【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~ Part3】「飛んで曲がらない」を実現するクラブフィッティングの真髄に迫る
他に類を見ない商品展開とフィッティング・接客の充実度で顧客のリピート率が高く、多くのファンを持つゴルフ5のハイエンド店舗「ゴルフ5プレステージ(以下プレステージ)」。
高品質な商品を幅広く取りそろえ「ここでしか手に入らない」アイテムを提供するとともに、高い技術を持ったフィッターがお客さまの「最適な1本」を提案するスタイルは、量販店の常識を覆すゴルフショップであり、ゴルフ界のトレンドを引っ張る存在だ。
現在、東京に日本橋、新宿、広尾の3店舗のほかに、名古屋、神戸と国内に計5店舗を展開しているプレステージだが、その立ち上げから携わり、土台を作ったキーとなる人物の存在があった。「プレステージのBIG BOSS」と呼ばれる小口貴彦さんだ。
本連載は【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】と題し、ゴルフ界注目のプレステージとは一体どんな魅力を持ったゴルフショップなのかを、小口さんの話を通して、その取り組みやフィッティングの哲学を紐解いていく。
第3回目となる今回は、小口さんがプレステージのクラブフィッティングをどう構築したのか。そのベースとなる考え方を聞いた。
ゴルフ5プレステージのフィッティングシステムを作った、小口貴彦さん
――プレステージのフィッティングマニュアルを作ったのも小口さんとお聞きしました。
小口 「はい。私はフィッター出身で、一般店舗向けのフィッティングマニュアルの作成にも携わりました。プレステージではそれをさらにブラッシュアップし、お客さまのご要望に完璧に応えられるフィッティングシステムを作りたいと考えました」
――どんな要望にも応えらえるフィッティングマニュアルというものは、可能なんですか?
小口 「お客さまのご要望というのは、究極的には『飛んで曲がらないこと』に尽きます。
そのために大事なのは、『曲がらない』ことなんです。球が曲がるということは、スイングやインパクトのエネルギーをロスしている状態。だから『曲がらない』ようになってそのロスを解消できれば、結果的に飛ぶようにもなります。プレステージのフィッティングの基本は、『曲がりを解消する』ことにあるんです。
お客さまはプロゴルファーではないので、いつも完璧なスイングができるわけでもないし、練習量が多い方ばかりでもない。だから練習せずに上達しなくても、自分の悪いクセが出ても、それを生かして効率よく飛ばせるクラブを提供するのが、我々の役割だと考えています」
――曲がらないクラブとは、どういうクラブなのでしょう?
小口 「インパクト時のフェースの向き、ヘッドの軌道、シャフトの向き、この3つが目標方向に真っすぐ揃うクラブです。この3つが全部ターゲットに対してスクエアになっていれば、100%の効率を発揮でき、球も曲がりません。
しかし、たとえばインパクトでこのどれかが5度右を向いていたとすると、約5.5%(※)のエネルギーロスが生じ、ボールは右に飛ぶわけです」
※フェースがスクエアな場合のインパクト効率を100%、90度真右を向いた場合を0%として、90度のうちの5度=約5.5%という概算に基づく
フェースの向き、ヘッドの軌道、シャフトの向き。この3つをスクエアに揃えることがフィッティングの最終目的
小口 「このズレをスイング解析で明らかにして、クラブによってスクエアに近づける作業がプレステージのフィッティングです。インパクトでフェースが5度右を向いているなら、5度左を向くクラブをご提案すればいい。フックフェースのクラブにするとか、クラブを少し短くするなどの方法があります。シャフトが右を向いているならクラブを少し重くするとか、アウトサイド・イン軌道なら少しクラブを長くするとか、そういった方法論をマニュアル化しました」
このベースとなるデータを正しく得るために、スイング解析の精度にはこだわった
――この理論は小口さんが導き出したんですか?
小口 「フィッター時代に独学で勉強して、理論化しました」
――独学でですか?!
小口 「図書館に通って、物理で考えました。私はもともとゴルフ場に勤務して18歳からゴルフを始めたんですが、22歳でアルペンに転職して、練習量が減ったんです。そのときに、練習量が減っても上手くなるにはどうすればいいかを考えた結果、物理的に正しいことを追求しようとして勉強を始めたのがきっかけですね。その後フィッターとしてお客さまによりマッチしたクラブをご提案するために、さらに勉強を重ねて、突き詰めていきました」
――それを、全フィッターが再現できるように整理したわけですね。
小口 「そうですね。フィッティングにはすごくいろいろな要素がありますが、その優先順位をハッキリさせました。クラブの重量やロフト、ライ角、長さ、硬さ……。そのなかで最重要なのがライ角なんです。ほかの要素がどんなに合っていても、ライ角が合わないクラブは曲がります。だからプレステージはライ角をいちばん大事にしています」
――試打クラブのライ角のバリエーションが豊富なのも、それが理由なんですね。
小口 「はい。いまライ角のバリエーションのある試打クラブはどんどん増えていますが、当初、ミズノさんが賛同してライ角違いの試打アイアンを用意してくださったのは、大きな追い風でした。ピンさんもライ角にはこだわっていますし、その辺はプレステージのフィッティングの土台になっていますね」
プレステージのフィッティングは、ライ角には徹底的にこだわる
――ライ角の次には、何が大事なんですか?
小口 「前述の、重量、ロフト、硬さ、長さが適正であることが大事ですが、プレステージではクラブ1本ではなく、14本のトータルコーディネートを重視しています。そのうえで『振動数フロー』『重量フロー』『飛距離ピッチ』まで見るのがプレステージのフィッティングの真髄ですね」
――「重量フロー」は重さの階段のことですね。「飛距離ピッチ」は番手ごとの距離の階段というのもわかります。「振動数フロー」というのは何でしょうか?
小口 「シャフトの振動数(※※)をどうそろえるかという話です。
これが『振り心地』を左右する重要な要因で、ゴルフクラブはシャフトの長さやヘッドの重さが一定ではないので、ここをうまくコントロールしないと、同じシャフトを装着したとしても番手によって振り心地がバラバラになってしまう。
シャフトを何インチ切ると振動数が何cpmぶん硬くなって、それを番手間でどうやってフローさせるかということを、プレステージでは徹底して管理しているんです。プレステージの『切り札』的なものなんですが、これをやると確実に結果が出ます。そうするとお客さまが感動してくださって、フィッターもうれしいですね」
※※シャフトに一定の負荷をかけたときに、1分間に何往復するかという固有振動数を表すデータで、数字が大きいほど硬く、小さいほどやわらかいことを示す。単位はcpm。
独学で「振動数フロー」の理論を導き出したという
――お客様のご要望に応えるフィッティングがわかってきました。
小口 「この成功体験を繰り返していくことが、プレステージのフィッティングなんです。
我々がご提案したクラブを使っていただければ、コンペのスタートホールでナイスショットしてみんなから拍手喝采を受ける。そんな未来が待っていますよ。そのシーンをお客さまに妄想してもらい、それをスタッフも共有して一緒に実現することが我々の使命なんです」
お客様が求めるクラブを独学で学んだ知識と経験に基づき、理論的にフィッティングをする。このノウハウが存分に詰め込まれた店舗が「ゴルフ5プレステージ」だということがわかった。
次回以降の【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】ではクラブごとのフィッティングについて深堀した内容をお届けする。
<第1回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230704_01.html
<第2回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230711_01.html
<プレステージ店舗の詳細はこちら>
https://www.golf5-prestige.jp/
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