大学女子駅伝で圧倒的強さを誇る名城大学女子駅伝部のアスリートたちが、コロナ禍でどうモチベーションを保ち、取り組んできたか
大学駅伝といえば、「男子」というイメージを抱きがちですが、実は女子も熱いことをご存知でしょうか。
名城大学女子駅伝部。
二大駅伝と言われている全日本大学女子駅伝対校選手権大会(杜の都駅伝)においては3連覇を達成、全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)では2連覇を達成している、現在二冠の日本最強チームです。
しかし現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が世界中で懸念されるなか、日本国内でも感染の波が日々変化し、大会の中止、トレーニングの縮小など、今までのようにいかない状況が続いています。
今回、自粛期間解除後の名城大学女子駅伝部にお邪魔し、2年生の中心メンバーである小林成美さん、山本有真さん、荒井優奈さんにインタビューしてきました。
トップアスリートとしてどう成長してきたか、そしてコロナ禍の状況においてどうモチベーションを保っているか、どのようなトレーニングをしているか、コロナ後に向けた目標などを語っていただきます。
――まずはみなさんに、走り始めたきっかけからお伺いしたいと思います。
山本さん:私は小学生の頃からバスケットボールをやっていたんですが、小学校のマラソン大会では6年間、ずっと1位で。それが中学にも伝わったのか、入学すると陸上部の先生からスカウトされました。本当はバスケ部に入りたかったんですけどね(笑)
ところが、バスケ部のメンバーが全員で5人しかいなかったんです。ギリギリの人数で廃部寸前のような感じで、「これじゃあ思う存分バスケができないかもしれないなぁ」と思い、陸上部に入ったのが本格的に走り始めたきっかけです。
親にも「陸上は個人競技だから、自分で頑張ればメダルが取れるよ」と背中を押され、そこからは陸上一本で走っています。
小林さん:私の場合は、父が趣味でマラソンをやっていて、地元のマラソン大会にも出場していたんですね。それで、私が小学1年生のときに地元のランニングクラブに連れて行ってくれて、遊び感覚で始めたのがきっかけです。
一度だけ、親子揃ってマラソン大会に出場したこともあります。
荒井さん:私は兄が小学校の陸上クラブに入っていて、それについていくような形で小学1年から始めたのがきっかけです。「お兄ちゃんと一緒に走りたい」って感じですね。一緒に混じって走りたい!という。
ところが、兄はわりとすぐに辞めてしまったんです(笑)結果、私だけが続けて、今日まで来てしまいました。
――なぜ、走ることにのめり込んでいったのでしょうか?
小林さん:マラソン大会によく連れて行ってもらっていて、上位入賞するとメダルや景品がもらえるのがうれしくて、そのたびに「もっと頑張ろう」ってのめり込んでいきました。
あとは、ランニングクラブの友達も結構いたので、一緒に行くのが楽しかったですね。
荒井さん:私も小学生のときはいろんな大会に出させてもらっていて、賞や景品がもらえるのがうれしかったですね。
大会に出るたびに会える友達もいて、大会後の鬼ごっこが楽しみで頑張る、みたいな(笑)
中学・高校になると全国規模の大会に出場するようになり、遠征が楽しみで「また行きたい」という気持ちが「頑張る」気持ちとなり、続けてこられたかなと思っています。
山本さん:私は中学での陸上がすごく楽しくて、応援してくれる子もたくさんいてくれたのが、のめり込んでいった理由だと思っています。
ただ、高校のインターハイに出場したら引退しようと思っていたところ、大会直前に怪我をしてしまい、インターハイに出られなくなってしまったんです。そのときの悔しさが「もう一度全国大会に出たい!」という気持ちに変わり、大学は駅伝の強い名城大学に進学しました。
――続けていく中で怪我や挫折もあったのではないかと思います。そんなとき、どうやって気持ちを上げたりモチベーションを保ったりしましたか?
荒井さん:これまで続けられたのは、家族や親戚、友達の応援があったからだと思っています。
優勝したときはみんなから連絡が来て、「あぁ、続けていて良かったな」と。こういったひとつひとつが喜びとなり、頑張りに繋がっているんでしょうね。周りの応援が支えになっています。
小林さん:いちばん心が折れそうだったのは、疲労骨折を4回やってしまったときです。しかし、チームの仲間が励ましてくれて、そのたびに自分の「走りたい気持ち」を高めることができました。
あとは、「全国大会に出たい」という目標です。上を目指して目標を達成すればするほど、もっと上を目指したくなって、結果、今があるという感じですね。
山本さん:私は一度怪我をすると、1ヶ月以上走れなくなったりと長引くタイプで。しかも怪我の回数も多いんですね。
だから正直、何度も「走るのをやめたいな」と思ったりもしました。
しかし、いろいろなことがあるけれど、走ることは自分で決めた道なので、「頑張らないと」と気持ちを切り替えてモチベーションを保っています。
――コロナ禍の状況のなかで、焦りや先が見えない不安を抱いたことはありませんでしたか?
山本さん:新型コロナウイルスの感染拡大で大会が軒並み中止になり始めた3月あたりは、さすがにショックでした。
小林さん、荒井さん:本当にショックでしたね。
小林さん:ただ、私たちは駅伝を目標にやっているので、その目標だけはブレずにやろうと努力はしていたんですが、出雲駅伝が中止になるかもしれない、インカレも微妙らしい、なんて話が出るたびにやる気が落ち込んだりして。
しかし、幸い私たちは部員全員が寮生活なので、仲間とお互い支え合えたのが良かったです。
――自粛期間はどのようなトレーニングをされていましたか?
小林さん:トラック練習ができないということで、トラックの感覚やスピードが落ちてしまうことがすごく不安だったのですが、スピード練習は個人であればソーシャルディスタンスを取ってできるので、他の人に迷惑をかけないよう心がけながら練習していました。
荒井さん:私も同じです。一緒に集団走の練習ができないのが不安でしたが、川沿いで周りとの距離を取りながら、スピード練習だけは続けてなんとかキープしていました。
山本さん:私は怪我をしていたので、みんなのように走れなかったのが辛かったです。しかし、こんな状況だからこそできることがあるのではないかと思い、バイクや補強などでトレーニングを続けていました。
――練習が再開するということで、今回スポンサーであるナイキさんよりペガサス37とライバル フライ2を預かってきましたが、履いてみての感想は?
山本さん:ペガサスは早いジョグをしたいときに履くんですが、今モデルは配色も綺麗でかわいい!
小林さん:普段、ポイント練習とか強めのスピード系の練習と、アップ時のシューズは分けて使っていて、私はよくペガサスターボを履いているんですが、リズムが良くて早めのジョグの時はペガサス37を履きます!
荒井さん:あと、どちらもすごく軽い。ライバルは指まわりにゆとりがあって、履き心地も快適です!
――ちなみに、年末に行われた富士山女子駅伝のときは、どのシューズを履いて出場されましたか?
山本さん:もちろんナイキです。ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%を履いて出場しました。
荒井さん:私も、ネクスト%です。
小林さん:私は当時まだ厚底シューズに慣れていなくて、いちばん薄いルナスパイダーというモデルを履いたんですが、今はみんなと同じネクスト%です。
――一般のランナーが走り続けるための、コツやアドバイスをいただけますか。
小林さん:目的意識を持って、具体的な目標を設定するというのはどうでしょう?
荒井さん:誰かと走る約束をする。約束したら、行かざるを得ませんから。お互いにやる気を高め合って走れば、長続きすると思います。
山本さん:私の場合は、高校で部活を引退した後、走ることを続けるためにナイキのアプリを入れていました。走り終わったら、写真を撮って「今日は走ったよ!」みたいに投稿するんですね。それがモチベーションになって続けることができました。
――では最後に、これからの目標をお聞かせください。
小林さん:チームの目標は、二大駅伝でもある全日本大学女子駅伝と富士山女子駅伝で優勝して、連覇、伝統を守っていくこと。個人の目標は、ハーフマラソンでユニバーシアード大会の切符を手に入れることです。まだ海外の大会に行ったことがないので、ぜひ狙っていきたいですね。
荒井さん:わたしもチームの目標は、二大駅伝で優勝することです。個人としては、駅伝で優勝するために、走って貢献すること。ゆくゆくは長距離も目指したいと思っているので、小林さん同様、ハーフマラソンでユニバーシアードという経験もしてみたいですね。
山本さん:チームは二人と同じ、二大駅伝での優勝です。個人の目標は、まずは去年獲った駅伝の区間賞を、今年も獲ること。そして、1500-5000mくらいの短い距離が好きなので、そこで日本選手権に出場することを目標にしています。
取材後、みなさんがなぜ連覇にこだわるかというと、「私たちが4年生になるまで連覇を達成し続けることができたら、これまでの全日本連覇記録を更新し、私たちの代で新記録を樹立できるからなんです!」という大きな目標があることを知りました。
彼女たちが記録を更新できるのも、日々の努力はもちろんのこと、周りのあたたかい声援があってこそ。
ぜひ今回の記事を機会に、名城大学女子駅伝部のみなさんを応援してくださいね!
■取材協力
ナイキジャパン
https://www.nike.com/jp/
■取材場所
名城大学 第2グラウンド
https://www.meijo-u.ac.jp/
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