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running2022.05.30

ナイキ エア ズーム ペガサス 39 | ランニングシューズにおける定番商品とは? Vol.1

「ナイキの歴史と、その定番シューズとは」

みなさんがよく知るナイキは、前身のブルーリボンスポーツから1972年にスタートした、まさに70年代のランニングムーブメント象徴のカンパニーです。当初はアシックス(オニツカタイガー)を西海岸で販売していたのが起源なのは“知るひとぞ知る“エピソードかもしれませんね。

そんなナイキ創業者のF・ナイトは、元オレゴン大学の中距離ランナーで、基本的にはアスリート目線の商品が目立つ、アスリートファーストなブランドです。2017年の伝説的なイベントとなったフルマラソン2時間ギリを目指した「ブレイキング2」に象徴されていると言えるでしょう。

※ご存知ない方はこちらも読んでみてくださいね

https://media.alpen-group.jp/media/detail/running_200218_01.html


そんなアスリートファーストなナイキの定番と言えば、コレ。コレで決まりです。

ナイキ エア ズーム ペガサスシリーズです。1983年にスタートの定番は今回のモデルで39代目、39歳。これは、他のすべてのブランドを含めても最長のシリーズとなっています。



「定番シューズの象徴的機能性は何か?」

そして、39代でずっと一貫していることは、ナイキの基幹機能である「エアズーム」を中心に添えたモデルということです。エアズームとはTPU素材のエアバックに圧縮した空気(窒素)を注入してクッションにするという発想のもの、1979年に発表された技術で、新しい素材、機能性が生まれる中、ナイキにとってそれは常にブレないコンセプトになっています。

ともすれば、なんでもこういった“守る“という行為は“マンネリズム“を生みやすいシチュエーションですが、しかし、ナイキというブランドは、こういった言わば古くて新しい技術を大切に、うまく料理して、常に新鮮さを生み出してくるから、こうやってシリーズが続いていくのです。

例えば、37代目ではじめてフルレングスの「リアクトミッドソール」の構成になったのですが、あくまでネーミングは、“エアズーム“ペガサスでした。そんなところに一貫したコンセプトを感じます。

そして、リアクト+エアズームのハイブリットという具合に、複数機能のコラボレーションが常に斬新さを生み出してきたのがペガサスです。

また、現在ではエアソールは、100%再生エネルギーで製造、リサイクル素材が50%以上使用されていて、ナイキが掲げるMOVE TO ZERO、サステナブルな取り組みの象徴的な素材にもなっています。


「定番シューズのガイド、ドロップは?」

また、ランナーへの助力、ガイドは、定番たる定番の象徴的な“10mmドロップ“の坂道スタイルを採用しています。これは70年当初からブランドを問わず採用されてきた定番ガイドスタイルで、“トラディショナル“と呼ばれています。

坂道スタイルとは、踵が厚くて、前足部が薄いスタックハイト(ソールの厚み)のミッドソール形状になっていて、つま先が上に跳ね上げたトウスプリングとともに、前方方向に強くランナーをガイドして、ランナーが“倒れそうになる“という自然エネルギー(重力)をうまく利用できるようにしたものです。

ランナーが倒れそうになる足で支える、そんな助力をまずシューズがくれて、自然に足がでて推進力をランナーとともに作り上げるようなシューズです。

この辺もナイキが意外にオーソドックスな、定番ガイドを一貫して採用していることに注目です。昨今、潮流の舟底スタイルがもてはやされる中、シンプルな“ランナーのカラダを前に揺らす“のがペガサス、それこそペガサスと言ってもいいぐらいですね。


「この定番モデルはどんな人に向けた商品なのか?」

そして、このモデルを、初心者用と案内されることも多いように思いますが、あくまでランナーを選ばないモデルなので、初心者も履けるシューズということです。

だって、この初心者用モデルを、あのフルマラソン“2時間切り“を達成したレジェンド、E・キプチョゲ選手も愛用しているわけです。また、日本でも大迫傑選手や相澤晃選手が愛用していることを公言していますよね。

つまり、初心者のランナーからエリートランナーまで、ランナーがゆっくり走っているようなシチュエーションで、シューズが重心移動を活発に、快適にしてくれるモデル、いわゆるデイリートレーナーモデルというわけです。



ニュートラルというのは、シューズを縦に真っ二つにしたときに左右対称のモデルです。デイリートレーナーという言葉英語で、どんなランナーも、ランナーなら、みんな必要なモデルという位置付けなんです。

プロのマラソン選手だって、毎日ハードなワークアウトだけをしているわけではないのですから。


「最新モデル39代目の特徴は?」

37代目からスタートしたリアクトミッドソール+前足部エアズームは、38代目のアッパーのマイナーチェンジを経て、今回アップデートしました。

39代目は、リアクト+前足部エアズームに加えて、後足部にもエアズームが、つまりダブルにパワーアップしました!加えて、踵付近のソール意匠(デザイン)の変化も伴って、クッション感と安定感のバランスがさらに増した良いモデルチェンジとなっています。

アッパー通気性もランナーの意見を取り入れた配置の、エンジニアードメッシュアッパーとなっていて、また、甲まわりレーシングシステム全体が変更されて、通気性、フィット感も大幅な変更がなされています。

わたしが実走した感想としては、“履いたら分かる“良さを感じます。あれこれ書いていますが、ほんとそう履いたら分かります(笑)。特に着地時の安定感・クッション感が大きく増して安心、これはエアズームと踵のデザイン変更が大きいですね。

この39代目も、わたしの“もし無人島に持って行くなら…“のモデル確定です。


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<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 

・富士登山競走5合目の部 準優勝  (2005)

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