『ランニングソックスを考える』Think on the RUN ―走りながら考える― vol.12
ランニングのパフォーマンスとギアを語る上で最も大切なのがランニングシューズであることを疑う余地はありません。しかし、それをうまく引き立たせる役目がランニングソックスであることはあまり知られていなようような気がします。皆さんもこれまで、ソックスを替えただけで、シューズの足入れ感や走りのフィーリングが変わったという経験をお持ちだと思います。私自身、ランニングソックスはランニングシューズ同様に大切にしているギアで、過去に様々な商品を着用してきました。色々試してみた結果、やはりランニングシューズとソックスには相性があり、その時のコンディションやシューズのタイプ、デザイン、ランニング時のペース、距離、時間、季節などによって、ランニングソックスも履き替えるべき、という結論に行き着きました。今回はそんな縁の下の力持ち的存在でもあり、走りを変えるスパイス的な存在でもあるランニングソックスについて考えてみたいと思います。
トレーニング中には何も問題がなかったのに、レース中にマメができてしまった、という経験をお持ちの方は多数いらっしゃると思います。トップ選手とは違い、我々市民ランナーは、レースで使用するシューズもそれなりに履き慣らした状態でレースに臨むケースが多いです。それなのに何故マメが出来てしまったのか?と疑問に思われて当然だと思います。そのような経験をされた方はぜひ、レースまでのトレーニング内容と着用されたランニングシューズとソックスも合わせて振り返り、そして少し考えてみるといいかもしれません。
昨今のランニングソックスはシューズ同様、様々な素材と機能を謳ったものが発売されています。ご贔屓なブランドや商品をお持ちの方も多いと思います。その一方で、ランニングシューズとご自身のパフォーマンスなどを踏まえてソックスを選択している方はまだ少ないように感じます。例えば、クッションタイプの若干肉厚の生地を気に入られている方がレーシングシューズを購入の際、そのソックスを着用して購入されることは少なく、また、そのソックスがそのシューズのパフォーマンスを活かすソックスとは限らないようなケースもしばし見受けられます。その微妙且つ繊細なフィッティングの問題から、数時間に及ぶマラソンのようなレースになるとマメができてしまうケースも少なくありません。またソックスの素材とシューズの中敷きの素材や踵周りの形状、シューズの内側の素材などによってもマメができることもあります。いずれにせよ、ランニングシューズとソックスの相性を探るには、様々な組み合わせをトレーニングで試されることが大事だと思います。
ランニングシューズもソックスも各々にパフォーマンス向上を謳った機能が日進月歩で開発・販売されているものの、その組み合わせに関しては我々ランナーの選択に委ねられているのが実情だと思います。我々ランナーの購買パターンは、まずはランニングシューズを購入し、その後、いつものソックスで走ってみて相性を考える、というケースがほとんどだと思います。しかし、そのシューズのパフォーマンスを最大限に活かすためのソックスもシューズ購入時に合わせて検討していただきたいと思います。また、ランニングソックスには、シューズ同様、ある程度の耐久性がありますが、レース用とトレーニング用に分けて着用し、回数や時間、距離などで、定期的に交換することをお薦めします。快適で安全に走ることにも繋がりますので、ぜひ習慣にしていただきたいです。
料理同様、最後の決め手で隠し味的な存在のランニングソックス。ご自身の足とランニングシューズの間にある大切な存在です。そんな存在だからこそ、シューズ同様、あなたにとって納得できる一足をぜひ探していただきたいと思います。もしかしたらランニングシューズ以上に奥深いかもしれません。。。
■Profile
横山 順一
年齢: 51歳
ランニング歴: 39年
國學院大學卒業(1992年)
#junike0708
略歴
中学より陸上競技を始める。800m, 1,500m, 4×400mRを専門とする一方、大学では箱根駅伝予選会にも4年連続出場。マラソンは社会人になった20歳代後半から現在に至る。
外資系スポーツメーカーなどに勤務後、現在はコンサルティング会社にてターンアラウンドスペシャリストとして経営コンサルティング、企業・ブランドのブランディングなどを従事。
自己ベスト
フルマラソン: 2時間26分55秒
ハーフマラソン: 1時間08分50秒
主な出場レース
東京マラソン、福岡国際マラソン、びわ湖毎日マラソン、別府大分毎日マラソン
ニューヨークシティマラソン、ゴールドコーストマラソン、ホノルルマラソン、バンクーバーマラソン