優勝を決めました。
プレーオフは吉田優利選手との一騎打ち。18番ホールでの対決となった
プレーオフ2ホール目でバーディを奪ったセキ・ユウティン選手が勝利し優勝
セキ・ユウティン選手は日本生まれの中国人。アマチュアで活躍した後、18歳で中国ツアーの賞金女王になり、翌2017年から日本ツアーに挑戦します。「自分は天才だと思っていた」(セキ選手)にもかかわらず日本ツアーのレベルの高さに苦しみますが、今年QTランキング42位で初めてレギュラーツアーにフル参戦。そしてJLPGA挑戦6年目にして悲願の初優勝でした。
トータル12アンダー。最終日「66」で4打差を逆転しての優勝となった
「日本に来て自信を失いましたが、その結果いまは謙虚になれ、夢だった初優勝・初シードを達成できました。今日は、プレッシャーに負けずに逃げずにプレーできたことが勝因だと思います。私を助けてくれている人たちや、試合を支えてくれたボランティアの方々に感謝したいです」と話すセキ・ユウティン選手。次の目標「メジャー勝利」に向けて活躍を期待したいですね。
日本ツアー挑戦から苦節6年。「夢だった」という初優勝を成し遂げ、シード権も手中に
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