アルペンアウトドアーズ(Alpen Outdoors)大石店長に聞く、キャンプのイロハ 第3回「キャンプのマストアイテム!タープを知ろう編」
[キャンプのイロハ 第2回は
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ここ数年グンと伸びてきたアウトドア人気。「最近始めました」「これから始めたいんだけれど、実際のところどうなの?」なんて関心を持っている人も多いのではないでしょうか?
アウトドアの中でも特に注目度の高い「キャンプ」。
第3回は「キャンプのマストアイテム!タープを知ろう編」ということで、タープの種類からトレンド、選び方に至るまでのポイントを、アルペンアウトドアーズの大石店長にお伺いしました。
――タープには、どんな種類がありますか?
タープというのは、テントと同様、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、シェルターと言われているもの。全面がメッシュにできて自立するタープです。テントと同じようにフレームが入っていて、本体がそのまま立つタイプになります。メッシュを閉じればひとつのお部屋のようになるので、プライベート空間をしっかり取れるのが特徴です。
もうひとつが、幕をポールとロープで張るタイプ。ロープがしっかり張れないと、タープは立てられません。もちろん、テントとは分離しています。
以前は、シェルターのほうが流行っていました。ファスナーで閉じてしまえば虫が入りにくくなるというメリットもあるからです。しかし、今は「自然をより感じたい」という志向の方が増えてきたので、ポールを立てて使用するタープの需要がぐんぐん上がってきていますね。
とはいえ、シェルターの需要がないかというと、そうではありません。単体で選ぶことは以前より少なくなっていますが、代わりに「2ルームタイプ」という、リビング(シェルター)と寝室(テント)が一緒になったタイプを選ばれるお客様が増えています。前回の「テントの種類」でもお話ししたとおりですね。
ポールを使うタープ(分離型)は、より自然を感じられるメリットがありますが、荒天の場合はタープ内まで雨風が吹き込んで、大切なアイテムを濡らしてしまうというデメリットも。また、寒い時期のキャンプにおいては、中の暖房等を考えると、シェルターや2ルームタイプが強いですね。
――2ルームだと、見た目の統一感もありますね。
そうですね。見た目の統一感はもちろんのこと、2ルームタイプはひとつ立ててしまえばOK、というメリットもあります。しかし、ポールを使うタープは、タープとテントをそれぞれ立てなければなりません。また、テントとタープの見た目のバランスや設営技術もある程度必要です。
となると2ルームタイプはメリットばかりに見えますが、広いスペースが必要となるのでキャンプサイトによっては区画内に収まらないというデメリットがあり、気をつけなければなりません。
「レイアウトのしやすさ」という点から見れば、分離型の方がメリットは多いですね。
それぞれのタイプにメリットデメリットがありますが、ファミリーの方は2ルームタイプを使われる方が多く、ソロを含め少人数でキャンプをされる人は、分離型タープの人気が上がっている、といったところでしょうか。
――タープのカタチは、どんなものが人気ですか?
ポールを使うタープだと、ヘキサ型が人気です。ヘキサというのは、ヘキサゴン(六角形)の略。張ったときのシルエットがとても美しく、よく売れています。
2ルームタイプですと、内部に細かな工夫がされているものが人気です。例えばビニール窓が付いていたり、メッシュシートをロールアップしたときの留め具が使いやすかったり、小物入れが随所に付いていたり。各メーカーさんによって異なる工夫がされていますので、購入前に実際に見て確かめておくことをオススメします。
――素材はどんなものがありますか?
基本的にはテントの素材と同じようにお考えいただければ大丈夫なので、前回の続きをお話ししましょう。基本的にはポリエステル素材がメインというところまでお話ししましたが、今回は、人気急上昇中のポリコットン(=T/C:テトロンコットン)素材についてです。
これは、ポリエステル生地に綿を織り込んでいる素材で、いちばんの利点は「焼けにくい」という点です。ポリエステル100%では、火の粉が上がるとすぐに穴が開いてしまいます。しかし、ポリコットンであれば綿が含まれているので、焼けにくい。焚き火がしたいとか、将来薪ストーブを使ってみたいというキャンパーさんが増えていることを考えると、ポリコットン素材が売れている、のいうのは自然な流れかもしれません。
ただし、ポリコットン素材に撥水性はありません。水が浸みて生地が膨張し水が漏れにくくなるという構造なので、撥水性は普通のポリエステル素材の1/4程度しかなく、基本的に濡れるし浸みます。さらに、濡れて浸みるということは、そのまま放っておくとカビが生える、ということです。
つまり、自然感・ナチュラル感があってオシャレだし、火にも強いけれど、雨や夜露も全部影響するのでメンテナンスが必須になる、ということを理解した上で買わなければなりません。そこまでしてでも使いたいか、いや、もう少し手入れが簡単なほうがいいのか、というのが、選択の分かれ目になってくるでしょう。
大切なのは「どういうキャンプがしたいのか」ということです。夏だけのキャンプなのか、お花見時期の3月くらいから紅葉の11月くらいまでやりたいのか。寒い時期なら暖房をどう考えるのか、電源付きオートサイトで電気毛布を持ってするのか、灯油ストーブなのか、はたまた薪ストーブなのか。やってみたいキャンプスタイルによって選ぶ素材が変わり、そこが決まるとおのずと選ぶテントやタープも決まってくるのです。
――最近は、ソロで野営をする、という人も見かけるようになってきましたが。
野営スタイルを好まれる人は、実際に増えています。
ソロ、というカテゴリで見ると、「ワイルド系」と「女性のソロキャンパー」の二極化のようなカタチで伸びています。女性のソロキャンパーさんは可愛いらしいものを選び、ワイルドさを求めるソロキャンパーさんは黒やモノトーンを選ぶ傾向ですね。
また、グループで行く場合でも、最近はテントを共有せず、それぞれがソロのセットを持参し、テント村を作って楽しむスタイルが増えています。例えば焚き火をするときも、椅子を各自持ってきて焚き火を囲んで話すけれど、休むのは自分のテントにそれぞれ戻る、という。
ネットやSNS等を通してグループができ、キャンプ場でコミュニティを作って遊んだのをきっかけに、さらに繋がっていく…というスタイルは、ここ数年流行り始めているソロキャンプですね。自分と同じような趣味・思考の人が集まってくるので、普段の友達とはまた違った楽しさを味わえるのだろうと思います。
第4回 につづく
■プロフィール
アルペンアウトドアーズ春日井店 店長
大石 真史
学生時代は自転車で野宿をしながら旅をしたり、スキューバやパラグライダーのライセンス取得などアウトドア好きが高じて株式会社アルペンに入社。全国屈指のキャンプ専門店の店長をつとめる傍ら、自らも年間40〜50日キャンプを楽しみ、そこで得た経験や情報をお客様に提供している。
■取材場所
160ブランド5万点以上、日本最大級の品揃えである体験型アウトドアショップ。メジャーブランドはもちろん、ガレージブランドの商品が豊富なのも特徴のひとつ。休日イベントだけでなく、平日にご来店される小さなお子様連れのお客様向けのワークショップやマルシェ等も企画中。