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running2022.11.14

「ランニングをデザインで遊ぶ」渋井勇一(MMAディレクター)× 牧野英明(アルペン ランニング ディヴィジョンアドバイザー)が提案する、これからの“ランナースタイル”。

「スポーツには人生を変える力があり、デザインには心を豊かにする力がある」

そう語るのは、ファッション業界で活躍しながら、市民ランナーとしてランニングを楽しむ渋井勇一さん(MOUNTAIN MARTIAL ARTSディレクター)。

今回は、アルペン ランニング ディヴィジョンアドバイザーを務める牧野英明さん(BEAMS所属)が聞き手となり、間もなく展開される『PLAY INDIES RUN BRAND』の展望を語り合いました。

お二人の対談からは、ランニングライフをより楽しく、様々な角度からアクティブに取り組める秘訣が詰まっていました。


◆MOUNTAIN MARTIAL ARTSがAlpen TOKYOとコラボした3つの理由

牧野:Alpen TOKYO でMOUNTAIN MARTIAL ARTS (以下MMA)を取り扱う際に、街の個人商店と同じような品揃えをやりたいという話があったんです。それで、実際にMMA側に打診したところ、実現しなかったようで。その背景を受けて、 「僕が間に入ります」という形でオファーさせていただき、実際に取り扱いになったのですが。

渋井さんの中で、実現するまでAlpen TOKYOをどう受け止めていたのですか。


渋井:MMAは、大型店とは基本的にお取引をしていないのです。僕のスタンスとして、オーナーと僕の繋がりがあって取り扱っていただいています。僕らの作っているものは、少量生産でディテールやデザインにこだわっているので、価格がどうしても高くなってしまう。普通に棚にならべているだけだと、ブランドのコンセプトや価格が高い理由をお客様に伝えにくい。

だから、オーナーやバイヤーが自らブランドを理解してくれて、「このブランド、このカテゴリー面白いね!」という熱意を持って販売していただかないと、お客様に理解していただきにくいという面があります。

その中で、今回のAlpen TOKYOでの取り組みを決めた理由が、3つあります。

1つが、Alpen TOKYO が“旗艦店”という点で、ランニングフロアにすごく力を入れているというのは、キーポイントでした。


もう1つはやっぱり牧野さんです。僕の中では、個人オーナーとの繋がりと変わらないというか。牧野さんとは何年もお付き合いがあって、このカテゴリーをすごく理解していただいている安心感があります。

最後の理由は、MMAのみだと大型店で埋もれてしまうと思っていたんですけれど、エルドレッソやフランクアンドモリス(以下F&M)ら、MMAと同じように“ランニングをテーマにしたインディペンデントブランド”を集積するのは大型店としては初めての試み。そうした挑戦する姿勢に可能性を感じました。

Alpenのような大きな会社に、僕らのブランドが「面白そうだね」ってアンテナに引っかかったのは、素直に嬉しいです。


牧野:今回、渋井さんからすべて別注仕様という、驚きの提案をもらいました。

今日、着ているのもそうですよね?こちらもマルチボーダーの配色を変えたんすよね。

渋井:そうですね、インラインとは別の配色にしました。実は背中のプリントも変えていて、通常はMOUNTAIN MARTIAL ARTSのロゴだけなのですが、別注ではAlpen Running Clubのメッセージが入っているんですね。

牧野:そこ気づいてなかったです(笑)。


牧野:これはインラインでは半袖で展開してますが、ノースリーブに変更しています。こちらのランパンはブランド初のウッドランドカモ。個人的には、別注でこれが一番特別感があるなと。


渋井:色出しもすごく綺麗にできました。このウッドランドカモは生地屋が作った柄ではなく、僕がオリジナルでデザインしていて、柄の中にMMAの文字が隠れています。Alpen TOKYO 別注のためにデザインした世界にひとつしかないカモフラージュです。

こういうスタンスが、僕らのブランドにおける物作りのこだわりです。これを着てフルマラソン、100マイル、トレイルを走ってくれるランナーもいます。機能性が高いのは当たり前で、それにプラスして、ユーザーが楽しむデザインを念頭に物作りしています。 

牧野:アドバイザーとして、こういうブランドがAlpen TOKYOという大型店に置いてあるっていうのが、こだわりでもあります。

こうやって想いを直に聞くと、更に商品を届けるためにもがんばろうと思わされますね。


◆多くのランナーが「ランニングをデザインで遊ぶ」という楽しみ方にまだ気づいていない。

牧野:今回、「INDIES RUN BRAND」と題して3ブランドをピックアップして、ランナーへのコーディネート提案をしていますね。MMAに加えて、エルドレッソとF&Mをミックスコーディネートで提案するコンテンツ企画をやろうと思ったきっかけはなんだったんですか?


渋井: MMAはブランドを立ち上げて10年目になりますが、知っていただいている方は本当に熱意を持って着てくれているんですね。トレイルランニングなど、小さなコミュニティの口コミ効果はとても高いのですが、 そのコミュニティと接点のない方たちは、「ランニングをデザインで遊ぶ」という楽しみ方にまだ気づいていないのではないかと感じていました。

そうした僕たちの手の届かないコミュニティやマーケットに発信ができるのが、Alpen TOKYOの規模感だと思ったんですね。

MMAとエルドレッソとF&Mなどのインディペンデントブランドを表現する言葉が長いなと感じていたところで、牧野さんが「インディーズって表現はダメですか?」との言葉で今回の企画の題名が整いました(笑)

牧野:そうでしたか(笑)。それは光栄です!

渋井:こういう『PLAY INDIES RUN BRAND』という楽しみ方があるということを、Alpen TOKYO から発信して欲しいという気持ちがあり、それを文で説明するよりも、やっぱり伝わりわかりやすいのはビジュアルです。

エルドレッソの特徴的なグラフィックの楽しさや、F&Mの洗練されたディテールは実際に着てみないと感じられない面もある。これまでは、自分のブランドのMMAでしかコーディネートを組んだことがなかったのですが、3つのブランドをミックスコーディネートして実際に着ている姿を見てもらうことで、『PLAY INDIES RUN BRAND』の楽しさがより伝わると思って提案しました。

牧野:元々、3つのブランドを取り扱う専門店はあったんですけど、ここまでしっかりビジュアル化して展開していけるのは大手ならではだとも感じてます。今回の企画の実現に向けて、各ブランドが1つ返事でイエスだった。ブランド同士仲がいいことも追い風になりましたね。

渋井:少し話はそれますが、 僕は市民ランナーとしてトレイルランニングを楽しんでいますが、トレイルランニングでは隣を走るランナーは競争相手ではなく、同じ旅をする仲間なんですね。同様にエルドレッソもF&Mも「INDIES RUN BRAND」のカテゴリーを共に切り開いて、もっと多くのランナーに楽しんでもらいたいと挑戦している仲間と思っています。

牧野:そう考えると、すごくフットワーク軽くやれましたね。タイミング良かったなって思います。実際に、ビジュアル化したコーディネートや撮影を見ていて、凄くリアルでしたよね。


◆ストリートでも、“ランナー”というスタイルを根付かせたい

渋井:打ち合わせをしている中で、牧野さんがおっしゃった話で、「リアルランナーは、こういうミックスコーディネートはもうやってるよね」って話がビビっ!て突き刺さりました。今回のディレクションは、それが肝になってるんです。いま、一部のランナーが楽しんでいるリアルを伝えたいと思いました。

僕はブランドのメッセージとして、「コーディネートの楽しさをランナーに伝えること」を大切軸にしています。普段お洒落をして食事に行くのと、お洒落をしてランニングすることって、なんら変わらないと思うんですよね。だから、ランニングでもコーディネートを意識した方がもっと楽しめるということを、多くのランナーに共感してもらいたい。


牧野:でも、本当そう!僕はランニングウェアで常に生活する感じになっていて(笑)。

やっぱり快適なものって、生きていく上で、そっちの方が絶対に良いじゃないですか。

だからといって、コンプレッションギアを毎日着てればいいわけではなく。自分らはファッションが専門なので、普段も着れて、そのまま走れたら良い。ランニングを生活のベースにしてるものにとっては、やりやすいですよ。

最近はグループランとかに行く時も着替えを持ってかないんですよ。軽く走るぐらいの時には、別に着替えなくていいやって。

渋井:それ分かります。僕も、牧野さんがおっしゃったことと同じで、普段着で走れたらそれでいいじゃんって。だから自分が作るものは、機能性を持ちながらも普段着として着られるデザインを意識しています。 でも、多くの方は真面目だからか、「ランニングの時はランニングの格好をしなきゃいけないね」みたいな風潮がありますよね。もっと自由に、自分の好きなものを組み合わせて、コーディネートすると、よりアクティビティが楽しめると思うし、僕自身はがそれを楽しみながら走っています。

牧野:例えば、スケーターがスケボーをする際にわざわざ着替えたり、靴を履き替えたりしないですよね。しかも彼らが身につけている物は特に専用のものでもなくて、耐久性があって安価なワークパンツだったりバッシュだったりを動きやすいサイズ感で身につけている。そういう理に適った服装がスタイルとしてカルチャーにまで発展してるってのはむしろ自然ですよね。僕らランナーも別に走る時に、わざわざ着替える必要はない、というか、皆さんのオンスタイルが許容する範囲で走れる普段着を見つけて欲しいと思いますし、そういうものがもっと世に増えて欲しいと思ってます。試合以外の時は、そのまま走り出しちゃえばいいし。それがランニングのカルチャーとしてスタイルが確立できる可能性を感じていて。

ランナーっていうカテゴリーの“ストリートスタイル”を、僕は立ち上げたいっていうか、根付かせたいんですよね。


渋井:めちゃくちゃ面白い話ですね。実は、僕もブランドを始める時に意識したのが サーファーとスケーターだったんです。サーファーとスケーターって、アクティビティが軸なのに、サーフスタイルやスケータースタイルが確立しているじゃないですか。なんでランナーのスタイルはないんだろう?と。ランニングの目線で、世の中のあらゆる洋服を見ていくと、走れる洋服はいっぱいあるし、ランナー独自のスタイルが生まれると思うんですよね。

牧野:コーディネートの面白さとか、世の中にある面白いものをいかに取り入れられるかっていう。常にアンテナを張り巡らせていくのは、とても大切ですよね。

渋井:そういう意味では、今回の撮影や企画も、牧野さんのアイデアに、ハッとさせられる場面が多々ありましたね。結果的に、すごく良いビジュアルができました。

牧野:僕らとしたら当たり前だなと思ってるものが意外と世の中の人たちに、すごく新鮮に見えたり、「それってありなんだ!」っていうことが意外と多いんだなという経験はよくあって。今回の企画で作ったビジュアルを見れば、そんな想いが伝わってくれるかなと思います。

渋井:本当にそう思います。Alpen TOKYOという大きな注目を集めるショップに「INDIES RUN BRAND」が置かれることで、多くのランナーたちにコーディネートする気持ちが生まれ、楽しむタッチポイントが増えるキッカケになればよいですよね。店頭のマネキンのコーディネートも工夫してあるし、店頭とWEBの両面でビジュアル提案できることは、とてもよい取り組み。

こうした発信がランナーが走る際の楽しみやモチベーションアップにつながって、みんなのライフスタイルが充実していったらうれしいですね。オリジナリティのある「INDIES RUN BRAND」のギアやウェアで、もっともっと「アクティビティのある生活の楽しさ」を感じていただきたいですね。


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