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golf2023.09.04

【ゴルフ5レディス2023レポート】 櫻井心那選手が持ち前の飛距離で今季3勝目をあげる

9月1日から3日、北海道美唄市の「ゴルフ5カントリー美唄コース」で行われた「ゴルフ5レディス」は、櫻井心那選手の優勝で幕を閉じました。

優勝した櫻井心那選手は2004年生まれの19歳で、2021年11月のプロテストに合格。昨年、ステップアップツアー初参戦で5勝をあげ、今年はステップアップツアー賞金女王として鳴り物入りでレギュラーツアーに参戦してきました。

そして7月の「資生堂レディス」で初優勝をあげると、3週間後の「楽天スーパーレディス」で早くも2勝目。「ゴルフ5レディス」に勝ったことで10代で3勝という、宮里藍選手、畑岡奈紗選手以来の快挙を成し遂げました。 


今季レギュラーツアーに参戦してから目まぐるしい活躍を見せる櫻井心那選手

会場となった「ゴルフ5カントリー美唄コース」は、札幌の北西に位置する平坦な地形に作られた27ホール。鬼才ピート・ダイと息子のペリー・ダイによる設計です。今大会はそのうち18ホールを使用して6472ヤード、パー72の設定で開催されました。賞金総額は7000万円、優勝賞金は1260万円で、優勝者にはメルセデスランキング200ポイントが付与されます。


櫻井選手は初日、岩井明愛選手、神谷そら選手という若手同士でのペアリング。

2人とも今季1勝をあげている実力者であり、ドライビングディスタンスでも上位につける飛ばし屋という共通点があります。

この日は朝から雨。午後からは風が強くなり、夕方には最大瞬間風速12.9mを記録するほどの強風が吹きました。選手たちは風への対応に苦しみ、「今年いちばん荒れている」(櫻井選手)というほどのコンディションでしたが、櫻井選手は順調にバーディを重ねていきます。14番ではボギーを打ってしまいますが、この日のボギーはその1つだけにとどめ、難関の9番、18番ホールもパーでしのぐ堅実なプレーを見せました。

結局初日は4バーディ1ボギーの3アンダーにまとめ、6アンダーの鈴木愛選手、4アンダーの小祝さくら選手に続く単独3位でフィニッシュしました。

アゲンストの17番ホールでは、150ヤードほどの距離を5番アイアンで打ったそうですし、フォローの1番ホールではドライバーが290ヤードも飛んだといいますが、そういった環境にしっかり対応して上位につけるあたり、19歳とは思えない懐の深さを感じさせました。

 

初日は雨と風が強い悪天候の中でのプレー。コンディションに苦戦する選手が多い中、4アンダーの3位で終えた


2日目は初日とは打って変わってさわやかな晴天。

櫻井選手は鈴木愛選手、小祝さくら選手との最終組でスタートしました。

この日は初日と比べると風が弱く、アンダーパーで回る選手は多かったのですが、鈴木選手、小祝選手はともに2アンダーと思ったほどスコアを伸ばせません。

しかし櫻井選手は4~7番で4連続バーディを奪うなど、5バーディ1ボギーで4アンダーの好スコア。小祝選手を抜いてトータル7アンダーの単独2位に浮上し、首位の鈴木選手に1打差と迫ります。

この日は最終組が11番ホールをホールアウトした直後にゲリラ豪雨がコースを襲い、15分間のプレー中断がありました。天候はどの選手にも平等とはいえ、前半をいい流れで終えていた櫻井選手にとっては不運な流れでした。雨の後はグリーンが濡れて重くやわらかくなり、パターのタッチが合いにくくなったり、バックスピンのコントロールも難しくなったとのことでした。

それでもトップと1打差の単独2位という好位置で2日目を終えた櫻井選手。猛暑やサスペンデッドでたまった先週の疲れも少し抜けてきたとのことで、最終日の逆転に向けて態勢は整いました。

 

2日目、思った以上に上位陣がスコアを伸ばしきれない中、4アンダーと着々とスコアを積み上げて最終日へ


そして迎えた最終日。朝は霧が漂っていましたが、選手がスタートするころにはそれも晴れ、気温も上がっていきます。

最終組のスタートは10:30。風も穏やかで、スコアの伸ばし合いが予想されました。

最終組はスタートホールから鈴木選手、小祝選手がバーディ発進。しかし櫻井選手は2番パー5で2オンに成功してバーディを奪い、しっかりとついていきます。

「スタートホールで先行されましたが、2番はパー5なのでそこで取り返せると思ってがんばれました」(櫻井選手)というように、さっそく持ち前の飛距離が生きます。

 

最終日は2番ホールでバーディを奪うなど上々の滑り出しを見せた


以後は各選手、取って取られての接戦が続き、8番ホールを終えた時点で鈴木選手10アンダー、櫻井選手9アンダー、小祝選手8アンダーと、各選手2つずつスコアを伸ばした状態となりました。

そして難関9番ホールで試合が動きます。鈴木選手がパーセーブしたのに対し、櫻井選手は今日最初のボギー、小祝選手は池に落としてのダブルボギー。3人の間隔が2打差ずつに広がります。

しかしそれもつかの間、鈴木選手が10、11番で連続ボギーとし、小祝選手が10番でバーディを奪ったことでその差が消えると、12番で櫻井選手がバーディを獲り、ついに単独首位に立ちます。

 

上位陣のスコアの伸ばし合いとなった最終日。12番でバーディを奪いついに単独トップに立つ


「この展開では1打、2打の差はあってないようなものなので、とにかくバーディを取ることを考えていました。ワクワクしながら、いい緊張感でプレーできていました」(櫻井選手)

その後鈴木選手は14番バーディ、15番ボギー、小祝選手は16番バーディで、最終ホールのティーイングエリアに立った時点では、櫻井選手と小祝選手が9アンダーでトップタイ、鈴木選手が1打差の8アンダーという状態。さらには最終日を5アンダーで回った山下美夢有選手も9アンダーのトップタイまで伸ばしてきていました。

 

3人がトップで並ぶ大混戦のまま勝負は最終ホールへ


「プレーオフはイヤだったので、絶対にバーディを獲ろうと思いました」(櫻井選手)という言葉通り、櫻井選手は快心のティーショットで260ヤード近く飛ばすと、2打目をピン左手前8mのバーディチャンスにつけます。

鈴木選手、小祝選手も2オンを果たしていましたが、2人はバーディパットを決めきれず、最後は櫻井選手が決めれば優勝というバーディパット。

「今日初めて緊張しました。ゆるみたくない場面なので、強めに出ることを想定して、薄めのスライスで狙いました」(櫻井選手)

このバーディパットを見事沈めた櫻井選手。今季3勝目を手にしました。

 

ウイニングパットだけ緊張したと話した櫻井選手。見事バーディを奪取し優勝を果たした


櫻井選手はこれでメルセデスランキングを5位にまで上げ、山下美夢有選手、申・ジエ選手らも射程にとらえます。

まだ19歳ですが、来週は地元長崎での「日本女子プロ選手権」。最年少での年間女王への大きなステップとなる1勝でした。

 

早くも3勝目を手にしたニューヒロイン。今後の活躍に目が離せない
 


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