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other2020.04.28

笹原龍(プロテニスプレイヤー)| 自宅で挑戦できる企画実施に込めた想い「ラケットを持つ機会を増やし、少しでも笑顔が生まれれば」

現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外出自粛が余儀なくされている。多くの企業が在宅勤務やリモートワークに切り替え、アスリートは各競技の大会実施の目途もたたず、全体練習すらままならない。それでもインターネットやSNSを通じて、それぞれができることに力を尽くしている。

プロテニスプレイヤーの笹原龍選手もそのひとり。活動が制限されているなか、家の中で、ラケットとグリップテープで挑戦できる「グリップチャレンジ」を考案。自身のSNSを活用して企画を全世界に広めており、すでに多くの人がチャレンジ動画を投稿している。

今回はそんな笹原選手に、自身のキャリアを振り返ってもらいながら、ギアへのこだわり、そして「グリップチャレンジ」に込めた想いを伺った。



――プロテニスプレイヤーとしても、指導者としても国内外で活躍されている笹原選手。競技を始めたきっかけを教えてください。

笹原:テニスを始めたのは小学5年生の頃。兄が通っていたテニスクラブの送り迎えについて行ったとき、「僕もやりたい」と思ったことがきっかけです。それまではサッカーやバスケット、水泳などいろんなスポーツをしていましたが、周りから「打ち方がかっこ悪い」と言われたことがすごく悔しくて。他のスポーツは辞めてテニス一本に絞り、休日は朝から晩までひたすら壁打ちをしていましたね。それぐらい、競技を始めた当初はめちゃくちゃ下手だったんです(笑)。

――それは意外でした。でも、はじめは上手くはなくても途中で投げ出さず、より一層努力されたわけですね。

笹原:はい。その悔しい気持ちが原動力になっていたんだと思います。その甲斐あって、中学からは徐々に結果を出せるようになり、地元である宮城の県大会でベスト4に入れるぐらい実力がついてきました。高校進学後も東北私学大会2連覇、東北選抜ジュニア優勝などタイトルを取ることができて、自分に自信を持てるようになってきたんです。

――その頃からプロを意識されていたのでしょうか?

笹原:確かに「プロになりたい」という夢は漠然と考えてはいましたが、具体的にイメージすることはまだできませんでした。僕が学生だった当時、国内で一番大きな大会だったAIG ジャパンオープンに元世界ランキング1位のロジャー・フェデラーといったトップ選手が参加していて。その凄さは見ていてなんとなくは分かるんですけど、どうすればプロになれるのか、という答えは導き出せませんでした。だから「プロとして生きていく」という明確な夢や目標を持つことはできませんでしたね。

――では、プロ選手になるきっかけは何だったのでしょう?

笹原:そのきっかけは突然訪れました。高校卒業後、僕は国内大会を転戦していたのですが、ある大会で負けた後に、悔しくて東京のコートで練習していたんです。すると、隣のコートでたまたまアメリカのコーチがレッスンを行っていて。僕の練習を見たそのコーチが「アメリカのテニスアカデミーに来てみないか?」と声をかけてくれたんです。それで渡米することを決意し、カリフォルニア州で選手活動とテニスコーチのアルバイトを両立する生活が始まりました。そして翌年、日本で登録申請を行って、20歳から正式にプロテニスプレイヤーとして活動することになったんです。

――ちゃんと見てくれる人はいるんですね。それからプロ選手、そして指導者として海外を中心に活動されていくわけですね。

笹原:はい。カリフォルニアで3年、フロリダで1年暮らして、その後は日本とヨーロッパを行き来していました。オランダ、ドイツ、ベルギーと渡り歩きましたが、今は練習環境に一目惚れしたスペインがお気に入りです(笑)。プロになってからは国際大会にも積極的に参加するようになって、これまでハワイオープンのダブルスで1位になったり、アジア、欧米でメンズオープン優勝。そして、4大大会の次にグレードの高いカテゴリーであるインディアンウェルズの予選WC(ワイルドカード)の大会に出場できたりと、プロとしても結果が出始めてきましたね。



――そういった数々の大会で活躍するためのプレーを引き出すには、やはりギア(用具)選びも重要だと思います。ラケットやシューズへのこだわりはありますか?

笹原:ラケットはミズノの『F-TOUR 300』、シューズも同メーカーで『ウエーブエクシード ツアー3 AC』を使用しており、ラケット・シューズ共、約8年間ミズノ製品を使用し続けています。ミズノ商品は僕にとって最高のパートナーですね。

『F-TOUR 300』は打感がしっかり手に伝わり、試合を行う際にオフセンター(ボールがラケットの真ん中に当たらないこと)で打つ際も、力負けをしない弾きと飛びの良さがあります。また、プレッシャーのかかった局面でも、コートの深いところにボールが落ちてくれるラケットなので、すごく助かりますね。それにデザインもかっこ良いですし(笑)。

こだわりとしては、ラケットグリップの中に重りを入れています。手元に重みがあると安心感があるので。ちなみに、ラケットに巻くグリップテープは、テニスを始めた時からほとんど変わらず『kimony ハイソフトEX』を愛用しています。これを巻くことによって、しっかり手にフィットしてくれるので、ラケット競技をする方にはオススメです。



――選手それぞれ手の大きさは異なるので、グリップテープを巻いて自分の握りやすい厚さ・重さにすることは重要ですよね。シューズはいかがですか?

笹原:『ウエーブエクシード ツアー3 AC』は履き心地も良く、クッション性にも優れているので足さばきが綺麗に決まります。これは僕にとって、自分の“球演技(テニスを通して観ている人々を魅了するエンターテイメント)”をする上で大事なアイテムの一つです。

――お話を聞いてきて、ラケットとシューズに対する信頼感がすごく伝わってきます。しかし、現在は新型コロナウイルスの影響で世界中の大会が延期・中止となり、ギアを生かすことができない状況にあります。笹原さんはいま、どのような活動をされているのでしょう?

笹原:実は現在、選手活動と並行して、自宅で挑戦できる「グリップチャレンジ」という企画を実施しているんです。理由としては、子供たちやテニスが好きな方々に少しでも笑顔や、ラケットを持っていただく時間を作りたい、ということが挙げられます。

僕は宮城県出身で、2011年の東日本大震災で被災しています。当たり前にあった事がなくなり、スポーツなどをする余裕もその時はなくなってしまいました。そして今回、新型コロナウイルスのニュースを観て「これは世界的にパンデミックが起こる」と思い、自分たちが震災時に感じた事を踏まえてこの企画を考案しました。テニスを通じて笑顔を生み、家の中で家族の会話の「きっかけ」を作りたかったんです。

また、スポーツだけじゃなく、どの業界においても全く活動ができず、ネガティブな情報を見る機会が増えてきました。選手にはファンがいて、指導者には生徒がいます。みんな、自分たちの発言、行動を楽しみにみているはず。だからこそ、「一緒にチャレンジすることの楽しさ」を伝えたい。それが自分のするべき使命だと思ったんです。


――笹原選手含め、アスリートのSNSを通じて発信する動画や企画は、本当にファンや子供たちに元気を与えてくれますよね。「グリップチャレンジ」の具体的なやり方を教えていただけますか?

笹原:ルールはとてもシンプルで、グリップを巻き始めると同時にタイムを計り、付属のグリップエンドテープを貼ったところで終了です。その後、巻き終えたラケットをカメラの前で360度回してください(撮影は手元のみでも可)。投稿方法は、SNSにて「#グリップチャレンジ」、もしくは「#gripchallenge」をつけて投稿していただくのみです。ラケット競技であれば参加可能なので、ぜひチャレンジしてみてください!



――最後に、今後の展望をお聞かせください。

笹原:はい。2020年は選手活動を優先して行う予定でしたが、遠征予定は全てキャンセルになってしまいました。今後、世界がどのように変わっていくかは分からないですけど、自分は自分らしく、目指すものに向かって日々頑張って行きたいと思います。応援の程よろしくお願い致します!

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