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running2021.08.06

『夏ランの適切な水分補給方法について考える』Think on the RUN ―走りながら考える― vol.10

皆さんもご存知のとおり身体の60%以上は水分で構成されています。一般的に体内の2%以上の水分が不足すると脱水症状が起こると言われており、高温多湿な日本の夏ランの条件は非常に厳しく、当然のことながら脱水症や熱中症になるリスクが高いといえます。しかも昨年来のコロナ禍も加わり、夏場でも多くのランナーがマスクなどを着用してランニングをされていますので細心の注意が必要です。

人間は運動すると体温が上昇し、その上昇を下げるために汗をかいて体温を調整します。したがって水分補給が必要になる訳ですが、それでは我々ランナーは「いつ、何を、どのようにして」水分補給をすればよいのか改めて考えてみたいと思います。



市民ランナーの日々のトレーニングの多くは「朝型」と「夜型」に分けられると思いますが、水分補給に関していえば、トレーニング時は勿論、日中と就寝前後が大事だと思います。寝起きで走ることになる「朝型」は、睡眠の質の良し悪しや寝汗などを考慮した水分補給を心がけましょう。一回あたりの身体が水分を吸収することができる目安は約250mlと言われており、それ以上の摂取とになると内臓に負担がかかる恐れがあるため、寝起きの摂取には十分な注意が必要です。

朝ランの前にはミネラルウォーターもしくは、スポーツドリンクなどのアイソトニック飲料の併用をお薦めします。アイソトニックとは「等張液」を意味し、安静時の体液と同じ濃度や浸透圧で作られており、水分、糖質、塩分がバランスよく吸収されると言われています。

トレーニングはなるべく日陰のコースを選んで走りましょう。理想はコースの70%程度が日陰ですと身体への負担も軽減できると思います。給水は20〜30分を目安にミネラルウォーターもしくはスポーツドリンクを薄めたものなどを摂取したいですね。私も経験済みですが、同じ条件で1時間程度走り、給水を一度もしない場合と、途中複数回給水した場合では、後者の方が回復はスムーズで、その後の日常生活に支障をきたすことが少ないと思います。トレーニング後は適度な休養と水分、そして栄養補給をします。私の場合、トレーニング直後は内蔵系の疲労があるため時間を置いて2回に分けて朝食を食べるようにしています。日中は1.5Lのミネラルウォーターを片手に、尿がクリアになるまで水分補給をするように心がけています。

「夜型」もトレーニング時の水分補給の考え方は同様ですが、多くのランナーの方の楽しみの一つであるトレーニング後のビールで乾杯には注意が必要です。アルコールは脱水を加速させ、更に破壊された筋肉の修復に使われるタンパク質がアルコールによって分解されてしまいますので、まずミネラルウォーターやスポーツドリンクなどでしっかりと水分補給をした後、適度な量に調整していただくことをお薦めします。

よく言われているように、喉が渇く前に水分補給することは、我々ランナーにとっては常識ですが、やはり「いつ、何を、どのようにして」が大事ですね。一方で注意したいのが水分補給を意識するあまり水分を過剰摂取することです。水分摂取量が排出量を上回ると、水中毒(低ナトリウム血症)になる恐れもあります。これは血液中のナトリウム濃度が低下し、頭痛や吐き気、嘔吐などの軽症状や痙攣や意識障害など重度な症状を引き起こす恐れもありますので、タイミングと量などの注意も必要ですね。

まだ冬場のレースの先行きが不透明な状況で難しい日々が続きますが、適切な水分補給行い、厳しい夏場のトレーニングを乗り切りましょう。

 



■Profile

横山 順一

年齢: 51歳

ランニング歴: 39年

國學院大學卒業(1992年)

#junike0708


略歴

中学より陸上競技を始める。800m, 1,500m, 4×400mRを専門とする一方、大学では箱根駅伝予選会にも4年連続出場。マラソンは社会人になった20歳代後半から現在に至る。

外資系スポーツメーカーなどに勤務後、現在はコンサルティング会社にてターンアラウンドスペシャリストとして経営コンサルティング、企業・ブランドのブランディングなどを従事。


自己ベスト

フルマラソン: 2時間26分55秒

ハーフマラソン: 1時間08分50秒


主な出場レース

東京マラソン、福岡国際マラソン、びわ湖毎日マラソン、別府大分毎日マラソン

ニューヨークシティマラソン、ゴールドコーストマラソン、ホノルルマラソン、バンクーバーマラソン

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