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other2022.10.31

もう着ないアパレルを、回収ボックスに持って行くだけで環境貢献!〜Alpen GREEN PROJECT「ツナグ・リサイクル」〜

季節の変わり目に欠かせない準備といえば「衣替え」。クローゼットや引き出しを整理しながら、「そろそろこの洋服は処分しようかな」なんてアイテムも出てくるのではないでしょうか。

あれも、これもゴミ袋にまとめて…なんてお考えなら、ちょっと待った!

アルペングループの全店舗には、要らなくなったアパレルを回収するリサイクル&リユースボックス「Alpen GREEN PROJECT ツナグ・リサイクル」があり、どこで購入したものでも、いつでも回収可能となっています。

今回は、ここで回収されたアパレルたちがどのような流れで再生されていくのか、そしてこれらの取り組みについて将来的にどんなことを目標としているのかを、アルペングループのサステイナビリティ推進プロジェクトサブリーダー 柴田利佳さんと、回収したアパレルをリサイクル・リユースしている企業、JEPLAN(ジェプラン)からは高杉賢治さんにリモートで参加していただき、お話を伺いました。


――まずは、アルペングリーンプロジェクトで行われている、アパレル回収について教えてください。

アルペン柴田さん(以下、柴田さん):

アルペングループの全店舗に回収ボックスを設置しており、不要になったアパレルであれば弊社で購入されたものはもちろん、他社で購入されたものもお客様に持ち込んでいただけるサービスです。回収されたアパレルは、パートナーであるJEPLAN さんが行なっている、不要になったアパレルを循環するプラットフォーム「BRING™」を通してリユース・リサイクルに回していただいております。

弊社が本格的にサステイナビリティに取り組み始めてから、店舗でも常々「お客様と一緒に何かできることはないか」と考えていました。

特に弊社の店舗ですとアパレルの取り扱いも非常に多いですし、スポーツウェアということで、石油原料から作られているポリエステルを使用したものが多くなっています。

スポーツウェアは厳しい環境下で使用されることが多いため、カジュアルウェアに比べ早く着古してしまうかもしれません。しかしそれらも貴重な資源なのでそのまま捨てられてしまうのはもったいないですし、衣類廃棄も社会問題になっています。そこで、なんとか弊社で回収してリサイクルに回すことで、環境負荷の軽減につなげることができないかと考え、回収をスタートさせたというのが経緯です。スポーツは自然環境の恩恵を受けて楽しむことができるものですので、その大切なフィールドを守っていく取り組みの第一歩にしたいという想いももってスタートさせました。


――では、ボックスにアパレルが回収されてからの流れを教えていただけますか。

JEPLAN 高杉さん(以下、高杉さん):

アルペンさんの各店舗から回収した古着は、まず服の状態を見て「まだ着ることができるもの」と「もう着ることができないもの」に選別していきます。着ることができないものはリサイクルし、着ることができるものはリユースをする、というのが我々の仕組みとなっています。

着ることができないもののリサイクルは、ポリエステル100%のものは、我々の独自ケミカルリサイクル技術であるBRING Technology™を用いて再生ポリエステルにリサイクルしています。そのほかの綿素材などは協力リサイクルパートナーと一緒に、自動車内装材にリサイクルするなどしています。

そのため集めるアパレルはポリエステルがメインというわけではなく、素材は問いません。実際、集まる素材の比率もポリエステルは少なくて、綿との混紡素材だったり、機能性を重視した素材など特殊な合成繊維のものが多かったりします。

まずは人の手を使って混率表記のタグを見て分別をし、ポリエステル100%のものは我々の技術でリサイクルし、そのほかの素材はパートナー企業に協力を仰いで一緒にリサイクルをさせていただいています。


――いろいろなつながりを持ってリサイクルに取り組まれているということですね。

高杉さん:

そうです。一社だけではできないものを皆で手をつなぐことによって、きちんと世の中全体で循環型社会を目指していくということが、我々のビジョンです。


――JEPLANさんの技術の強みは何ですか?

高杉さん:

我々の独自リサイクル技術として「BRING Technology™」と呼称させていただいていますが、我々はリサイクル技術の中でも「ケミカルリサイクル」というリサイクル技術を用いています。このケミカルリサイクルという技術は、素材に化学的な処理を用いる手法です。

当社の技術は、まずポリエステルを分子レベルまで分解した後、不純物を除去して、ポリエステルの原料を精製して再生樹脂を製造する、という流れです。

我々の技術を用いれば、石油由来のポリエステルと同等品質のポリエステルをリサイクルにより精製することが可能となります。


――ここだけの話、ポリエステルだけボックスに入れてくれると嬉しいな、ということは?

高杉さん:

世界では、毎年約9200万トンの衣類が廃棄され、且つポリエステルは繊維生産量の約6割(約5200万トン)を占めています。ポリエステル繊維の回収が増えるということは、その分、我々のリサイクル技術で再生されるポリエステルも増えるということなので、ポリエステル繊維を我々がたくさん回収できれば、将来、地下資源を使用せずとも再生ポリエステルだけでアパレルを作ることができる世界になると思います。

ただ、いいアパレル製品を作ろうと思ったら、ポリエステルだけではなく混紡のものも必要になるかと思います。そういったものもリサイクルするためには、不要になったアパレルは素材を問わず我々の手で回収してリサイクルしていきたいと思っています。


SUSTAINABILITY/サステナビリティ ー株式会社JEPLAN


高杉さん:

ちなみに、アパレル製品を作る際に我々の再生樹脂を使うと、石油由来の樹脂を使う場合と比較して、49%のCO2を削減することができます。先ほども申しましたように、再生樹脂を使えばその分は地下資源を使用せずに済みますから、新たなCO2を排出することもなくなる、というわけです。

(※1 同社の技術については、2019 年度に環境省がデロイトトーマツコンサルティングに委託しLCA調査(※2)を実施。その結果、石油由来ポリエステル(PET)樹脂と比較し28%の二酸化炭素削減効果があるとのことが示されている。 ※2 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社「令和元年度 ケミカルリサイクルの二酸化炭素削減効果と脱炭素社会システムとしての評価検証委託業務 成果報告書」令和元年度環境省委託業務 2020,3.153p)


――JEPLANさんは、いつ頃からアパレル回収をしてリサイクルする取り組みをされていますか?

高杉さん:

我々がこの活動を始めて、もう10年以上経ちます。サービスを始めた当初は「古着回収で何ができるんだ」という声が多数でしたが、この数年で各企業様、アパレル企業様など繊維業界の課題に対する一つの策として、古着を回収してどんどんリサイクルしていかなければならない、という方針になってきたと思います。

おそらく向こう5年、10年くらいになるとリサイクルすることが当たり前になってくると思いますし、かつリサイクルすることを前提としたものづくりが今後広がっていくのではないでしょうか。我々企業がそのようなものづくりをして、お客様が手にとっていただいくものがサステイナブルなものになっている、という世界に変えていくことが一番大事だと思っています。


――アルペングループでも、リサイクル素材を使った商品などを扱い始めていますか?

柴田さん:

そうですね、リサイクル素材を含め環境に配慮された素材を使用した商品の取り扱いは年々増えています。弊社では「2027年までにアパレル、シューズ、バッグ商品の30%以上を環境に配慮した商品に切り替える」という目標を掲げていますので、自社ブランドでも今後そのような商品を増やしていきたいと思っていますし、弊社で取り扱う商品の大半をナショナルブランドの商品が占めていますので、ナショナルブランド様と協力しながら、より多くの方が幅広い選択肢の中からサステイナブルな商品を選べるような状態を作っていきたいと思っています。

いちばん理想的なのは、高杉さんもおっしゃられているように、選んだ商品が「あ、サステイナブル商品だったんだ」という状態になることですが、現状はまだそこまで多くの商品が揃っていないので、今後も積極的に増やしていきたいところですね。


――最後に、それぞれ今後の取り組みについてお聞かせください。

柴田さん:

アルペングループでは、2020年の2月からサステイナビリティ推進プロジェクトを立ち上げ「その時代に生きるすべての人がスポーツをもっと身近に楽しむことのできる社会」の実現を目指して、さまざまな取り組みを進めています。その一環としてアパレル回収をはじめ、今ではアルペングループの店舗を通して、毎月約1トンのアパレルを回収できています。

今後はより多くのお客さまに「アルペングループのお店に行けば、いつでもアパレル回収をやっている」ということを知っていただき、アパレルを捨てることがなくなる未来を作っていけると良いな、と思っていますので、周知の面でも力を入れていきたいです。

アパレル回収に参加することで、ゴミの削減やCO2の削減につながるだけでなく、最終的には我々が大切にしているスポーツやアウトドアのフィールドを守っていくことにもつながっていきます。

弊社に来店されるお客様はスポーツやアウトドアが大好きなお客様が多いと思いますので、自分達が楽しむフィールドを守っていくためにも、まずは気軽な気持ちでアパレル回収に参加していただけるとうれしいなと思います。


高杉さん:

我々は「あらゆるものを循環させる」というビジョンを掲げ、今当社の技術でリサイクルしているものはポリエステルのみですが、ポリエステル以外の素材も再生して世に出して、お客様のもとに再びお届けできるような活動を目指していきたいと思っております。

我々は回収した服をきちんともう一度価値ある服に蘇らせて、お客様の手元にお届けするところまでを実現する、サーキュラーエコノミーブランドです。これらの活動を通して、アルペンさんの店頭でも再生素材を用いたアパレルの販売が将来的に実現できたらなと考えています。

そのためにも、古着のリサイクルに困ったら、まずはアルペンさんを検索してください。全国展開しているので、回収拠点が全国にあるというのは我々にとっても非常にありがたい存在です。


柴田さん:

確かに、回収拠点は全国にありますね。特にスポーツウェアはポリエステル100%のものも多いですし、そのようなウェアを少しでも多く回収して、それをJEPLANさんで100%リサイクルして、そのリサイクル素材を使った商品をまた弊社店舗で取り扱ってお客様の元に届け、また使い終わったら弊社で回収して、、というループが実現できれば、スポーツウェアが1枚も捨てられない未来が実現されていきますね。
アパレル回収自体も、イベントやキャンペーンで一時的に実施されることはありますが、弊社のように回収ボックスを常設している店舗は、実はあまり多くないのでぜひ活用していただきたいですね。


高杉さん:

BRINGのホームページ( https://bring.org/pages/bringmap )でも、いつどこのお店で回収しているか公開していますので、お住まいの住所を検索していただければお近くのアルペングループの店舗がヒットするかと思います!


■実際にアルペングループの店舗に行ってみた

お二人からお話をお聞きしたあと、さっそくアルペングループの店舗であるスポーツデポへお邪魔してきました!


回収ボックスにはすでにかなりのアパレルが入っていて、お客様の意識の高さもうかがえます。

スタッフの方曰く「お買い物のついでに持って来られる方だけでなく、わざわざボックスに入れるために来店してくださる方もいらっしゃいます。ぜひみなさんお気軽に持って来てくださいね!」とのことでした。

10月は、3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間でしたね。引き続き、要らなくなった衣類がありましたら、この機会にアルペングループ各店舗の回収ボックスを活用してみませんか?
 


■Alpen GREEN PROJECT「ツナグ・リサイクル」

https://store.alpen-group.jp/campaign/group/alpen-green-project/recycle/


■BRING

https://bring.org/

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