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running2025.04.07

アシックス EvoRide Speed 3(エボライド スピード 3)はライター、ファースターなモデルに変身!

■アシックス EvoRide Speed 3(エボライド スピード 3)発売

アシックスのEVORIDE SPEEDシリーズが、前作までのデイリートレーナー寄りのオールラウンダー、言うなれば“安心感のある”テンポアップシューズから、スーパーシューズのワークアウトパートナー、“軽量・接地感覚の高い”テンポアップシューズに生まれ変わりアシックス EvoRide Speed 3、以下:エボライド スピード 3)となって発売されました。

厚すぎず薄すぎずの中厚底ミッドソールで接地感覚がいいこのモデル、バージョン3は、発表イベントのときに早稲田大学競走部 駅伝監督の花田勝彦氏が語っていたように、まさにワークアウトで使用できるアシックスラインナップのテンポアップシューズとして“待ち望んでいたスタイル“と言っていいかもしれません。

メッシュが細かいアシックスラインナップにおいてもMAGIC SPEED 4(マジック スピード 4)やS4+ YOGIRI(エスフォープラス ヨギリ)のようなレースデイなどでのスピードを追求したカーボンプレートテンポアップシューズが目立ち、実は、カーボンプレートなしでスピードがある程度出せるワークアウトトレーニング、というニーズにハマるモデルがなかったというのが私の印象です。

もちろんLYTERACER 6(ライトレーサー 6)、HYPER SPEED 4(ハイパー スピード 4)など低価格の中高生向けの“部活生シューズ“はありましたが、それとは一線を引く、スーパーシューズとのと履きわけパートナーとしての機能性のある堂々たる1足、それこそ今回のエボライド スピード 3です。

そういう意味でも今回アシックスラインナップにとっても、なくてはならないモデルが登場しましたね。


■軽量でクッション性があがった

今回とにかく軽量化されました。27.0cmで約220gと前作より10g軽量になり、私のサイズ25.5cmでは197gと200g切った軽量感になっています。

基本的にカーボンプレートがセットになった「速く走るロジック」が追加されたモデルでは200gの重量を切るのは至難の技。そんな軽量で、テンポアップに必要な機能を厳選して搭載したちょうどいいバランス感のモデル、それがエボライド スピード 3です。

やはり、軽量感は、ミッドソール素材が「FF BLAST(エフエフブラスト)」から¥FF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)」になったことは大きいです。前作のNOVABLAST 4(ノヴァブラスト 4)と同じ素材名のポンポン系ミッドソールに変わり、クッション感は厚みが出て、良質の反発弾性を感じることができます。


ミッドソール踵内部には、いくつか六角形のデザインが施され、その六角形同士には溝があり、この空間部分「3Dスペース構造」は、軽量感への大きな貢献とテンポアップシーンで必要な適度なクッション性をサポートしています。


■自分の足を使って走っている感覚

「自分で走っている感覚が魅力」と箱根駅伝では3区を走った早稲田大学山口選手も発表会で語っていたように、5mm Dropのソールは0.5mmですが薄くなって、この中厚底のミッドソールは体感ではかなり接地感覚が上がりましたね。

レースシーンを含めて、トレーニングの量と質を上げるためにはMETASPEED PARISシリーズのような「スーパーシューズ」は欠かせない存在です。ソール素材の硬度が弾性を高めるために昨今かなりソフトな仕上がりになっていて、強いバウンド感と蹴り出し時に発揮されるカーボンプレートが生み出すストライドは、大きなアドバンテージです。しかし、一方で、それに伴う着地時に起こる、素材がソフトゆえの不安定感はまさに諸刃の刃です。また、蹴り出しが強くなる分、ふくらはぎなど筋的疲労感も増す側面は否めません。

だからと言って、機能性を落として接地感を高めた薄底をメインで使う方法では、トレーニング量とのバランス感を考えたときに、一昔前と同じように怪我と隣り合わせに戻ってしまいます(薄底のメリットは確実にありますが、より『足を鍛える要素』と言った方が良いでしょう)。

ですから、テクノロジーの進化とランナーの感覚の折り合いという意味でも、この中厚底テンポアップシューズこそ、その現状の解決策だと私も同意したいですね。しかも、このスタックハイト10年前ならジョグ用のデイリートレーナーの厚みですからね。

それでいて、スピードを出しているときの蹴り出しの感覚を意識しやすいガイドソール構造は、つま先跳ね上げ構造。この部分も前作と大きく変わり、走行効率性が上がりペースを上げられる感覚になりました。


■早稲田大学メソッドに欠かせないモデル

今回のエボライド スピード 3のアッパーは、通気性のいいエンジニアードメッシュ、シュータンも薄いミニマルなレーシング仕様、フィット感をフォローするように一体式のガゼットタン構造になっています。軽量感もありながらヒールカップはデイリートレーナーのような非常にしっかりとしたカウンターが入っていて、強弱がはっきりとしたこのモデルの特徴を際立たせたアッパーになっています。

そして、決して幅広という設定ではないのですが、花田監督が気に入っているという、スピードを出すのに動きの自由感が得られるスッキリ目なラストなのも特徴です。

結局、ワークアウトトレーニングの7~8割をカーボンなしで行い、残りをレースデイシューズで行う「早稲田大学メソッド」では、エボライド スピード 3は欠かせない存在です。

上述のようなスッキリとしたラストで軽量、接地感覚の高い仕様になっているこのモデルというピースが揃ってこそ、選手が無理なく早稲田大学メソッドで力をつける原動力になっていると言っても言い過ぎではないでしょう。

今年4位と好成績であった箱根駅伝は、故障者ゼロだったことが一因だと花田監督も挙げていました。これもこう言ったシューズ履き分け効果も間違いなくあったと感じます。

ちなみに選手は、3分ペースのワークアウトまではエボライド スピードで行って、ワークアウトによっては後半でシューズを変えて、ペース設定も変えて行っているそうです。市民ランナーでも参考になるメソッドですね。


■どんなランナーに合うか

このエボライド スピード 3に限らず、アシックスのシューズの価格は他社比較でとてもリーズナブルな設定。これはこのモデルでも見られる、自動車の製造と同様に他のモデルと素材やパーツを共有することでコストを抑えていることも一因だと思われます。


※右がMAGIC SPEED 4、金型まで共有とはいかないまでもデザインコストは抑えた作り


このモデルでも、NOVABLAST 4で採用して評判が良かった素材とMAGIC SPEED 4のアウトソールデザインを共有するような“アシックスマジック“を使って、販売価格は15,400円とリーズナブルなプライスを実現しています。

早稲田大学の学生のようにスーパーシューズの代わりに履くワークアウトシューズとしての使用がピッタリとハマるランナーも、スーパーシューズとセットで持つことを考えると、このエボライド スピード 3の価格は嬉しいですよね。

また、またFF BLAST PLUSという決してレーシングモデル仕様の素材でないこともポイント。ヒールカウンターがしっかり入った踵部はまるでデイリートレーナー、軽量にする引き算に対して、バランス感あり、それもエボライド スピード 3の特徴です。

ですから、デイリートレーナーモデルしか持っていないというランナーのはじめてのテンポアップシューズとか、ショートディスタンスのレースデイシューズにもピッタリなわけですね。

私はあまりタイムを意識しすぎないでスピード感を養うファルトレクトレーニングで使ったり、早稲田メソッドのようにワークアウトで履き分けて使うというようなケースが多いですね。


ちなみに、これら爽やかなデザインも今回の特徴ですが、もっと派手目のデザインが好みという方は、細部が若干違うだけで全体構造は同様のトライアスロンユーザー向けのシリーズNOOSA TRI 16(ヌーサ トライ 16)がオススメです。

1足あると便利、1足あることでモチベーションが上がる、そんなエボライド スピード 3を是非店頭に試しに行ってほしいですね。
 


<著者プロフィール>

ランニングシューズフィッティングアドバイザー

藤原岳久(FS☆RUNNING(旧 藤原商会)代表)


日本フットウエア技術協会理事

JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師

足と靴の健康協議会シューフィッター保持


・ハーフ1時間9分52秒(1993)

・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)

・富士登山競走5合目の部 準優勝(2005)

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