【ゴルフ5レディス2024レポート】 攻守ともに盤石の強さを見せつけた竹田麗央選手が逆転優勝!
今年の「ゴルフ5レディス」は、竹田麗央選手の優勝で幕を閉じました。
竹田選手は、2022年のプロテストに合格し、ツアー参戦は今年でまだ2年目。4月に初優勝を挙げたばかりの選手ですが、今大会ですでにツアー5勝目。メルセデスランキングトップを走る今年の年間女王最有力候補です。
今大会も、ドライビングディスタンス4位の飛距離やパーオン率1位のショット力、平均パット数(パーオン時)4位というスタッツどおりの実力を発揮し、結果的に2位と1打差の僅差ではありますが、内容的には王者の貫禄とも言えるような強さを感じさせる堂々たるプレーでした。
そんな竹田選手の今大会を振り返ってみましょう。
『今年の4月「バンテリンレディスオープン」で初優勝を挙げてから、目覚ましい活躍をしている竹田麗央選手』
初日は、小祝さくら選手、櫻井心那選手とのペアリング。アウトコース第16組、9:30のスタートでした。
前半は、持ち前の飛距離を生かして2番と5番の2つのパー5でバーディを奪い、堅実で順調な滑り出し。後半は10番、11番で連続バーディスタートし、一気に上位に進出するかと思われましたが、12番、14番と2つのボギーを打ってしまいます。しかし難関17番と最終18番を連続バーディで締め、トータル4アンダースタートでした。
竹田選手は前週に全英女子オープンに参戦。強風のリンクスコースに苦戦して予選落ちを喫し、帰国するなり「ゴルフ5レディス」への参戦でしたので、疲労などで不調もあるのではないかと噂されていました。
しかし全英では強風への対策や距離感のアジャストにこそ苦しんだものの、ショット、パットともに調子自体はよく「ナイスショットがいい結果にならなかった」ことが苦戦の原因だったと割り切ることができたそうです。
この日も、17、18を連続バーディで締めたのは、竹田選手と石井理緒選手の全体で2人だけ。「調子がいい」と言うのもうなずけるゴルフでした。
『6バーディ2ボギーの4アンダーで初日を終えた』
2日目は、予定スタート時間が9:20と遅かったため、中断になった段階ではまだスタート前。1ホールも回ることなくコースを後にします。
ホテルに戻った後は、クラブを持つことなく1日ゆっくり休養できたことが、たまった疲れを取ることにつながったかもしれません。
『2日目は降雨によるサスペンデッドとなった』
リフレッシュして迎えた最終日。この日はアウトコース5組目、7:45のティーオフ。同組は佐藤心結選手と、堀奈津佳選手でした。
4アンダーの4位タイからスタートした竹田選手は、1番でバーディを奪う好スタートを見せますが、2番では3パットでボギー。少し嫌な空気が漂いますが、3番のパー4ではすぐざまバーディを獲ってバウンスバックします。
竹田選手のバッグを担いだジョン・ベネットキャディも「3番のバーディが流れを引き寄せた」と振り返るように、これが前半の流れを決定づけるプレーになりました。
続く4番もバーディとすると、5番パー5では2オンこそ逃すもののアプローチを1mにつけてバーディ、さらに6番もバーディとし、4連続バーディで一気に8アンダーまでスコアを伸ばし、単独トップに躍り出ます。
しかしハーフターンの間にほかの選手もスコアを伸ばしており、仲宗根澄香選手、森田遥選手、山内日菜子選手も8アンダーに伸ばし、首位に4人が並ぶダンゴ状態になります。
竹田選手は、後半に入ってインコース10番パー5バーディを奪い9アンダーとしここから抜け出しますが、山内選手は13、14番の連続バーディで10アンダーまで伸ばし、さらに先行します。
『初日から混戦模様となる中、山内日菜子選手も最終日はスコアを伸ばし優勝争いに加わった』
終盤戦に入って、前半にスコアを伸ばした選手たちは停滞気味になり、バックナインでスコアを伸ばし始めた後続の選手たちも伸ばしきれずに、優勝争いは竹田選手と山内選手に絞られたかのような雰囲気が漂い始めます。
山内選手を1打差で追う竹田選手はもう1つバーディがほしいところですが、前半の勢いはここでピタッと止まってしまいます。11番からずっとパーが続く展開。グリーンを外す場面も増え、苦しい流れとなります。
そんななか勝負を分けたのは、リカバリー力でした。竹田選手がパーで耐えている間に、山内選手が17番でついにスコアを落とします。2打目が松の木のスタイミーになり2オンを逃したところから、アプローチを寄せ切れずボギーで1打後退。9アンダーで竹田選手と並びました。
その直後、16番パー5で竹田選手にもピンチが訪れます。2打目をグリーン左手前のドライクリークに入れてしまい、ボールはモジャモジャに伸びたラフの中。そこからの3打目をハーフシャンク気味の当たりで右にミスし、3オンならず。しかし4打目のアプローチを「お先に」の距離に寄せ、パーでしのぎました。
山内選手はそのまま9アンダーでホールアウトし、クラブハウスリーダーに。竹田選手は17番もパーセーブし、最終18番へと向かいます。
18番のティーショットは、グリーンまで残り75ヤード地点まで飛ぶビッグドライブ。打ち下ろしとはいえ、296ヤードの驚異的な飛距離で、フェアウェイをとらえました。
どんな場面でも「振り切る」ことを意識しているという竹田選手ですが、プレッシャーのかかる場面でさすがのショットでした。
そこから58度のウェッジで打った2打目は、ピンの1.5m上につけるバーディチャンス。「これを決めれば優勝」というチャンスを、自慢のショット力で引き寄せました。
とはいえ残るパットは傾斜の強い下りのフックライン。竹田選手も「大きく切れるラインなので自信はなかった」と言いますが、このバーディパットを決めて10アンダー。単独首位となってホールアウトしました。
『最終パットは1.5mほどの傾斜の強い下りのフックライン。プレッシャーのかかる場面ではあったが竹田選手の勝負強さが光った』
後続組では、原英莉花選手、永井花奈選手、政田夢乃選手、後藤未有選手、ささきしょうこ選手らもスコアを伸ばしていましたが、原選手、永井選手、政田選手が7アンダー、後藤選手とささき選手も8アンダーまでで届かず、そのまま竹田選手の優勝が決まりました。
「全英では予選落ちでしたが、調子自体はよかったのでそのまま『日本でもがんばろう』と思ってリスタートの1戦。ここまでうまくいくのは想定外でした」と語る竹田選手ですが、終わってみれば2日間で13個のバーディを奪う最多バーディ賞。それでいて最終日後半は、苦しい場面でもアプローチとパットでしのぐ粘り強さも見せ、攻守ともに隙のない、盤石とも言える強さを見せつけた試合でした。