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other2019.06.19

堀江翔太の日本代表への想い 「桜のジャージに袖を通すたび、様々なものが胸の中で立ち上がる」

今年9月に開幕するラグビーW杯を、堀江翔太は「代表としては最後(の活動)になるかもしれない」と話す。
 
37歳で迎える2023年のW杯も、狙えないわけではないだろう。11年と15年のW杯をともに戦ったトンプソンルークは、38歳となった現在も第一線でプレーしている。この取材が行われた5月上旬には、スーパーラグビーに参戦するサンウルブズのチームメイトとして、2人揃ってオーストラリアへ遠征していた。
 
トンプソンについて聞くと、堀江は顔の前で右手を左右に振った。「いやいや、あの人だからできるんですよ! あの年齢までできるかどうかは、いまの僕には想像できないですね」
 
想像ができないと言うのも、当然のことかもしれない。アジア初となる自国開催のW杯へ向けて、堀江は自らの熱量すべてを注ぎ込んでいくはずだからだ。
 
1987年から開催されているラグビーW杯に、日本代表はすべて出場してきた。しかし、プール戦と呼ばれるグループリーグを突破したことは一度もない。アイルランド、スコットランド、ロシア、サモアとのプールAで2位以内を確保し、ベスト8へ進出することは日本ラグビー界の悲願である。3大会連続出場を目ざす堀江にとっても、絶対に辿り着かなければならない約束の場所と言ってもいい。
 
「全試合勝って上へ行くイメージはできています。この相手には負けそうやなとかは全然思わなくて、自信を持って自分たちのラグビーをできれば」



4年前の2015年大会では、日本国内に熱狂を巻き起こした。世界を驚かせた。W杯優勝経験を持つ南アフリカを初戦で下し、サモアとアメリカも退けて史上初の1大会3勝を記録した。「自分たちのラグビーができれば」と堀江が話すのも、世界で苦戦を強いられる時代を知り、15年大会の躍進の当事者でもあるからだろう。
 
「あくまでも僕の主観ですが、11年大会では本当の意味での自信を持てていなかった。でも、いまは違います。15年大会を経て、選手たちはどんな相手にも自信を持って戦うことができているし、練習から高いモチベーションで取り組んでいます」
 
堀江自身は昨年9月に右足首を痛め、同11月に手術へ踏み切った。実戦復帰は3月で、4月下旬にはサンウルブズに招集され、26日の試合で途中出場を果たす。「ケガはもう大丈夫です、全然大丈夫です。いまのところは何もないので、このまま順調に行ってくれれば」と話していたように、5月3日と12日にはスーパーラグビーに2試合連続で先発出場した。さらに、日本代表候補が集まるウルフパックでも実戦を積み、ゲーム感覚を磨いている。
 
「僕が頑張ることは日本代表のためにも家族のためにもなり、応援してくれている人たちのためにもなる。ラグビー選手ができることって、そこやと思うんです。テレビに出てW杯を宣伝するとかいうよりは、どれだけラグビーをプレーしている姿を見せられるかだと思うので。そこをメインに僕はやっていきたい、と思っています」
 
日本代表としてのキャップ数は、歴代10位タイの「58」を数える。試合前の国歌斉唱は、堀江にとって大切な儀式だ。



「ホントに感極まるというか、魂が震えるというか。自分のなかで激しさがそこで上がりすぎると冷静ではいられなくなるので、そこらへんはうまいこと上げ下げをしながらですが。昔はね、国歌斉唱で感極まって泣いてしまうこともありましたけど、メンタルを上げすぎると自分たちがやるプレーとかが抜けたりするので、そこは気持ちを抑えながらというか。さすがに慣れてきましたけど、何度経験しても特別なのは間違いありません」
 
桜のジャージに袖を通すたびに、責任、自覚、闘志、誇りといったものが胸のなかで立ち上がる。ピッチに立つことが許されるのは15人だけであり、その15人のプレーで日本代表に評価が下されるのだ。感奮興起しないはずがない。
 
「日本代表って文字どおり日本という国を代表することで、その選手がしょうもないことやったら、代表に選ばれていない選手にすごく申し訳ない。代表というプライドは毎試合残して戦わなきゃいけないし、残すというはピッチに刻むというかね。観てくれている人たちが『頑張れ』とか『日本代表、やるな』って思えるような試合をしないといけない。ラグビーに携わっている人たちの代表として、日本という国の代表として、すべてを賭けてやらなあかんと僕はいつも思っています」
 
堀江が定位置とするフッカーのポジションでは、27歳の庭井祐輔、25歳の坂手淳史、24歳の堀越康介らが代表入りを射程圏内とする。
 
「若い選手がグイグイ来ていて、いいフッカーはたくさんいます。それはすごく刺激になっています」と堀江は話す。もちろん、後輩たちにポジションを譲るつもりはない。
 
「代表としては最後かもしれないので、ここからすべてを賭けてやりたい、と思っています」

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