さあ、レースシーズン到来!レースに向けて必須LSD(ロングスローディスタンス)に最適なシューズをご紹介!
「LSD(ロングスローディスタンス)で自信をつけよう」
さあ、レースシーズンが到来です!
とにかく、フルマラソンを目標タイムで走り切るためには、ある程度長い時間のランニングにカラダが慣れていることが必要です。だからと言ってそれは「一に練習、二に練習」みたいな根性論でなくていいんです。
日本のランナーは、エリートランナーの影響か、30K走が定番ですが、ある程度ボリュームのあるそんな距離を、目標としているレースペースで走ってしまったら、それ自体が実質的にレースになってしまいます。私は、市民ランナーには、疲労が残りやすいトレーニングとなり、トレーニングの継続性にも個人差が出やすいので、LSD(ロングスローディスタンス)をおすすめしたいですね。
例えるならば、自動車で言うところの、街乗りだけではなくて、ロングドライブに慣れておく感覚ですね。ゆっくりペースでいいのでまず自信をつけることからはじめましょう。LSD(ロングスローディスタンス)なら、ハードルが高くないですよね。
「ジョギングとLSDは何が違う」
そもそも、ドイツの心臓医ファン・アーケンが考え出したロジックなトレーニングがLSD、LSDはいわば“ゆっくりのペース走“です。普段のジョギングは、体調や気分に合わせて、好きなペースで走ればいいですが、LSDは自信をつけなければ失敗です。ゆっくりのペースを維持するイメージで走るトレーニング、だから”ゆっくりのペース走”なんですね。
まずは、90分走りきれるようにしましょう。そして、120分、2時間続けて走ることができたら自信を持っていいですね。そこまでできるようになったら、ヘトヘトになってしまうより、「あともう少しなら走れるかもしれない」っていうようなイメージがあると最高です。
とにかく、距離的にも、時間的にも、体力的にも、当日、レース前にやりきらないことです。走りきれそうなイメージをたくさんつけられるようなトレーニングをして、実際にやりきることはレースデイにしましょうね。むしろ、それがレースです。
「LSDを快適にするランニングシューズはどれか?」
また、そのトレーニングを快適にする否かも、道具=シューズ選びも影響大です。目的が合っていないシューズでトレーニングをしても、トレーニング効果を最大にできません。ゆっくり走ったのにLSDをうまく行えず、逆に自信をなくしてしまうなんて、本末転倒です。
LSDに最適なシューズとは何か?ランロンガーの機能性がしっかり詰まっていることです。
まずは、ゆっくり、それもゆっくりのLSDのペースを快適にするにはガイド機能がマストです。
ガイドとはシューズがランナーのカラダを前に揺らして、推進方向にスムーズに導く機能性のことです。それは同時に、ゆっくり走るという、移動が活発ではない、接地時間が長い動作を活発にする機能性でもあります。地面に着地後、すぐ前にガイドされるので接地時間を短くしてくれるわけです。
そして、それをランナーがトレーニングでしっかり確認しておけたらどうですか?ただ走るより、シューズと一緒に走っていくイメージです。そして、それを発揮するのがレース。普段のトレーニングからシューズのチカラの借り方を知っている人なら、42Kを走ってなくても、30K走ってなくても、大丈夫なのです。
トレーニング中、レース中、あなたは疲れても、シューズは疲れませんからね!それを覚えておいてください。強い味方です。
「ランロンガーにはクッションと安定感も必要」
そして、ガイド機能をサポートするのが、クッション性と安定感です。この機能性が同時に働いていかないと、動作を長く続けることは不可能。硬い板のようなソールか、ぐにゃぐにゃで柔らかいソールだとしても、大変であるのは想像に難くないですよね。
しかし、クッションがあって、安定感があるというのは、柔くて、硬いということになり、反対語で、相反する機能性なのです。つまり、クッション性と安定感のバランスという物理学に逆らったような難しい作業を、 LSDに最適なシューズは難なく提供してくれるわけですよ。すごいでしょう?
ここに紹介するモデルは、このあたりのバランス感がいい。ゆっくり走るのに、軽量である必要はありません。軽量であることは引き算の結果、それよりLSDでは、難しい動作を長く続ける、軽量であることよりも機能性がプラスしていることがマストです。
重さは機能性と同意味だと思ってください。
軽量のテンポアップシューズではゆっくり走ることすら難しかしいなど、ロンガーに必要な機能性がないモデルではうまくトレーニング効果を達成できません。
「マックススタビリティー・マックスクッション2選」
↑ホカ BONDI 8
LSDとか、足が疲労して疲れているときには、この2足が最高です。マックスクッション・マックススタビリティー、HOKAを代表するシューズ『ホカ BONDI 8』とあのアディスターが進化、『アディダス ADISTAR CS』です。
接地面であるソールのプラットフォームが広い両シューズですが、ボンダイ8は、同社マシュマロクッションのクリフトン8に対して、こちらはこのルックス、クッションはもちろんですが、マックススタビリティーモデルです。最上級の安定感がLSDのようなランロンガーをサポートしてくれます。
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ランナーが自分からボンダイを見るとアッパー(シューズ上部)を遥かにはみ出すミッドソールを確認することができるでしょう。足以上の安定感を出す、シンプルな機能性ですよ。このシューズは決して軽くはないですが、ロングディスタンスのお供には、まさに重さ分機能性がついていることを感じるシューズです。
↑アディダス ADISTAR CS
アディダスアディスターCSはクッションニング・サポートのCS、このシューズがLSDには最適なシューズあることは、この見た目といい、言うに及ばないでしょう。
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前モデルより、エナジードライブという樹脂プレートがガイドをより強固にして、その反面、シューズを裏側から見ると真ん中を大きく繰り抜いたデザインになっていて、足し算と引き算の末に生まれた構造であることは一目瞭然。見た目のゴツさ以上に、軽量感があってロンガーディスタンスで頼りになる1足ですよ。
「LSDにも最適、定番デイリートレーナーから3選」
ブランドの定番のモデルからLSDのようなロンガーにも最適なモデルと言えば、スタビリティーシューズの定番『アシックス GEL-KAYANO 29』とロッカー式のガイドでサポート『ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 3』、ニュートラルのラクシュアリーライン『ニューバランス FRESH FOAM X 880 v12』をあげておきましょう。
↑アシックス GEL-KAYANO 29
「アシックス GEL-KAYANO 29」は、長い時間走り切るために踵のまわりのスタビリティー(安定感)に優れたシューズ、その29代目のモデルです。ガイドは定番的10mmドロップの坂道ソールを作用しています。前に揺らす感覚は緩やかな坂道を走る感覚にさせてくれるもの。特に膝など関節に不安があるランナーはこのオプションが最適でしょう。
↑ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 3
「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 3」も怪我を起こすリスクとして、ガイド機能による接地時間の短縮に注目したシューズ、8mmドロップのロッカー式のガイドでそれをサポートします。
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「ニューバランス FRESH FOAM X 1080 v12」は、フレッシュフォームXという1枚素材で作られたソールが特徴、接地フィーリングも良いシューズです。ガイドはインフィニティランと同じで8mmドロップの舟底型のロッカーソール、揺やすい構造でランナーのガイドをサポートします。
↑ニューバランス FRESH FOAM X 1080 v12
どのシューズも軽量感と、ガイド、クッション性と安定感へのバランス感がいいモデルです。デイリーランニングでも使用しつつ、LSDにも使えるモデルと言っていいでしょうね。
徐々に涼しくなり、ランニングしやすい季節になってきます。LSD用に、または日頃のトレーニングから使えるモデルを選んで、LSD (ロングスローディスタンス) でレースの準備をしていきましょう。
<著者プロフィール>
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
藤原岳久(F・Shokai 【藤原商会】代表)
日本フットウエア技術協会理事
JAFTスポーツシューフィッターBasic/Advance/Master講座講師
足と靴の健康協議会シューフィッター保持
・ハーフ1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
・富士登山競走5合目の部 準優勝 (2005)