【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~ Part4】アイアンフィッティングは「ボールがピンに重なって落ちていく」弾道を求める作業
他に類を見ない高品質な商品展開と、ハイレベルなフィッティング・接客で多くのゴルファーに支持されているゴルフ5のハイエンド店舗「ゴルフ5プレステージ(以下プレステージ)」。
「ここでしか手に入らない」レアアイテムが手に入り、さらにフィッティングによって自分に合った「最適な1本」を見つけられるプレステージは、訪れるお客さまはみな感動し、リピーターとなっていくという。いまやゴルフ5の枠にとどまらず、ゴルフ界のトレンドを引っ張る存在と言っても過言ではない。
プレステージは現在、日本橋、新宿、広尾という東京の3店舗のほかに、名古屋、神戸と国内に計5店舗を展開している。その立ち上げから携わり、土台を作ったキーとなる人物の存在があった。「プレステージのBIG BOSS」と呼ばれる小口貴彦さんだ。
ゴルフ5プレステージの根幹を作り上げた小口貴彦さん
本連載は【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】と題し、プレステージとは一体どんな魅力を持ったゴルフショップなのかを、小口さんの話を通して、その取り組みやフィッティングの哲学を紐解いていく。
第4回目となる今回からは、具体的にどんな手法でフィッティングを行っているのか、クラブのカテゴリーごとに見ていく。まずはプレステージのフィッティングの基本となっているアイアンについて聞いた。
――プレステージのアイアンフィッティングにおいて、もっとも重要視していることは何ですか?
小口 「ピンに重ねてボールを落とす」ことです。アイアンはピンを狙うクラブですから、もっとも重要なのは方向性なんです。打った球がピン筋に飛んで、ピンフラッグに重なって落ちていく。このショットの後、グリーンまで歩いていく間のワクワク感こそ、私たちがお客さまに提供したい感動そのものです。プレステージのアイアンフィッティングは、そこが最終目的です。
――なるほど。具体的にはその弾道はどうすれば得られるのですか?
小口 いちばん大事なのはライ角です。ライ角が1度でもズレたら、フェースの向きがズレます。まずはその余計なズレを排除しなければ何も始まらない。方向性を担保するために、ライ角を合わせることは絶対に不可欠なんです。
ライ角のズレは、ロフトが大きいほどフェースの向きに大きく影響します。5番よりも7番、7番よりも9番のほうが大きくズレる。だからライ角の合っていないアイアンを使っている人は、番手ごとにグリップの握り方を微妙に変えて、それぞれの番手でフェースが真っすぐになるようにアジャストしているんです。5本セットなら、5通りの握り。これをなくすだけで、お客さまは感動します。
――ライ角で感動するんですか?
小口 そうです。ライ角は多くの方が侮っていますが、ちゃんと合わせるだけで弾道は劇的に変わります。いままで通り普通に打った球がよじれずに真っすぐ飛んでいくと、お客さまは「何これ!」と目をキラキラ輝かせてくれます。お客さまも感動するし、我々もフィッター冥利に尽きます。
だからプレステージでは、ライ角違いの試打クラブを取りそろえているんです。
アイアンのフィッティングで一番大事なのは「ライ角」
――実際に打ってもらって体感してもらうんですね。
小口 実際にライ角違いの試打を体験してもらうと、商談の成約率が段違いにアップするんです。お客さまが感動した証拠です。
いまは各メーカーが協力してくれてライ角違いの試打ヘッドがかなりそろってきましたが、昔はそんなものはなかったので、私は試打ヘッドをその都度曲げていました。高速カメラの後方からのインパクト画像に線を引いてお客さまに見せて、「こんなにズレてます」と説明し、ネックを曲げて調整してまた打ってもらう。だからネックがすぐに折れましたが、そんなのすぐに元が取れるくらい売れたんです。
――ライ角の次は?
小口 シャフトです。お客さまにとって適正な重さと硬さを見極めます。
シャフトは上下の打点に影響する要因。基本的にはやわらかいとダフリ、硬いとトップする。これを細かなテクニックを駆使してお客さまにピッタリに合わせていきます。
――細かなテクニックとは?
小口 ヘッドスピードに応じて重量帯やフレックスを決めるのは大前提で、お客さまのスイングを見て同じ「90g台のS」のなかでも「どのSをどう組むか」を考えていくんです。
たとえば適正よりも軽かったりやわらかいシャフトだと、手首を使ってアジャストする「こねる」動作が入りやすいんですが、それを消すためにこのお客さまは少し重くしたほうがいいのか、それとも少し硬くしたほうが有効なのかを見極めます。
シャフトの銘柄はもちろんですが、いわゆる「番手ズラし」で装着したり、チップカットしたりというような工夫で、芯を喰うように整えていきます。
――ヘッド選びは後回しなんですね。
小口 もちろん「このヘッドがほしい」という指名買いのお客さまにはご希望に沿うように対応しますが、ゼロベースのフィッティングであれば、そうなりますね。
ヘッドを選ぶ際にも、モデル選びより先にロフトを考える必要があります。
「ライ角」の次に大切な要素と考えるのが「シャフト」
――ロフトですか。
小口 ライ角が合うと、その人の適正インパクトロフトがわかってきます。
それをベースに、「番手間の距離をそろえる」ことを重視するか「何番で何ヤード打つ」ことを重視するか、考えてもらいます。
最初は「7番で150ヤードは打ちたい」などと後者的な考え方の方も多いんですが、ここまでの説明を理解していただいていると、納得して前者の「距離のピッチ」とおっしゃる方が増えます。
いま入っているユーティリティとウェッジの間を、何本のアイアンで埋めるかを考えていく。いちばん下のユーティリティが160ヤードなら、「じゃあ、このやさしい6番で150打って、以下10ヤード刻みになるようにしましょう」というような話になるわけです。
「ライ角」が揃うと適正な「インパクトロフト」が導き出される
――「7番で150ヤード」を目指しちゃダメなんですか?
小口 いえ、まったく問題ありません。大事なのは「何を求めているか」「なにをやりたいか」理想を語っていただき、フィッターがそれを共有することなんです。
アイアンで飛ばす快感を求めるなら、そういう考え方も正解です。でも「球を止めたい」とか「競技に出たい」という夢があるなら「ピッチ」が必要になる。
お客さまが何を求めているか、ちゃんとイメージして共有できれば、それに応じた答えが見えてくるし、フィッターはそれに応える工夫を凝らします。
お客さまの理想をフィッターと共有しそれを目指していく
――なるほど。
小口 あとは打点のトウ・ヒール方向のズレに応じて適正なヘッドを選んでいきます。
トウ寄りに当たるなら重心距離が長い=ヘッドが大きめがいいし、ヒール寄りに当たるのなら重心距離が短い=小ぶりなヘッドのほうがいい。
みなさんやさしいヘッド=大きいヘッドと考えがちですが、ヒールヒッターにとっては逆になる場合も多々あります。これも実際に打ち比べていただくと、感動していただける。
やさしいアイアンは、芯を喰うアイアンなんです。
――ここまで進むと、ヘッドの選択肢も絞れてきますね。
小口 はい。最後は顔や打感の好みやシャフトの選択肢などで絞り込んでいきますが、ここまでのイメージをお客さまとフィッターが共有できていれば、絶対に感動していただけるんです。
その過程でもつねに「ピンに重なる弾道」という点だけは外さない。
最終的にはこれこそがプレステージのフィッティングの真髄と言ってもいいかもしれませんね。
次回の【プレステージのBIGBOSSが語る ~フィッティングとは~】では、ウェッジのフィッティングについて話を伺った内容をお届けする。
<第1回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230704_01.html
<第2回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230711_01.html
<第3回記事はこちら>
https://media.alpen-group.jp/media/detail/golf_230801_01.html
<プレステージ店舗の詳細はこちら>
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