ナイキ ペガサス 41はシリーズ41年続くアップデイトにも風格あり
■ナイキ ペガサス シリーズがアップデイト
「練習の7~8割はジョグ、だから練習で一番履くことが多いペガサスの感覚にはこだわっています。」
これ、私のコメントではなくて、住友電工所属の5000m日本歴代2位の記録を持つ遠藤日向選手のコメントです。アスリートだからと言って、いつも速く走っているわけではないですからね、彼をはじめ、この日発表会に登壇してくれたアスリートも、それぞれのペガサス愛を語っていました。
例えば、ヴェイパーフライ、アルファフライなど速く走るスーパーシューズのことばかり気にしているランナーも、シューズは軽量な方がいいかなって思っているランナーも、まずトレーニングにはデイリートレーナーモデルが必要なことを知ってほしいですね。アスリートだって使っている訳ですからね。
そして、ナイキのデイリートレーナーモデルで定番がペガサスシリーズ、その41代目ナイキ ペガサス 41が6/5(水)から発売されます。今からワクワクしてきますね。
このナイキ ペガサスは、41年続く歴史があるシリーズですから、変化させてはならない部分と、変化していく部分が同居する宿命にある定番、それだけに
「足入れしただけでアップデイトされたことを感じました」
という大迫傑選手のコメントは、今回のいいアップデイトを一言で表現している感じですよね、そう、本当にいいアップデイトをしました。
では、早速、はじめて買う人も、継続して買っている人にも、このナイキペガサスシリーズはどんなシューズか、どんなランナーに合うのか、解説して行きましょう。
■ペガサスに初搭載、React Xフォーム
今回ペガサス40から41へのアップデイトの目玉が、リアクトミッドソールがリアクトXミッドソールに変わったことです。リアクトXはナイキ リアクト インフィニティ ラン 4に初搭載されたものですが、やはりそこはペガサス。ペガサス用にしっかりアレンジ、チューニングされた“らしさ”のあるソールに仕上がっています。
「足の感覚をダイレクトに感じることができる」とこの日の発表会にも登壇した鈴木亜由子選手がいうように、ペガサスの前後に搭載されるAir Zoomユニットがいい仕事をします。それがリアクトXとうまくブレンドして、ペガサスらしさを醸し出していますよね。
鈴木芽吹選手は合宿に2足ペガサスを持っていくほどで、距離走のあと履き替えないで1000mを2分45秒で走ることができたそう(!)です。それだけペガサスはDo It All な何でもできるデイリートレーナーモデルという証ですね。
安定感のナイキ リアクト インフィニティ ラン 4、接地感とクッションのペガサス、ここは同じリアクトX搭載モデルでも、ちゃんと棲み分けされています。
■ナイキ ペガサス 41は機能性アップとサステナブルなテーマを両立したモデル
ちなみに、リアクトXソールは、43%温暖効果ガス排出を抑える環境に優しい生成方法プロセスで作られています。射出成形と言って型に素材を流し込みミッドソールを作るという、どちらかというと古典的な技術です。
それで、こんな軽量で、前モデルと比較して13%エナジーリターンが上がるミッドソールフォームを作れるのは、もっと深掘りしたいところですが、そこはシークレット。とにかく環境負荷が少ない、同時にパフォーマンスが高い機能性のあるフォームを作り出すことができるそうです。
■ペガサスファンへの細部のこだわりあり
41年アップデイトを繰り返して、シリーズ34作、その他ペガサスターボ、ペガサストレイルに代表される派生商品、日本未展開商品・復刻商品など数々のシリーズ・ファミリーがあるペガサスは、私もそうですが、ずっとファンといううるさいランナーも少なくありません。彼らは、モデルチェンジのたびに、今回のようなアップデイトを期待する気持ちもある反面、毎回、ペガサスらしさが失われないか心配しています。
そんな、私が感じたファーストインプレッション「軽い、フィット感、ああペガサスだ」はまさにそんな感覚なのですが、実はコレ、巧妙に作れたもののようです。
10mm Dropのガイド感、前足部の接地感はもちろんですが、シリーズで使用されてきたMR10というラスト(木型)を今回も採用。履き口の素材感も同じものにこだわって、それらがいつものペガサスらしさを感じさせてくれた訳ですね
ただ、中足部のダイナミックフィットシステムのフィットバンドの素材と切れ込みを変化させて、より足型を選ばないフィット感を目指したり、ヒールカップの下型部分の面積を広げて踵の安定感を出したり、確かに前作、前前作より踵と甲の掴み感は増しましたね。
■ポートランド生まれ、ポートランド育ちのペガサスならでは、の機能性
ナイキ本社があるポートランドはHeart Of Track Town(ハートオブトラックタウン)と呼ばれて陸上競技の町、世界陸上2022も開催されたヘイワードフィールドはもちろん、かつて増田明美さんが日本記録を出したユージンマラソンもあり、そしてポートランドにはトレイルトラック(不整地)もあって、そんな環境化で生まれたペガサスはサーフェスも選ばないオールラウンド感があるのも当然ですよね。
それゆえ、ナイキワッフルソールに着想された定番アウトソールパターンはグリップがいいトレッドパターン。通常のロード用モデルは凹凸が少ないラグパターンが多いですが、このペガサスではちょっとトレイルシューズっぽいラグ状のパターンになっていて、ロードでも、トラックでも、そして、ちょっとした不整地でも、違和感なく走れる感じ、これもペガサスならでは、の特徴ですね。ペガサストレイルという派生シリーズが出現するのも自然な成り行きというわけです。
また、今回はソール接地面も広がったということですので、よりそこにも親和性が出ましたね。
■Everyone Shoes(エブリワンシューズ)であり続けるペガサス
1983年にペガサスが発売されたときには50ドル。私が大学生の時にはじめて購入した7代目(だったと思う)もそんなに高価ではなかったです。だけど、そこに必要な分だけバランス良く機能性が詰まっているのがペガサス、今も16,500円という中価格帯に君臨して、まさにEveryone Shoes(エブリワンシューズ)のままです。
ですから、ペガサスはペガサスです。ペガサスにないものをペガサスに求めるのはミスマッチ。使用や目的に合わせて、そこはラインナップがあって、安定感ならナイキ リアクト インフィニティ ラン 4だし、ファンなクッションならナイキ ズームX インヴィンシブル ラン フライニット 3だし、バランス型ならナイキ ボメロ 17だってあるわけですよ。
でも、ナイキランニングシューズならどれから履いたらいいのか、と言わればやっぱりペガサスを勧めるでしょうね。入門編としてバランス感のあるデイリートレーナーだからですね。
また、すでに継続的に走っていて、インターバルなどワークアウトをするランナーなら、「履き分け」として、アスリートたちのようにジョグには欠かせないアイテム、どんなタイムレベルの方であってもトレーニングのほとんどがジョグです。もしデイリートレーナーモデルを持っていないという方は、是非ナイキ ペガサス 41を揃えてほしいですね。
さらに、4時間30分切ってフルマラソンを完走したい、そんなランナーならレースデイシューズにだってなってくれます。ちょっと軽量でだけどサポート要素もしっかりあり、機能性バランス感があるナイキ ペガサス 41は秋からスタートするレースシーンでも活躍してくれそうです。
ちなみに、私はどんなときに使うかと言えば、速めのジョグやウォーミングアップで使うことが多いです。モーニングランなど5−6Kのショートランのときも気分で選ぶこともありますね。
発表会に登壇した100m10秒02の記録を持つ坂井隆一郎選手もペガサスを、もちろんトレーニングでも愛用していますが、「大会などの移動でも活躍する」というコメント、鈴木亜由子選手も「ペガサスがあると荷物が少なくなって助かる」と言っていました。
そう、ナイキ創業者のフィル・ナイト氏こそペガサスのいちばんのファン。彼は冠婚葬祭でも使うのでブラックペガサスを愛用しているとか。そんな普段履きとしても最高のシューズですよ。ウォーキングをするといった方の普段履き兼用としても活躍すること間違いありません。
まだ、履いたことがない、というランナーは、マストで一度足を入れてみてほしい、そんなデイリートレーナーモデル、オールラウンドモデルが、ナイキ ペガサス 41ですね。
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久( FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)
RECOMMENDED POSTS
この記事を見た方におすすめの記事