アディダスのサッカースパイクの歴史とは? 種類ごとの特徴も詳しく解説
アディダス(adidas)は長い歴史を誇る世界的なスポーツメーカーです。スポーツ用品を幅広く製造していますが、なかでもサッカースパイクは有名で、多くのサッカー選手に愛用されています。そんなアディダスのサッカースパイクには、さまざまな種類があることをご存知でしょうか。
ここでは、アディダス製サッカースパイクの歴史と種類ごとの特徴について詳しくご紹介します。
【目次】
■アディダスとは
アディダスはスポーツウェアやシューズ、ファッションアイテムなどの製造・販売を手掛ける、ドイツのスポーツメーカーです。
アディダスの歴史は1924年、ドイツ人のアドルフ・ダスラーが兄のルドルフと「ダスラー兄弟商会」を設立したことから始まります。
ダスラー兄弟商会のシューズを使用したアスリートがさまざまな大会で好成績を残し、ブランドは評価を高めていきますが、1948年に兄弟の意見の食い違いがもとで分裂。アドルフは、アドルフの愛称である「アディ」と、ファミリーネームの「ダスラー」組み合わせ、「アディダス」ブランドを設立します。
一方で、兄のルドルフも「ルーダ」というブランドを設立し、翌年には社名を「プーマ」に変更しました。
独立後のアディダスはサッカーをはじめ、テニスやバスケットボールなど、さまざまなスポーツで名作シューズを生み出しています。「すべてのアスリートたちの最高のパフォーマンスのために」という想いから設計や開発を続け、世界的な大きなスポーツイベントでも着用されている、世界的なスポーツメーカーのひとつです。
■アディダス製サッカースパイクの歴史
アディダス製サッカースパイクは、1950年に行われたスイスW杯の決勝戦がきっかけで、世界的に評価されるようになります。雨が降り、グラウンドがぬかるむなかで行われたこの試合で、アディダス製の取替え式のスパイクを履いた西ドイツ代表が、圧倒的有利とされたハンガリー代表を破って優勝したのです。
その後、アディダスはシェアを拡大。1966年のイングランドW杯では約75%もの選手が、1970年のメキシコW杯でも約80%の選手がアディダス製のスパイクを着用するなど、サッカースパイクのトップブランドに躍り出ます。
しかし、1990年のイタリアW杯では、大会総ゴール数がわずか115と、大会史上最低となるゴール数を記録。大会後、FIFA(国際サッカー連盟)の「もっとゴールの生まれるスパイクを」という要請に応じてアディダスが製作したのが、初代「プレデター(PREDATOR)」です。1998年のフランスW杯では、プレデターを着用した20人の選手が合計33ゴールを決めています。
その後もプレデターは進化を続け、2000年の欧州選手権では約20%の選手が着用するなど、現在でもサッカースパイクを代表するモデルです。
■アディダス製サッカースパイクの種類
アディダス製サッカースパイクには、プレデター以外にもさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。自身のプレースタイルやポジションに合ったスパイクを選ぶためには、シューズごとの違いを押さえることが大切です。
ここでは、アディダスのサッカースパイクの種類ごとの特徴をご紹介します。
・コパ
「コパ(Copa)」は、独自の加工を施したプレミアムカンガルーレザーとプライムニットを継ぎ目のない状態で融合させた「フュージョンスキン」を採用し、柔らかい履き心地と優れたフィット感を実現。
2層のアウトソールプレートとスタッド構造によるスプリントフレームソールで、軽量性と動きやすさも向上しています。
フィット感や軽量性、ボールタッチが魅力のスパイクなので、ボールタッチの精度を高めたい選手におすすめです。
【コパ着用選手】
・パウロ・ディバラ(アルゼンチン)
・ダビド・デ・ヘア(スペイン)
・喜田拓也(日本)など
・プレデター
1994年に初代タイプが発売されて以来、「プレデター」はアディダスのサッカースパイクを代表するモデルです。歴代の世界的なプレーヤーも着用していたことで知られています。
広いボールタッチエリアを確保したアッパー構造で、精度の高いボールコントロールをサポート。高めに設計されたハイカット形状の履き口で足首のホールド感を高めているだけでなく、優れた柔軟性によるフィット感も特徴です。
また、ジュニア向けのタイプにはヒールクッションスタッドを搭載し、かかとへの負担を軽減しています。
ポジションを問わず、ボールをコントロールしたい選手におすすめのモデルです。
【プレデター着用選手】
・ポール・ポグバ(フランス)
・原口元気(日本) など
・エックス
「エックス(X)」はアウトソールとヒールカウンターを一体型にした構造や、刃形を組み合わせた鋭角スピードスタッドなど、薄さと軽量化を追求したモデルのスパイクです。フィット感が強く足をしっかりとホールドするので、切り返しなどのスピードが求められるプレーでの安定感を保持しています。リブ加工を施した軽量アッパーを搭載しており、ボールタッチの感覚に優れているのも特徴です。
ドリブラーやサイドバックなど、縦へのスピードが求められるポジションの選手におすすめです。
【エックス着用選手】
・モハメド・サラー(エジプト)
・香川真司(日本)
・久保建英(日本) など
・ネメシス
足を包み込むバンテージ構造で、柔軟性や軽量性、安定性を兼ね備えたスパイクが「ネメシス(NEMEZIZ)」です。名前には「脅威を与える」といった意味が込められていて、設計の際は世界的なプレーヤーであるリオネル・メッシのプレーからもインスパイアされています。
テーピングのように足全体に密着するためフィット感が良く、多方向へのグリップ力も兼ね備えているので、激しい動きの中でも安定感を発揮できます。
素早いターンなどにも対応できるため、鋭いドリブルが得意なミッドフィールダーなどにおすすめです。
【ネメシス着用選手】
・リオネル・メッシ(アルゼンチン)
・ロベルト・フィルミーノ(ブラジル)
・南野拓実(日本) など
■サッカースパイクの選び方
サッカースパイクは、自身の足に合ったサイズを選ぶことが大切です。また、スパイクは種類によって機能性や構造が異なるので、プレースタイルやグラウンドタイプなども考える必要があります。
サッカースパイクを選ぶ際はサイズだけでなく、アウトソールの形状や軽さ、プレーするグラウンドなども確認しましょう。
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■お気に入りのアディダス製サッカースパイクを見つけよう
長い歴史を持つアディダスが製作するサッカースパイクは機能性にも優れていて、有名なサッカー選手にも愛用されています。
アディダス製のサッカースパイクにはプレデターをはじめ、エックスやネメシス、コパなどの種類がありますが、それぞれ機能性や特徴が異なります。どんな機能があり、どのようなプレースタイルやポジションに向いたスパイクなのかを考えながら選ぶことが大切です。
自身にぴったりのサッカースパイクを履き、よりサッカーを楽しんでみてはいかがでしょうか。
※着用選手は記事作成当時のものとなります。