バレーボールの「リベロ」とは? 役割や求められる素質などを解説
バレーボールの試合を見ていると、コート内で1人だけ違うユニフォームを着た選手がいることに気付くはずです。特別なユニフォームを着ているのは「リベロ」と呼ばれるポジションの選手ですが、なぜリベロだけ他の選手と差別化されているのでしょうか。
ここでは、バレーボールのリベロの役割や専用のルール、リベロに向いている選手の要素などについてご紹介します。
【目次】
■バレーボールのリベロの役割とは?
リベロ(Libero)とは、イタリア語で「自由」を意味しますが、具体的にどのような役割を求められるのでしょうか。バレーボールにおけるリベロの持つ役割を3つご紹介します。
・他選手の守備の負担を減らす
バレーボールのリベロは、攻撃に参加できない守備専門のポジションです。バレーボールには、サーブ権を持たないチームが得点を決めた際に、選手が時計回りに移動する「ローテーション」というルールがあります。ローテーションで守備の苦手な選手が後衛に回った際に、チームの守備力を底上げするために入るのがリベロです。ローテーションでリベロが前衛に回ると、元の選手と交代してベンチに下がります。
例えば、相手チームのサーブをアタッカーやセッターなどの選手がレシーブした場合、スパイクしたりトスを上げたりする選手が減ってしまいます。相手の攻撃を率先してレシーブし、他の選手全員が攻撃に参加できるようにするのがリベロの役割です。
そのためリベロには、相手のサーブカット(レセプション)やスパイクカット(ディグ)などのレシーブを率先して行い、セッターがトスを上げやすいボールを返球することが求められます。
・監督やコーチの指示を伝える
バレーボールの試合では、監督やコーチがチームの作戦や選手への指示を伝えられる「タイムアウト」の回数が、1セットあたり2回までと決まっています。タイムアウトは時間を取って選手を休ませたり、試合の流れを変えるきっかけにしたりできるため、重要な場面まで残しておけるに越したことはありません。
リベロはバレーボールにおいて唯一、審判の許可なしに何度でも他の選手と交代可能なポジションです。何度でもコート内外を行き来できることをいかして、監督やコーチからの指示をコート内の選手に伝えたり、選手の状態を監督に教えたりする役割も持っています。
・守備位置などの指示を出す
守備専門のリベロは、常にコートの後衛に位置してコート全体を見渡しているため、他の選手に守備位置などの指示を出しやすいポジションでもあります。他の選手の守備位置を指示してお見合いを防いだり、相手のスパイクのコースを察知して前衛のブロッカーに伝えたりするのもリベロの仕事です。
また、セッターに次ぐコート内の第2の司令塔としての役割を担う場合もあります。
■リベロ特有のルールを知っておこう
リベロは守備専門のポジションなので、攻撃に参加することができません。その他にもリベロ特有のルールによってプレーがさまざまに制限されています。
リベロにのみ適用されるルールとしては、以下のようなものが挙げられます。
【リベロ特有のルール】
・ネットよりも高い位置にあるボールをスパイクできない
・サーブを打つことはできない
・ブロックを試みるプレーは禁止
・リベロがフロントゾーン(前衛)でオーバーハンドパスしたボールは、ネットより高い位置からスパイクできない(セッタープレーの禁止)
・交代できるのは後衛の選手のみ
ブロックプレーはボールに触れたかどうかではなく、ブロックを試みたかどうかで反則が決まるため、フェイクプレーでも反則を取られます。リベロに関するルールを端的に表すと、攻撃に関係するプレーをリベロが行うのは禁止ということです。
また、後衛の選手とは試合中何度でも交代可能ですが、再交代できるのはリベロと交代した選手かセカンドリベロに限られる点にも注意が必要です。
■リベロに向いた選手の特徴
高い位置にあるネットを超えてスパイクを行う必要があるバレーボールは、背が高い選手ほど有利になるスポーツです。しかし、ネットを超えるスパイクや前衛でのオーバーハンドパスが禁止されているリベロは、身長が低くても実力を発揮することができます。
リベロに求められる資質や能力の一例をご紹介するので、リベロを目指している方は参考にしてみてください。
・視野が広い
リベロは、コート後方から常に味方選手の位置取りや相手選手の癖などを把握して、良いポジション取りを行い続ける必要があります。視野を広く持てることは、リベロになるうえで大切な資質です。
また、リベロは監督からの指示を伝えたり、味方選手の守備位置を決めたりといったゲームメイクも求められるポジションです。相手選手のプレー傾向や得意なスパイクコースなどを把握する分析力や判断力、味方に的確な位置取りの指示を出せるだけのコミュニケーション力や統率力も求められます。
・レシーブが上手
守備専門で基本的にはレシーブしかできないポジションなので、上手にレシーブを上げられることは大前提です。アンダーハンドパスでのボールコントロールや、セッターがトスを上げやすいレシーブを常に行えるかどうかがポイントになります。
相手からのスパイクやサーブがリベロめがけて飛んでくることは少なく、コート内のさまざまな場所に落ちます。リベロになるには、難しいコースに飛んできたボールも反応して上げる瞬発力や、ボールを絶対に落とさないという粘り強さも重要です。
つまり、リベロに求められるのはパワーではなく瞬発力やテクニックです。背の高さは関係なく、純粋に実力が試されるポジションと言い換えることもできます。
■リベロの練習方法
リベロは、何よりも上手にレシーブできることが求められるポジションです。スパイクやサーブをアンダーハンドパスで受ける練習を繰り返し、レシーブの技術を高める必要があります。
まずは対人パスなどでたくさんボールを受けて、レシーブの技術を磨くようにしましょう。レシーブ技術が向上してボールコントロールが身についてきたら、瞬発力も鍛えるのがおすすめです。
ブロックで弾かれてコート外に出たボールや、相手のフェイントに対応する練習なども取り入れてみてください。
■リベロは重要な役割を持つポジション
バレーボールのリベロは、相手のサーブやスパイクを受けるだけではなく、監督からの指示を伝えたり、味方選手の位置取りを指示したりする役割も持っている重要なポジションです。高い守備力だけでなく、判断力や分析力、忍耐力なども求められます。
ルール上はリベロを配置しなくても良いものの、多くの強豪チームが取り入れていることからも、リベロの有用性はわかるはずです。リベロ廃止論が叫ばれることもありますが、しばらくリベロがなくなることはないでしょう。
また、リベロの魅力は、身長やパワーが足りない選手でも、技術を磨けば試合で活躍できる点です。バレーボールのプレーに自信はあるものの、身長が低くなかなか試合に出られないと悩んでいる方は、守備のテクニックを磨いてみるのも良いかもしれません。
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