箱根駅伝におけるシューズシェアの推移とナイキシェア拡大のその背景
箱根駅伝を違った角度で見てみる
毎年恒例、新年の風物詩となっているのが箱根駅伝。陸上、マラソンファンならずとも、注目が集まる、まさに“国民的祭典”となっている。
今年は、第95回大会の記念大会、青山学院大学の5連覇がかかる大会で、それを阻止する大学が現れるのかどうかに注目される。私(著者:藤原岳久)の母校東海大がその筆頭であるが、どうか。
さて、その箱根駅伝を走るランナーは、学連選抜を含めた21チーム210名いる。2019年は記念大会なので23チーム、230名になる。それぞれの思いで箱根を走るそのランナーたちだが、その足元、シューズに注目してみると面白い。
12月は各社、こぞって新商品のレーシングシューズを発売する。プリンセス駅伝、男女高校駅伝、富士山駅伝、ニューイヤー駅伝などある中で、新年早々の箱根駅伝はケタ違いの注目度になっている。
是非、今年はランナーの足元もこれを読んでしっかりチェックしてほしい。きっとあなたの箱根駅伝観戦が2倍、いや3倍面白くなるはずだし、あなたのシューズ購入の動機にも間違いなくなるからだ。
箱根駅伝におけるシューズシェア
2016~18年で比較すると、ナイキ、アディダス、ニューバランスと言った外資ブランドのシェアは伸び続ける傾向にある。逆にその他メーカーがシェアを落とす傾向がある。
この期間、アディダス、ニューバランスはカリスマ的名工、三村仁司氏の影響が大きく、三村氏の契約によって、それぞれ増減、選手がそのまま移動した形だ。
そして、2018年ついにナイキがシューズシェア1位にたった。それには理由がある。
実は、このことは箱根駅伝史上とても大きな出来事なのだ。ナイキがシェア1位をとったそのことよりも、その着用シューズにある。
そう、優勝した青山学院大のその足元よりも、前半独走した東洋大の足元に誰もが目を奪われたことであろう。それは、インターナショナル企画のナイキ「ズームヴェイパーフライ4%」だったからだ。
ズームヴェイパーフライ4%の出現インパクトとは
ナイキ着用選手58名中、40名、全ランナーの約19.0%、また区間1位から3位内30人中11人、40%弱が「ズームヴェイパーフライ4%」を履くという、まさに旋風を巻き起こしたのだ。
2018年各区間1~3位までの選手着用シューズシェア
※ナイキはうちヴェイパーフライ4%着用が11名
実は、インターナショナル(全世界)で発売されているモデルをこんなにも多くの箱根のランナーが履くのははじめてのケースなのだ。
カラー別注でもなく、ソールの個々に合わせたカスタマイズでもなく、市販のインターナショナルモデルを多くの選手が選んだのだ。
選手のマインドを変えたのは何か?
では、何故日本人ランナーが、マインドが切り替え、「ズームヴェイパーフライ4%」選んだのか?
これには、私が考えるに日本マラソン界がかつての輝きがなくなり、危機感から世界を目指すランナーたちが、ケニア、アメリカのトップランナーに目を向けたことは大きいのであろう。
箱根駅伝をはじめ、日本マラソン界停滞の原因のような論調は目立つが、そうではなくて、シューズに対する選手の保守的志向に代表される、その”マインド”自体が、ブレイクスルーの障壁であったのかもしれない。籠の鳥ではなくて、籠の鳥に自らなっていたようなものだ。
そして、ヴェイパーフライ旋風は、世界のアスリートの履いているシューズを履きたい、使ってみたい、という自然な流れを、そういったバックグランドに後押しされた形だ。箱根ランナーたちが、固定観念を捨てた瞬間であった。
日本人向け、日本に合ったとは何か?
例えば、ナイキは細い、ナイキはアメリカのブランドだから日本人にはどうか?といった意見は、まだまだあるが、一体それは、いつの時代のことを言っているのだろうか?
たしかに70年代にランニングムーブメントが立ち上がった当初のシューズは細くて、踵がフィットしない、まさに西洋人向けのシューズであった。というよりその時代においては西洋人が主要の顧客であったことは、ある面、事実ではあったのであろう。
それが昨今、とりわけ多くの民族で構成されるアメリカでは、ユニバーサルなフィット感がなければ、シューズとして評価されない。
日本人に合ったシューズという考え方はまさに箱根駅伝の選手のそれで、“日本人”にも合うシューズが増えている事実を理解すべきだ。
箱根のランナーがすでに、固定観念を捨てて、今まであわないと思われたシューズも日本人に合う、ことに気づいた。もしそうであるならば、次はみなさんの番なのであろう。
ヴェイパーフライ4%にこだわるな
さて、今年の箱根駅伝も、恐らく「ヴェイパーフライ4%」の着用率がナイキシューズの中では高いであろう。
そして、みなさんもそれを欲しいと思うのではないだろうか。ただ、現状なかなかヴェイパーフライ4%は買えない。まだまだ需要と供給という面でも追いついてない。そして28,080円と、とても高価なシューズでもある。
そのかわりというわけではないが、日本人にはシューズ選びの過去の呪縛から解き放たれるには「ズームフライフライニット」は十分すぎる存在だ。
写真: ズームフライ フライニット
完成度の高さと価格のバランスから言っても、こちらの方が市民ランナーや一般ユーザー向けだ。ヴェイパーフライ4%との1万円以上ある価格差を考慮しても、ズームフライフライニットの機能性は評価できる。
今年、230名の箱根駅伝のランナーの中で、「ズームヴェイパーフライ4%」ではなくて「ズームフライフライニット」を履く選手がいるかもしれない。
もしそんなことがあれば、それは、10月にズームフライからアップデイトした「ズームフライフライニット」の機能性(パフォーマンス)のリアルだ。是非注目してみよう。
箱根駅伝2019総括、ナイキシューズの躍進を分析
につづく。
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