サブ4を大会で切る為にエントリーランナーが3カ月前に取り組むべき3つの切り口(トレーニング編)
エントリーランナーが、サブ4切りに向けて、大会3ヶ月前に取り組むべき、3つの切り口(メンタル・コンディション・トレーニング)について、日本で最も多くの足を速くしたプロ走コーチの荒川さん(株式会社スポーツクラウド代表取締役社長)と元プロサッカー選手で完全プライベートジム【ボディゴールド】を経営する金宏明さんが対談形式で、その極意をお伝えいたします。第3回目は、トレーニングについてお届けします。
[大会3カ月前に取り組むべき3つの切り口メンタル編は
こちら
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[大会3カ月前に取り組むべき3つの切り口コンディション編は
こちら
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大会3カ月前に取り組むべきトレーニング
金:さて、3ヶ月前に取り組むべきメンタルやコンディションですが、とても素晴らしいしい取り組みができそうです。そして、ランナーがメインとして考えているのは、トレーニングです。3ヶ月前に取り組むべきトレーニングはなんだと思いますか?
荒川:一番最初に、股関節周りのトレーニングをやるようにしています。短距離、長距離走でも一緒なんですけど、足の力だけで走ろうとする事が多いんです。速くなればなるほど、足で走ろうって感覚よりは、体の中心(体幹部)から足を動かすのが効果的です。その方が速く走れるし、楽に走れる。出来るだけ早い段階から足で無理にごり押しに走るクセをつけさせないために、一番最初に股関節から動かすトレーニングを入れます。
-股関節周りのトレーニング-
(1)座る。
(2)骨盤が後ろに下がらないように、骨盤を立てた状態でそこから足を持ち上げる。
(3)力まずに、スムースにステップを踏む。
(4)初心者は20回×3セット。慣れてきたら、回数50回×3をリズム良く。
※足を上げる時に背中をそらせるのではなく、骨盤を立てた状態で股関節から足を上げる感覚を覚えること。
(動画提供 キングギア)
金:股関節や骨盤を動かす動作は、皆さんの中で、難しいと言われる方が多いようですので、是非試してみて自分のモノにしてもらいたいトレーニングですね。
荒川:はい、是非試してみてください。フォームも1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目とグレードアップさせていく。最初から完全なフォームを作ってしまうと、それに対応できるだけの体力だったり、筋肉だったりが出来てない。形だけを真似してしまうと、すごくキレイなフォームなのに遅い人ってそういう事なんです。
一番ベストな走りをする為に必要な筋肉や体力を同時に上げていって、フォームも良くしていくっていうのを交互にしていくという事ですね。
金:フォームも能力と共にアップデートしていく。それこそが自然に思えますね。
金:次に取り組むべきトレーニングは何でしょうか?
荒川:腕振りトレーニングです。こちらもかなり重要になってきます。
金:腕振り!大事ですね~
荒川:まず、なぜ腕振りをするのか?それは前に前に進むために、足と腕がバランスを取るために腕振りをするからです。人間は足を後ろから前にふり出す動きの時に、普通に前に立つと体って自然と回転しますよね。
(動画提供 キングギア)
金:例えばどんな方が腕振りの動作の中で多く見られますか?
荒川:例えば特に女性の方で腕が細い方です。足がしっかり前へ出しても腕の筋力が足りないせいで負けちゃうんです。そうすると腕に合わせて足をちょこっと動かすしかなくなってしまう。そういう方は足の後ろから前へ出す力に負けないだけの腕の力、腕の重さをつけるためのトレーニングを先にやると良いです。そもそもそのトレーニングが、自分の足と腕の使い方に合ってるかをチェックする必要があります。
-チェック方法-
(1)足踏み(同じ幅の感覚を覚える)
(2)ペットボトルを持った状態で走る
※ペットボトルを持って走りやすくなった方は、足の力より腕の力がない方で、
腕の力ができたことで走りやすくなった方。
金:そういう方は腕をもう少しトレーニングした方が良いということになりますよね。上半身と下半身のバランスを知るための素晴らしいチェック方法。皆さん、気軽にチェックできそうですね。では、上半身が弱い方のトレーニングは何がおすすめだと思いますか?
荒川:私なんかは、腕の力がない方はベンチプレスをおすすめしたりもします。 でも周りに機械がなかったりしますので・・・。
金:そうですよね。一般のジムに行っても、機械のやり方が分からなかったり、順番待ちがあったり、人の目が気になったりして…恥ずかしかったりして勇気がいりますね。でも、機械がなければ、自重を使って、ベンチプレスの代わりに、ベーシックな腕立て伏せもある程度、腕の力をつけられますよね。
荒川:特に女性は腕立て伏せができない方も多いので、そういう方は最初はヒザをつけてやってみると良いです。腕の幅を変えるだけでも、バリエーションも増えてきますし、鍛えられる個所も変わってきますからね。
金:ベーシックな腕立て伏せ以外の上半身トレーニングで、女性でも簡単にできるものをもう一つあげるとしたら、どのトレーニングが浮かびますか?
荒川:プランクからの腕立て姿勢、そしてそこからまたプランクに戻るの繰り返しをするトレーニングです。これはどうでしょうか?
金:おお~いいですね~。ファンクショナルTRですね。それをちょっと皆さんへ説明をお願いします。
荒川:はい。では。(笑)
-通常-
-初心者-
(1)プランク→腕立て姿勢→プランク→腕立て姿勢
(2)これを初心者 10週×3セット(ヒザあり)
(3)慣れたらヒザなし
(4)慣れたら20週×3セット
※肩周りが少し強くなった状態で走ると楽に感じると思います。
金:いいですね~。私、実はこのトレーニング好きなんです。(笑)効果大ですからね~(笑)今日は、素晴らしいお話をありがとうございます。
荒川:ありがとうございます。
さて、今年こそは!とサブ4切りを心に決めた、熱いハートをお持ちのランナーの皆さん。今回は、大会3カ月前に取り組むべき、3つの切り口をご紹介致しました。ご参考に、これらのトレーニングやコンディショニング、そしてメンタル面を是非取り入れてみてください。そして皆さん、一人ひとりの今年こそは!のミッションをクリアしてみてはいかがでしょうか。
※次回は、
大会2カ月前に取り組むべき3つの切り口(メンタル編)
をお届けします。
【取材協力】
荒川優 プロ走コーチ、株式会社スポーツクラウド代表取締役社長
競技実績:100m、10秒56、ニュージーランド オタゴオープン 銀メダル
経歴:筑波大学(体育専門学群)→一橋大学大学院(経営学修士(MBA)コース)→プロコーチ兼社長就任 出身地:福井県坂井市 主な出演作品:NHKテレビスポーツ教室 ほか 福井県出身、筑波大学では100m選手として活躍し、ニュージーランド大会銀メダルなどの実績をあげる。その後は一橋大学大学院で経営を学び、日本では数少ないスポーツ選手のMBAホルダーとなる。スポーツ 経営によって、スポーツクラウドの社長となりFacebookのファンは42000人超。
現在はプロ走コーチとして、100mで10秒台選手や400mで50秒切りの選手を大量に輩出。国内外の科学的な知見や経験をもとに生み出されるオリジナルの”速くなる練習法”が話題となり、全国から生徒が指導を求めて殺到している。指導した生徒数はなんと30000人を超え、日本で最も多くの足を速くしたコーチとしても有名。オリンピック選手をはじめとしたトップ選手や、Jリーグ・プロ野球選手・ラグビー日本代表など競技を越えて数多くのアスリートを指導している。
NHKやラジオなどのメディア出演も多数。2017年からは全国の小学校を回る『スクールキャラバン』の走指導代表コーチにも任命。その他にもイベントや講演会など全国で幅広く活動している。代表的なイベントは「1時間で50mを1秒速くする特別レッスン」。主なDVDに「速く走るための6つの法則」ほか。
金 宏明(キム ガンミョン)GWANG MYONG KIM
Body Gold代表取締役社長
元プロサッカー選手。元フットサル韓国代表選手。1984年東京都生まれ。流通経済大学経済学部経営学科卒。サッカー選手時代は日本、韓国、タイでプレー。引退後パーソナルトレーニングジムを設立。2017年に渡米し、米国でプロ選手復帰を経て欧州、中東、東南アジアの11カ国18地域での世界一周の挑戦を終えた。趣味は銭湯と神社巡り。アジアの良さを世界に伝え、日本と各国の橋渡し的存在になることが目標。
完全プライベートジム【ボディゴールド】
http://www.bodygold.jp/company.html
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