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running2022.05.30

CLIFTON 8 | ランニングシューズにおける定番商品とは? Vol.2

「ホカの歴史、その定番シューズとは?」

ホカ オネオネ(ホカ)は2009年にフランスの2人のトレイルランナーがスタートさせたブランドで、ホカ オネオネとは、英語で“ It’s time to fly (さあ、飛ぼう)“という意、ニュージーランドの原住民マオリの言葉だそう。

そして、現在では、カルフォルニアのサンタバーバラにヘッドクオーターを置くデッカーズブランズが扱うグローバルに展開するブランドに成長、発展、最近では北米市場を圧巻していているブランドなんですよ。

日本でもランナーならもはや誰もが知っているような知名度のブランドになりつつあると言っていいでしょう。金 哲彦さん(実は箱根駅伝5区元祖中の元祖山の神!)や、山の神柏原 竜二さん、女子陸上界のレジェンド福士 加代子さんがアンバサダーとして顔になっていますよね。

「メタロッカーテクノロジー」「バケット型ミッドソール」「軽量マキシマムクッション」の3点セットのテクノロジーを備えたそのホカの最初のロードランニングモデルとして2014年に誕生したのが、クリフトンシリーズなんです。


まさに、“マシュマロクッション“と言えばコレ、ソフトクッションの代名詞的シューズですね。


「定番シューズの象徴的機能性は何か?」

この定番モデルの基幹的な機能性で、“厚底“と通称で呼ばれるこのミッドソールスタイルは、創業者の2人の “これまでになかったランニングシューズを作ろう“と発想から生み出されたもの。

もしも車の車輪のようにランナーをシューズが動かすことができたら、きっと楽に走ることができるのでは?と考えた2人は「メタロッカーテクノロジー」というガイドスタイルを確立するわけです。

この車輪の半円状のミッドソールスタイルは、結果的に厚底形状にしないと半円化しなかったということから、マキシマムソール形状が生まれ、“厚底“と呼ばれるシューズの代名詞となったわけです。

そして、軽量でマキシマムなソールクッションはソフトで快適な反面、不安定になりやすいです。柔らかさと硬さは、クッションと安定感を言い変えた言葉でもありますからね、その不安定感を解消するために「バケット型ミッドソール」が軽量マキシマルソールとセットで機能性を発揮します。まるでF1のシートのように足を入れるとカッチっとはまってブレを最小限に抑えているんですね。


「定番シューズのガイド、ドロップは?」

このクリフトンとともに定番化してきたこのガイドスタイル「メタロッカーテクノロジー」は、通称ゆりかご、舟底型ソールと呼ばれ、現在では多くのブランドが採用するような新定番ソールになったと言っていいでしょう。

ランナーが前に進むための一歩、バランスを崩すお手伝いを、ドロップをつけた傾斜型のソールではなくて、ほぼフラットな(立ったときはフラットになる)低ドロップの5mmドロップが、前後に揺れやすいロッカー式であることがポイント。前方方向にも自然にガイドをするまさに新定番スタイルとなっています。

ちなみに、学術論文などでロッカー型は着地時の足首の無駄な動作を減らすと指摘もあり、基本的には、各社のデイリートレーナーモデルが、トラディショナル型とロッカー型と2分するような状況になっています。

中には、両方のスタイルをラインナップに持つブランドも出現しはじめて、この現象も“クリフトンスタイル“が新定番である証でしょうね。


「この定番モデルはどんな人に向けた商品なのか?」

新定番のこの左右対称のニュートラルのデイリートレーナーモデルは、ガイドがポイントですから、比較的ゆっくりのペースをサポートするモデルというわけです。

走りはじめのランナーから、エリート市民ランナーまで、誰もが履いてベネフィットがあるシューズタイプになります。ちなみに、アメリカでは「Northern Arizona Elite (ノーザン アリゾナ エリート)」というホカがスポンサードしているプロチームもあり、彼らも愛用しているモデルなのは言うまでもありません。彼らも毎日ワークアウトしているわけではないですからね、彼らのトレーニングの多くがランニングです。


まあ、とにかく、このシューズと言えば、とにかくクッション感。マシュマロのようなフワフワなコンフォート感覚を提供するシューズです。このソフトランディングはクセになる快適さですから、1度も履いたことがない、興味があるけど試してない、という方は是非一度は足入れすることをオススメしますよ。


「最新モデル8代目の特徴」

クリフトンは本当に軽いです。マシュマロのようにソフトで、そして本当に軽い。

が故に耐久性という面では決して優等生であったとは言えなかったことは確かです。それもあって、この8代目は前モデルよりミッドソールの重量を軽量化し、アッパーのフィット感を上げつつ、全体重量はキープしている。アウトソールに耐摩耗性ラバーの場所を増やし耐久面も訴求したモデルになっています。

アッパーのフィット感はまさにバケット型ミッドソールをカッチっとフォローするような出来。ランナーの足が入るとフィットするというより、足のカタチそのものになるかのような一体感を感じられるのもクリフトンの特徴ですね。

とにかく、最初の1足としても最適なシューズと言っていいと思います。わたしは、もし無人島に行くとしたら、そこに持っていきたいシューズとして公言しているモデルですね。そもそも荷物が限られているので、数足に絞った例えですが、クリフトンの場合、軽いからその点でも負担が少ないですかね!

では、皆さんもタイムトゥフライ、クリフトンを履いて“さあ、飛びましょう!“
 


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<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 

・富士登山競走5合目の部 準優勝  (2005)

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