マムートの歴史や製品を知り、登山道整備活動を学ぶ「硫黄岳トレッキング講習会」に潜入!
アルペングループのアウトドア専門店である、アルペンアウトドアーズやアルペンマウンテンズ。各店舗に所属しているスタッフたちは、日頃から自らアウトドアを体感している人ばかりです。さまざまな講習会などにも参加し、知識や技術、経験を積みながら接客に活かしています。
そんな講習会の一環として、10月下旬に2日間の日程で開催されたのがアウトドアブランドのマムート(MAMMUT)主催によるトレッキング講習会です。マムートは160年以上の歴史を持つスイスのブランドで、安全に登山するための啓発活動も積極的に行っています。
講習会では、八ヶ岳にある赤岳鉱泉の方々と共に行っている登山道整備活動の見学や、赤岳鉱泉の安全啓発活動、マムートの歴史、そして商品知識を学ぶ座学を行い、翌日は1日目に学んだ知識を実践で体感するため、硫黄岳の山頂を目指します。今回は、全国の店舗から22名のスタッフが参加しました。
ではさっそく、講習会の様子をレポートしていきます!
■おだやかな晴天のなか、1日目がスタート!
集合場所に参加者たちが続々と集まり、全員揃ったところで講習会の講師を務めるマムートスタッフのみなさんと挨拶を交わします。
今回の講習会では「ワンハンドクリーン」、つまり登山をしながらゴミ拾いも行うため、全員にゴミ袋が配布されます。なんとマムート特製カトラリーセットがプレゼントされるというサプライズもあり、みなさん満面の笑み!
天気は快晴。木漏れ日が心地いい山道を、軽快に進みます。今回はトレッキングポールを持参して、感触を確かめながら歩く参加者も。こういった経験が、売場での接客に活かされるのでしょう。
途中、自動車が入れる最終地点で小休憩です。駐車場には、これから向かう赤岳鉱泉の当主である柳沢太貴さん所有のジムニーが停まっていました。
22年間がんばって仕事をしてくれた先代ジムニーから新調する際に、モータースポーツに縁がある柳沢さんにちなんでこのようなラリーカー仕様のラッピングになったそうで、「マムートジムニーに会うためにトレッキングを始めました!」なんて人も増えているのだとか。
スタート地点から2時間ほどで、赤岳鉱泉に到着!くっきりと見える稜線を見ながら、八ヶ岳の山々の話に花を咲かせる人や記念写真を撮る人など、みなさんまだまだ元気いっぱいの様子です。
ランチタイムの前に、中山乗越登山道に向かいます。赤岳鉱泉とマムートで取り組んでいる登山道整備の様子を見ることができる場所まで移動し、マムートジャパン川村さんの解説が始まると、皆真剣な眼差しで話を聞きます。
登山道整備では、雨風によって土砂が流されてえぐれてきた場所が、登山道でなくなってしまうのを防ぐためにこのような「土留め」を施していくそうです。
現場では、1本15kgほどある枕木に1本5kgある杭を2本打って固定していくわけですが、防腐処理と穴あけをした枕木と杭をヘリポートまで運搬したあと、人力によって背負子で運んで作業をしていきます。枕木2本+杭2本で、重さにして40kg。これら以外にも、打ち込むための大きなハンマーや、地ならしをするためのつるはしも運ぶとのことで、かなりの重労働であることが想像できます。
土留めを作ったあと、安定させるために岩場から何度も往復して岩を運び込み、最後にマムートメダルを打ち込んだら、ようやく完成。そこから数年かけて、自然に土が土留めに入っていくことで登山道が固定され、土留めとしての役割を果たしてくれるようになります。
見学後、赤岳鉱泉に戻ってきたところでランチタイム! 売店にある昼の定番メニュー、カレーライスは5種類から選べるそうで、とってもいい香りが……。
ランチタイムが終わったら、座学勉強会です。赤岳鉱泉内の部屋に移動し、プロジェクターの前に集まります。
はじめは、赤岳鉱泉4代目当主である柳沢太貴さんによるお話です。
モータースポーツ活動から家業である山小屋に入ったという太貴さんの経歴から始まり、登山道整備の話、異業種とのコラボレーションや宣伝活動、人工氷瀑(ICE CANDY)の取り組みなど、興味深い話にみなさん夢中になって聞き入っていました。
つづいて、マムートの登山道整備の報告や歴史、アクティビティカテゴリーや製品開発に携わるトップアスリートの紹介、そして日本アルプスの山々の成り立ちに至るまで、深く学んでいきます。
どの話も接客現場でのお客様との会話で役に立つようなものばかりで、マムートというブランドだけではなく、山と関わっていくために必要な基礎知識をあらゆる方向から吸収することができる、非常に濃い内容の勉強会になりました。
小休憩を挟んで、ラストはマムートのプロダクトについてです。ファーストレイヤー、ミッドレイヤー、アウター、ギアのなかで、代表的なものをひとつずつ紐解きながら、特徴を細部まで学んでいきます。
それぞれのアイテムの特徴を忘れないように、真剣にメモを取る参加メンバーの姿も。この日のためにマムート製品を新調してきた参加者もいて、特徴と実際の使用感を照らし合わせてインプットしているようでした。
勉強会が終わったら、お待ちかねの夕食!赤岳鉱泉の夕食は日によってステーキが出されるということでみなさんワクワクしながら食堂へ向かいます。
テーブルの上に並んだステーキを見て、あちこちで歓声が!あまりの嬉しさに写真に収める人もいて、今日の疲れも一気に飛んでいったようです。
テーブルには、マムートのロゴがあしらわれたグラスも並べられています。このグラスも赤岳鉱泉とマムートのコラボレーションで、名物のひとつ。SNSの広がりとともに、こういったアイテムがお客様との距離が縮まるきっかけとして欠かせない存在になっているのだそうです。
■講習会参加メンバーに、突撃インタビュー!
1日目が終了したタイミングで、参加者に講習会の手応えや感想をインタビュー!
まずは、アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア柏店の、浅野正樹さんです。登山経験は13年、登山ガイドステージIIとスキーガイドステージIの資格を持っている強者です。
――マムートと赤岳鉱泉の歴史や取り組みについて、どう感じましたか?
浅野さん「登山道整備や安全に対する啓発活動が素晴らしく、大変な苦労をしながら維持されているのを目の当たりにして、自分が山に入るときも注意しながら歩こう、と改めて感じました」
――ガイド資格を持つ浅野さんだからこそ感じたことはありましたか?
浅野さん「特に大人数で歩くときは、そのぶん踏み跡なども多く残してしまいます。安全第一ではあるものの、そのなかでも環境に気遣った歩き方は大事にしなければいけないなと思いました」
――マムートのウェアについて、どんなところが優れていると感じましたか?
浅野さん「今日はアルティメイト7 ソフトシェル フーデッド ジャケットを着用して登りました。しなやかで肌触りが良く、脇部分のベンチレーションのおかげで、歩いていて通気がいいのもポイントです。さらにWINDSTOPPER®が使われていて風にも強いので、明日の硫黄岳登山でも威力を発揮してくれると思います。マムートは頭の先から足の先まで揃う、信頼のおける総合ブランド。お客様にも自信を持っておすすめしたいと思います」
――明日の登山への意気込みを!
浅野さん「引率する立場でもあるので、何よりも参加者に楽しんで登っていただけるようサポートすることと、タイミングがあれば道中でも講習ができればと思っています」
つづいて、アルペンアウトドアーズ 広島ラクア緑井店の、渡部葵(左)さんと、アルペンマウンテンズ 練馬関町店の虎田夏実さん(右)です。
渡部さんは普段は低山に登ることが多く今回が初めての本格登山、虎田さんは登山経験5年、福岡の店舗に所属していた頃は、糸島の山々で登頂記念の木札も集めていた登山愛好家です。
――登山道整備の様子を見学して、どう感じましたか?
虎田さん「土留めを打っている現場を初めて見ましたが、もしかしたら今まで階段だと思って登っていたところも土留めだったのかもしれないなと感じました。また、登山道整備のために40kgを担いで登られているということに驚きました。自分たちが担いでいる荷物がだいたい10kgほどしかないので、これを4つ担いで整備していただいていると思うと、感謝して登らないとと思いましたし、山を綺麗に使うべきだとも思いました」
渡部さん「山の土砂を止めるために土留めが打たれているいうことを知り、純粋にすごいと思いましたし、これからそういうところにも注目して登りたいなと思いました」
――マムートのギアやウェアを使ってみた感想をお聞かせください。
渡部さん「講習会の前にマムートのバックパックを購入して、今回参加しました。まずは見た目ですね。とってもかわいくて、色も好きで選びました。実際に使ってみると機能的にも優れていて、たとえば背面部分はメッシュになっていて蒸れないし、背負いやすい。あとはサイドのポケットです。講習でもありましたが、ポケットの入口が斜めに作られていてかつ柔らかい素材なので、背負ったままでもボトルが出し入れできます。バックパックの重さも1kg未満で、女性でも本当に使いやすいです」
虎田さん「今回マムートのパンツを初めて履いて来ました。これまで登山するときは足を引っ掛けたりして泥汚れもあったのですが、今日はまったく泥汚れがなくきれいなまま。マムートパンツはすごく柔らかくてしなやかな履き心地なので、足上げがしっかりできたからだと思っています。また、シルエットもいいので、普段履きでもヘビロテしそうです」
――マムート製品をどんな方におすすめしたいですか?
渡部さん「バックパックは非常に軽く、小柄な女性にも楽に背負っていただけるかなと思いますし、所属店舗が高齢者のお客様も多いので、バックパックを下ろさずに出し入れできるところもおすすめしたいなと思いました」
虎田さん「パンツは初めて山に登る人にこそぜひおすすめしたいなと思いました。初めて登る方って、あとで使わなくなったり登らなくなったりしたらどうしようって悩む人もいますが、最初にしっかりしたものを購入することで長く楽しんでいただけますし、もし山登りしなくなったとしても、シルエットもきれいでロゴも格好いいので、街着としても活躍できるパンツだと思います」
――今回の講習会を、売場でどう活かしていきたいですか?
渡部さん「今日講習を受けたなかで今まで知らなかった豆知識もあり、これからは自分でももっと調べて、お客様に寄り添った接客をしていきたいと思いました」
虎田さん「今日学んだ山の知識は目から鱗のことも多く、1人でも多くのお客様に “山に興味を持って楽しんでもらう” ために、今回の講習で学んだことを活かしていきたいと思いました」
■いよいよ硫黄岳山頂へ! 2日目がスタート!
6:00に赤岳鉱泉を出発するということで、集合前にヘルメットレンタルを希望している人たちがサイズ調整を行います。赤岳鉱泉では登山者にマムートヘルメットのレンタルも行っているため、安心です。
心配されていた雨も降っておらずホッとしながら、入念に準備体操をして、いよいよ出発です!
要所要所で、山岳ガイドの資格を持つ浅野さんによるギアの使い方講座も開かれます。ここでは、トレッキングポールの持ち方や使い方をレクチャー。売場でお客様にご案内しやすいような説明で、参加者のみなさんに伝えていきます。
稜線に出ると、視界が開けて一気にテンションが上がります。この日は風が強かったため、マムートのソフトシェルを着た参加者たちは「本当に風を通さない!」と、機能の素晴らしさを存分に体感していました。
そして全員無事に登頂成功!頂上はあいにくガスに包まれてしまい絶景は望めませんでしたが、雨に降られることなく登頂できたのでみなさん大満足!山のポーズ&アルペンのAマークポーズで記念撮影をし、下山します。
赤岳鉱泉まで戻ったら、最後に水力発電の見学に向かいます。
雨が多い八ヶ岳の豊富な水資源を利用してダムを手作りし、パイプから水を引き込み電気を作り出していること、山小屋自体が登山をする人の安全を確保する中間地点としての役割があるなかで、山小屋をどう快適に使ってもらうかを考えた小屋の人々の努力で電気が賄えていることなどを聞きます。
その後、山中にひっそりと建つ発電用のポンプ小屋まで移動し、タービンを回すためのマイクロポンプや発電の仕組みを学びます。赤岳鉱泉でモバイル充電ができたり水洗トイレが使えたりするのは、こういったひとつひとつの活動によるものだということ、感謝をしながら恩恵を受けていくことが登山者としての心構えだということを、参加者のみなさんはしっかりと胸に刻んでいました。
そして、全員怪我なく無事下山!マムートの方々から総括をいただいたあと、みんなで一本締めをしてトレッキング講習会がお開きになりました。
今回の講習会をはじめ、アルペングループの各店舗では、スタッフが知識と技術の向上のため常にこのような取り組みを行っています。
これから登山を始めようとお考えの方も、次のステップアップを目指している方も、ぜひ店舗に遊びに来てお気軽にスタッフに相談してみてくださいね。各店舗にて登山用品を豊富に取り揃えてお待ちしています!
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