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running2019.02.18

音楽とランをつなぎ、走る「入り口」になる場所へ─田原104洋(ランニングステーション&MOSHプロデューサー)

「格闘技・音楽・走る」をテーマにしたアパレルブランド「MOBSTYLES」を展開し、代々木八幡のランニングステーション「&MOSH」のプロデューサーでもある田原104洋。以前は全くもって「走ること」と無縁だったという彼が、仕事のひとつにしてしまうほどランニングにのめり込んだきっかけとは。フジロックフェスティバルや京都大作戦でMCも務めるなど、音楽との関わりが深い彼だからこそ実現できる「音楽×ラン」カルチャーについての展望や、服作りをする人ならではの視点でのシューズへのこだわりについても話を聞いた。

■「ランニングの基地になる場所」を、つくりたい
 
──田原さんが走り始めたきっかけを教えてください。
 
僕はもともと、走ることに全く興味がなかったんです。部活もやっていなかったし、中学、高校の1500mや5000m走も、なるべくサボろうとしていたり(笑)。とにかく、走ることとは無縁な人生を送っていました。それで10年ほど前のある日、BRAHMANのTOSHI-LOWから「走んない?」と誘われて。当時は「飲みに行かない?」みたいな感覚で「走んない?」って言われることが理解できなくて、「何言ってるんだろう」と、衝撃でした(笑)。話を聞いてみると、ライブをやったり、もっと言うと生きていくうえで「走る」ってすごく重要なことだと。体力も、心肺機能も、体幹も、精神も、何にしても「走る」ってすごくいいからと言われて、せっかく誘われたし僕もやってみることにしたのが始まりです。

──その後、どんなふうにランニングが習慣化していったのですか?
 
初日はTOSHI-LOWと一緒に走って、1kmもいかないくらいのところで、脚が痛いし息は苦しいし……。「俺、もう帰るわ」って、すぐに止めてしまって(笑)。でも、なんだかちょっともやもやするじゃないですか。このままじゃ嫌だな、と。それで次の日、一人でまた走ってみて、今度は3kmくらいで膝が痛くなって止めて。また次の日も走ってみたら、5km走れたんです。5kmというと、自分のなかでは高校生のときに学校であった競技会のイメージ。みんなより10周くらい遅れてゴールするほど苦手だったから、「すげえ、5km走れちゃった」と、ちょっと感動しました。TOSHI-LOWに電話で報告したら、まあ褒めてくれるわけですよ。「そんなに走れたの!? すごいじゃん!!」という感じで(笑)。そのまま「明日も走ろうよ」ってことで、また一緒に走ることに。「よし、また5km走ってやるぞ」と意気込んでいたら、あれよあれよという間に15km。そのときの15kmは、今でいうフルマラソンくらいの感覚だったし、大人になってから褒められるってほとんどなかったから、「やればできるもんなんだな」っていうのが気持ちよくて。そこからはどんどん走ることが日課になって、走らないと気持ち悪いなんて感じるほどになりました。乗せられて走り始めたやつが、今ではランニングステーションをやっているなんて。今考えたら人生変わったなと思います(笑)。

──日課になってからは、どんなふうに走っていますか?
 
走ることにハマってからは、走りながらいろんなことを考えるようになりました。走り始めた当時は仕事でうまくいかないこともあったりして、「これからどうすればうまくいくのか」「別にうまくいかなくてもいいじゃん」とか、とにかく思考が巡るようになって。普段生活していると、ゆっくり考えごとできる時間ってないじゃないですか。走っているときは誰にも話しかけられないし、ケータイも見ないから、集中できる。それが僕にとってすごく良い時間になっていって、こんなに素晴らしいことは、もっと人に勧めるべきだと思うほどになりました。最初に誘われたときは「なんだそれ」って感じたのに(笑)。同時に、走る「場所」があればいいのに、と思うようにもなっていったんです。

──その発想が、&MOSHの立ち上げにもつながっているのですね。
 
そうですね。だから、&MOSHの原点になる構想自体は、僕がランニングを始めて間もない10年近く前からあったんですよ。当時はランステも浸透していなかったから、「ランニングの基地になる場所」をつくりたいな、と。その後なかなか物件が見つからなかったりで時間が過ぎてしまったのですが、2015年に話がぐんと進むことがあって。鍼灸整骨院グループのムーヴアクションと一緒に、ランステと治療院と、キックボクシングのトレーニングジム、それからカフェがひとつになった施設ということで、2016年に&MOSHをオープンさせることができました。ちなみに、この物件も走っているときに偶然見つけたんです。

──オープンから2年以上経って、どんな手応えを感じていますか?
 
いろんなレベルのランナーに来てもらえるようになったし、うちをよく利用してくれるアーティストのファンも来てくれたりして、想像以上に広がっている感覚があります。たぶん、良い意味でベテランに染まりきっていない雰囲気だから、いろんな人が利用しやすいんじゃないかと思うんです。僕自身、ちょっとそこは意識していることでもあって。ストイックさが変な方向へ行ってしまうと、排他的でとっつきにくい場所にもなってしまうから、みんながランニングにハマるまでの「入り口」のような役割になれればと思っています。


■ストイックな日があっても、「入り口」は忘れない
 
──アイテムやシューズ選びでこだわっていることはありますか?
 
僕はウェアやアイテムも作っているから、もちろんこだわりは色々とあるんだけど、シューズは自分では絶対に作れないからこそ、お店に行くといろいろ見ています。機能面ももちろん大切だけど、僕はデザイン重視で選ぶことが多いです。見た目がかっこいいと感じるほうを選ぶ。これは、ランニングの「入り口」を忘れないために意識していることでもあります。それに、シューズの機能はどんどん進化しているから、いずれは足に合う、合わない、みたいなことはなくなっていく気がしています。だからこそ、これからはより一層デザインが重視されるようになるのではと思うんです。

──今回アシックスのGEL-DS TRAINER 24を履いてみて、履き心地はいかがでしたか?
 
ニット素材のシューズはこれまであまり履いたことがなかったのですが、いざ足を入れてみたら、めちゃくちゃフィットするなと。締め付けるわけでもなく、足の形に沿ってくれる感じが気持ちいいです。それに、軽いですね。スピードを出して走りたいときにもスムーズに加速できる。僕は、本当はゆっくりと1km6分台のペースで走りたいと思いつつ……ついつい前の日の自分と競争しちゃって、いつも1km5分くらいのペースで走ることが多いんです。シューズがこれだけ軽ければ、これまでほど競争意識を燃やさずとも、楽に速く走らせてくれるような感じがします。

──今後、田原さんご自身や&MOSHの展開を含め、どのようにランニングに携わっていきたいですか?
 
音楽とランニングを一緒に楽しめるようなイベントを、さらにいろいろとやっていきたいですね。2016年、&MOSHがオープンした年に開催した「RUN&MOSH TOUR」は、出演アーティストと一緒に走ってからライブハウスに行くというライブイベントでした。その後、フェスやライブの前にランイベントをいろいろ開催させてもらううちに、走ることと音楽、なかでもライブをリンクさせることは、かなり広がって、浸透してきたと感じています。だからこそ、改めて「RUN&MOSH TOUR」も開催したいし、これまでに3回開催してきた「フジロックラン」も、もっと進化させたい。いずれは「RUN&MOSH STAGE」として、ランニングにまつわるアーティストのライブを見られるような、フジロックのひとつのステージにできればうれしいです。それと、2019年は僕の故郷でもある広島に&MOSHがオープンする予定。地方の小さなランニングステーションとして、まだランニングの文化が浸透していないようなところの人たちを、新たに走らせることができたらと思っています。今後も、たくさんの人にとって、ランニングの「入り口」になれたらいいですね。



<プロフィール>
田原104洋
 
広島県出身。ストリートアパレルブランド「MOBSTYLES.」とボディケアから食に至るまで健康的なライフスタイルを支援する複合施設「&MOSH」プロデューサー。2019年3月には土橋(広島)にランニングステーション&カフェをオープン。京都大作戦やAIR JAM、FUJI ROCK FESTIVALなどのロックフェスでMCもこなす。

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