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running2023.04.28

On Cloudsurfer(クラウドサーファー)が変わった、大きく変わった

■On初のランニングシューズCloudsurferが大幅なモデルチェンジ

新しいモデルを次々に投入して、その存在感を増しているのが、スイスのブランドOn(オン)です。もうこのブランドのことはご存知の方が多いかもしれませんね。2009年設立の新興ブランドらしく、デザイン性、機能性のその斬新さがキラリと光る、今、最も勢いがあるランニングシューズブランドのひとつです。

そして、Onが今回またまた話題のモデルを発売しました。それがこのOn Cloudsurfer(オン クラウドサーファー)です。実はこのモデル、2010年に発売されたOn初のランニングシューズのこれで7代目、まさにこのブランドのアイデンティティーそのものと言っていいモデルなのです。

少しだけ変化して”変わらない部分”を守り続けることが多い定番モデルのそんな定義すら壊して、全く別のモデル?というぐらい変更されたのには驚きしかありません。まさに、ブランドのその勢いのまま、前進をやめないその象徴のようなモデルに仕上がっている感じですね。では、今回はCloudsurferをご紹介していきましょう。


■コンピューターの最適化技術で作られたモデル、Cloudsurfer

OnというとCloudTec(クラウドテック)というゴムホースから着想したアウトソールラバーにクッションが付いた、垂直方向と水平方向につぶれて爆発的な推進力を生み出す独特なクッションが特徴です。

それを今回、FEA(有限要素分析)デジタル解析ツールから研究データを分析・検証して、コンピューター最適化技術を活用、CloudTec Phase(クラウドテックフェイズ)を発表したわけです。

現在、アウトソールにクッションが付いた元祖CloudTecはCloudsurferを残すのみであったことを考えると大きな決断だと思えますよね。


このクラウドテックフェイズは、側面からみてミッドソールにあいた縦長のホールがそれで、まるでドミノ倒しのように倒れていくデザインになっています。ドミノならぬ、surfer(サーファー)だけに、まるで波に乗るようなスムーズな重心移動が特徴のソールになりました。

まさに最新技術を投入したOnの実験的、革新的機能性デザインと言えそうですが、それ自体は、ソフター、ライター、バウンシー(柔らくて、軽くて、バウンドがある)なミッドソールの素材HELION SUPERFOAM(ヘリオンスーパーフォーム)で作られていて、とにかく履き心地も新感覚のクッションになっています。


■Onの象徴的存在のスピードボードがない

今回のこのモデル、Onのすべてのシューズに搭載されているSPEED BOARD(スピードボード)がないことも特筆すべきポイントです。

SPEED BOARD(スピードボード)とは、アッパーとソールユニットの間の繋ぎ目、より具体的に言えば、インナーソールに真下にあたる部分に配置された樹脂状のプレートのことで、履き心地にも大きな影響を与えているものです。

実は、OnのランニングシューズのSPEED BOARD(スピードボード)は、その用途によって、硬度を調整しています。例えば、しっかりとしたデイリートレーナーモデルのCloudsurferなら、しなる適度の剛性にしてガイドを強めた作りにしてありますし、普段ばき兼Easyランで使えるCloud5のようなナチュラルシューズでは屈曲し、地面との接地感覚を高めると言った具合です。

それを今回排除するというまさにドラスティックな選択をしたわけで、これは型にハマらない新しいものを生み出す、発想の転換だったとも言えますよね。


■時代の要望に応えたサステナブルなテーマのアッパー

そして、このCloudsurferは、当然ながら時代の要望に応えたサステナブルなテーマが詰まったエンジニアードメッシュアッパーになっています。

繊維化されたものを着色するのではなく、織糸を着色しプロダクトを制作、水使用量を90%カットするソリューションダイを活用し、また、プラスティック製のオーバーレイを極力減らした、リサイクル素材を30%使用したアッパーになっています。

プロダクトのクオリティーを保ちつつも、環境負荷の少ないアッパーになっていると言えますね。デザイン性もOnらしい、Doランニングだけでなくて、普段にも履きたくなるようなものになっています。


■Onらしくない1足、むしろ、新しいOnを予感する1足

とにかく、いつものOnとは全く違うフィーリングのOn、それがニューCloudsurferですね。37mmのソールスタックハイト(厚み)があるようなクッションにも感じますが、そんなに厚いかな?とも感じられるような、何とも捉えどころのない不思議な、不思議なフィーリング。まさに新感覚です。

シューズの全体構造は舟底状のロッカー形状ですが、実際は10mmドロップがあり、前足部に接地感のあるような坂道ライドの感覚もあり、ほんとに不思議なモデルですね。

だからと言って、Cloud5のような感覚でもない。ましてやガンガン走れるようなMonster(モンスター)でも Stratus(ストラトス)でもない。それら弟分のGO(ゴー)でもRunner(ランナー)でもない。

Onという定義にも、枠にもハマらないモデルだけに、他のラインナップとも差別化された存在感があるシューズだと言っていいでしょうね。


難しいこと抜きのファンライド、このシューズの使い方はいろいろでいいと思います。まさに、サーファーというこの響きもこのシューズの雰囲気を形容するのにピッタリですしね。

デザイン性の良さから普段履き兼イージージョグ用にしたり、モンスターを持っている人のジョグ用のローテーション(履きわけ)のお供にしたり、この感覚はトレッドミルにもいいでしょうね。

可能性を秘めたこのコンピューターのオススメとも言える、Onらしくない1足、むしろ、新しいOnを予感する1足になっています。

Onがはじめてという人も、Onをいつも履いているという人も、また、Onを以前履いたけど…最近履いてないなあって方も、まさにOn初のランニングシューズのCloudsurferがリスタートしたわけですから、ここからまた新しいヒストリーが刻まれますね。

是非お店に行って履いてみてほしい。本当に変わった、新しい1足。おススメです。
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン) 

・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)

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