【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~ Part6】フェアウェイウッドは「振動数フロー」で左に行かないクラブを提案
レアアイテムを含む高品質な商品ラインアップと、ハイレベルなフィッティング・接客により、ゴルフ界のトレンドを引っ張る存在となっている「ゴルフ5プレステージ(以下プレステージ)」。
プレステージは2016年に東京・日本橋に1号店がオープンして以来、新宿、広尾、そして名古屋、神戸と国内に計5店舗を展開するまでに拡大してきたが、その躍進の陰には「プレステージのBIG BOSS」と呼ばれるキーパーソン、小口貴彦さんの存在がある。
本連載は【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】と題し、プレステージとは一体どんなゴルフショップなのか、その取り組みやフィッティングの哲学を小口さんの話を通して紐解いていく。
第6回目となる今回は、フェアウェイウッドのフィッティングについて話を聞いた。
プレステージの「BIG BOSS」こと、小口貴彦さん
――プレステージは、ドライバーやアイアンだけでなく、フェアウェイウッド(以下FW)もフィッティングできますよね。
小口 はい、もちろんです。従来はFWのフィッティングは軽視されがちで、「ドライバーと同じモデルでそろえておけばOK」くらいの扱いをされることも多かったんですが、プレステージでは14本のトータルコーディネートにこだわり、FWにも大きなエネルギーを割いています。
FWに苦手意識を持っているアマチュアは多いですが、ここをちゃんとフィッティングすることで自分に合ったクラブをご提案できれば、お客さまは感動してくださいます。
――FWのフィッティングは、何がポイントになるのでしょうか。
小口 シャフトです。とくにシャフトの重さ・硬さにはものすごくこだわっています。
市販のフェアウェイウッドの多くは3、5、7、9W、どの番手も同じシャフトがついています。その結果、とくにロフトが多くてシャフトの短いショートウッドは左に行く傾向のものばかりで、右に行く、つまりつかまりすぎない安心感のあるモデルが少ない。ここに扱いにくさを感じている方は多いんです。シャフトは軽い・やわらかいと左に行きやすく、重い・硬いと右に行きやすい特性があります。この後者の要因をショートウッドにしっかり付与することが大事なんです。
ショートウッドにフィッティングにも強いこだわりがある
――具体的には、どういったシャフト選びをするのですか?
小口 「振動数フロー」という考え方を取り入れています。
簡単に言えば、短い番手ほどちゃんと重く、硬くなるようにシャフトをそろえるフィッティング方法です。アイアンは、シャフトが番手別に設計されているので、番手間で5cpmくらいずつ振動数(※)が増え、短い番手ほど硬くなっているのに、FWにはそのフローができていない。シャフトにこだわることでここを解消できれば、FWの苦手意識が解消される方も多いはずなんです。
ここからは専門的で細かい話になりますが……
仮に、5Wが長さ42インチ、バランスD1で、振動数260cpmのSシャフトが装着されているとします。その場合、7Wを同じシャフトを0.5インチ短くして作ると41.5インチ、D1で振動数は同じ260cpmになります。つまり、切ったぶんだけ短くて軽く、振動数が同じクラブになってしまうので5Wよりも左に行きやすいんです。
本来7Wは、5Wよりも短いぶん硬くて重いシャフトが装着されていなければ振り心地は同じにならないのですが、そこが疎かにされている。
※振動数
シャフトの固有振動数。数字が大きいほどシャフトが硬いことを表す
振動数と重さが番手ごとにちゃんとフローしていることがとても重要
――なるほど。振り心地をそろえるために、振動数が番手ごとにちゃんとフローするように整えるわけですね。
小口 そうです。この場合で言えば、たとえば7Wのシャフトはチップカット(※※)して装着します。そうすれば振動数は266cpmまで上がります。
さらに9Wを作るときには、振動数は270~272cpmにしなければならないんですが、じゃあ同じシャフトを1インチチップカットするとなると、重量が重くならないんです。そこで同じモデルのフレックスを上げてXを挿すとか、1スペック重いシャフトのSやSXを挿すことでプラス10gするといった工夫が必要になります。
※※チップカット
シャフトを短くする場合は、一般的にバット(手元)側を切ることで硬さを変えずに短くするが、シャフトのチップ(先端)側を切るとシャフトが硬くなる
どう切れば振動数がどう変わるかといったデータもちゃんと頭に入っている
――これがクラブのトータルコーディネートという考え方なんですね。
小口 そうです。でもこれはほんの入り口の話ですよ。これをベースに、お客さまの要望に応じて細かくアレンジしていくのがプレステージのフィッティングです。
「7Wは傾斜地からでも狙いたい」というならこの基準より重めにするとか、「もう少しつかまえたい」ならシャフトをやわらかくするといったところまで詰めて、お客さまのイメージしやすい弾道を実現していきます。
その際に、求める効果を得るために硬くするのか重くするのか、やわらかくするのか軽くするのか、どんな特徴のシャフトを選ぶのかといった判断を1cpm、1g単位で適切にできるのが、プレステージのフィッターなんです。
――これができる量販店は他にありませんね。
小口 少なくとも、プレステージがオープンしたときにはありませんでした。なぜなら、そういったショートウッドに対応できる試打シャフトがどこにもなかったんです。
これをやるためには、重くて硬いシャフトが必要です。ドライバーが4Rの人でも7W、9Wなら6Sくらいになりますし、ドライバーが6Sなら7TXとか8Xが必要ですからね。それはシャフトメーカーのフィッティングスタジオにもなかったんです。
ここをメーカーと交渉し、試打シャフトをそろえることで、実際にお客さまに体験していただくフィッティングが可能になりました。
実際に打つと、お客さまは曲がらないこと、球が止まることに驚かれます。
重くて硬い試打シャフトをそろえることがFWフィッティングの実現には不可欠だった
――感動しますね。
小口 8番アイアンと9番アイアンが同じ弾道で感動する人はいませんが、7Wと9Wの弾道がそろうと、お客さまは感動します。でも本来はそうあるべきなんです。
――ちなみにユーティリティ(以下UT)もFWと同じ考え方でフィッティングするのでしょうか?
小口 基本的な考え方は一緒です。傾向としては、ダウンブローが強めの方は、ショートウッドよりもUTが合いやすいというのはあります。それにUTはFWよりも重心深度が浅いので球を曲げられます。
でも最近はUTが普及して、FWとアイアンの間に「UTを入れなきゃいけない」という先入観を持っている方も多いですが、あまり背が高くない日本人の場合は、65~70%はFWのほうが合うんです。
私たちは「苦手なのにがんばってUTを使っている」という人に、ピッタリのFWをお届けしたい。「こんなに簡単なの?」と感動されますよ。
苦手意識を持つアマチュアゴルファーが多いFWは、シャフトの「振動フロー」を重視し振り心地をそろえることで、大きな武器となる。これがプレステージで進める「クラブのトータルコーディネート」というフィッティングの考え方だ。
次回の【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】では、プレステージでのパターフィッティングについての内容をお届けする。
<第1回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230704_01.html
<第2回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230711_01.html
<第3回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230801_01.html
<第4回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230921_01.html
<第5回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_231003_01.html
<プレステージ店舗の詳細はこちら>
https://www.golf5-prestige.jp/
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